ヒトと違う猫の味覚の世界とは?【獣医師が解説】

猫はフードが変わると食べないことも多く、猫にグルメなイメージを持っている人も少なくないと思います。

では、猫の味覚はいったいどのようになっているのでしょうか?

雑食のヒトと違い肉食の猫ですが、ヒトと同じように味を感じているのでしょうか?今回は、猫の味覚について考えてみましょう。

 

猫の味覚とは

猫の味覚はヒトより乏しい

猫にも人と同様、味覚はあります。ただし、肉をメインで食べる猫は、雑食のヒトとは大きく違う味覚を持っています。

味を感じる舌の組織は味蕾(みらい)と呼ばれます。

猫の味蕾の数はヒトの10~20分の1と考えられており、人に比べて味を感じる能力が乏しいのではないかと考えられています。

猫は一般的にグルメだと考えられていますが、味そのものだけではなく、においによってフードをえり好みしている可能性が高いようです。

猫の感じる味とは

味には、甘み・塩み・酸味・苦みそしてうまみの5種類があります。

その中で、猫は酸味・苦み・うまみをよく感じていると考えられています。

肉食の猫のメインの栄養素はたんぱく質。

たんぱく質が変性すると酸っぱくなるため、その酸味に敏感であることで、肉の鮮度を確かめることができます。

つまり、傷んだものを食べないように、猫は酸味に敏感になったのではないかと考えられます。

また、苦みに関しても猫は敏感です。

猫は苦みを強く感じるため、薬を飲ませると時々大量によだれを垂らしてしまうことがあります。

苦みに関しても、自然界にある毒物成分を見分けるために発達したと考えられます。

うまみはグルタミン酸などのアミノ酸から感じる味です。

肉食である猫では、たんぱく質の成分であるアミノ酸に対する感受性が高いと考えられ、うまみも感じやすいです。

猫はグルタミン酸だけでなく複数のアミノ酸からうまみを感じている可能性があります。

猫は甘みを感じない?

猫は甘みを感じることができないと考えられています。

猫の舌には、甘みを感じるための受容体に存在するはずの「T1R2」という構造がないことがわかっており、その理由から甘みを感じないと言われています。

ただし、甘いものを好んで食べる猫もおり、人とは違うメカニズムで甘みを感じている可能性もあるとされ、その真相は現在のところ分かっていません。

また、猫は塩みに関しても鈍感であると考えられます。

もともと猫は塩をそれほど必要としない動物ですが、塩味の強い人の食餌を食べてもしょっぱいと感じずらいため、塩分の取り過ぎになってしまう可能性がありますので注意してください。

 

味以外でもフードの好き嫌いがきまる

猫はフードを味以外で判断することが多いです。猫の好き嫌いは以下のような要素でも決まってきます。

におい

最初に書いた通り、猫がフードを判別する際には、味よりもにおいに敏感に反応すると考えられています。

においは猫の嗜好性を決める際に最も重要視する部分になります。

そのため、フードの味を変えなくても、鰹節や肉の煮汁などをかけてにおいを変えると、嗜好性が高くなることが多いです。

温度

猫がフードを食べるときに、その温度も重要視します。

自然界には冷蔵庫で冷やしたような冷たい物や、熱々のお湯で温めたような熱いものは存在しません。

猫は猫舌であるとともに冷たいものも好みません。

また、肉食の猫にとって自然界で新鮮なものは、獲物の体温に近いものになります。

特に生の肉に食感が近いウェットフードの場合には、人肌程度の温度のものを好みます。

冷蔵庫で保存したフードの場合には、レンジで軽く温めてあげると嗜好性が良くなります。

固さ

ウェットフードを好む猫は多いですが、猫は小さいころから食べなれたものを好む傾向にあります。

そのため、小さいころからずっとドライフードを食べている場合には、ウェットフードには全く興味を示さないという子もいます。

また、口内炎で口が痛い場合には硬いドライフードは好まないこともあります。

 

猫はなぜヒトの食べ物を食べたがる?

猫はヒトの食べ物を欲しがることがあります。

基本的には、飼い主が食べているものを自分も食べたいという興味によるものですが、一度でもヒトのものを食べておいしかったという記憶があると、しつこく食べたがることもあります。

総合栄養食と書かれているキャットフードには、猫が生活していく上で必要な栄養素がすべて含まれています。

おやつや人のご飯などで栄養を取ってしまうと、栄養過多になったり栄養のバランスが崩れてしまいます。

また、ヒトのご飯を与えることで玉ねぎなどの中毒や、ごみあさりの癖がついてしまうこともあります。

ヒトのご飯は猫には必要ないだけでなく、健康にとって良くないこともありますので、ヒトのご飯は基本的には与えないようにしましょう。

どうしてもキャットフード以外のものを与えたい時には、ヒトの食べ物ではなく、猫用のおやつを与えるようにしましょう。

 

まとめ

猫の味覚は、猫が自然界で生き抜くために進化してきたため、ヒトとは大きく異なります。

また、猫の味覚はヒトほど優れておらず、味は食事を楽しむためのものというよりも、新鮮なものを見極めるために使われている可能性が高いです。

そのため、ヒトがおいしいと感じるものを猫に与えることにはあまり意味がなく、健康を損ねてしまうだけの可能性もあります。

猫には人の食べ物を与えないようにしておいてくださいね!

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。