犬が嫌がるドライヤー。上手い使い方や選び方のポイントとは【獣医師が解説】

定期的にシャンプーをしてあげることは、犬の健康維持や皮膚病の予防のために大切です。

しかし、犬の体を覆う毛を乾かすことは、シャンプーそのものより大変になることも少なくありません。

特に長毛でダブルコートの犬を乾かすのは至難の業です。

そんな時に使いたいのがドライヤーですが、ドライヤーを嫌がる犬は多いです。

また、ドライヤーを使うことで犬の体にトラブルを起こしたり、ヒトや犬に危険が及ぶこともあります。

そこで今回は犬にドライヤーを使う方法についてのお話をさせていただきます。

犬に安全にドライヤーをかけるために何を注意したらいいのかを知っておきましょう。

 

犬はどうしてドライヤーを怖がる?

犬はドライヤーを怖がることが多いです。なぜ犬がドライヤーを怖がるのか、その理由をまずは考えてみましょう。

音が怖い

ドライヤーを犬が嫌う最も大きな理由は、その音にあります。

通常のドライヤーは風と共に轟音がなります。

犬は動物の本能として大きな音には警戒しますし、普段聞くことのない音ですので、ドライヤーの音は犬に恐怖心を与えます。

音への敏感さは犬によって違いますが、どの犬でも最初はドライヤーの音には警戒します。

特に掃除機の音を怖がる犬の場合は、ドライヤーも怖がることが多いです。

風が怖い

ドライヤーから出る風も、自然界には存在しないものになります。そのため、犬はドライヤーから出る風も危険なものではないかと感じ、怖がることがあります。

 

犬にドライヤーが必要な場合と必要でない場合

犬を乾かすときにドライヤーが必要かどうかは、状況によって変わってきます。

ドライヤーが必要な時

  • 全身を乾かす時(長毛種・ダブルコートの短毛種・毛が長めの短毛種)

ドライヤーが必要ない時(タオルドライでいい時)

  • パグやミニチュアピンシャーなど超短毛種を乾かす時
  • 手足の先など体の一部を乾かす時
  • 顔回りが濡れてしまった時
 

ドライヤーを使うメリット

ドライヤーのメリットは以下の通りです。

長毛の犬でもしっかり乾かすことができる

犬の毛が濡れたまま放置をすると、体温が下がりやすく、風邪など体調不良の原因になります。また、少しぬれたまま放置してしまうと、濡れた毛が絡まって毛玉になってしまうこともあります。ドライヤーを使うことで、シャンプー後のこれらのトラブルのリスクを減らすことができます。

ドライの時間を短縮できる

タオルだけだと乾かすのにかなり時間がかかりますが、ドライヤーを使えばその時間を短縮させることができます。

 

安全なドライヤーのかけ方

ドライヤーで犬を乾かすときには、以下のような方法をとりましょう。

適温の温風を使う

冷風を使って乾かすと体温低下から犬の風邪など体調不良を起こすことがあります。暑すぎない程度の温風を使って乾かしましょう。

少し遠めから風を当てる

近距離から風を当てると、一部分だけ熱くなってやけどしてしまうことがあります。

まんべんなく風を当てる

一カ所に集中しすぎると、その部分の温度が上がってしまいます。場所を変えながらまんべんなくドライヤーの風を当てるようにしましょう。

ドライヤーの危険なかけ方

一方、以下のようなドライヤーの当て方は非常に危険です。

顔回りに当てる

ドライヤーを顔周りに当てると、温風によって目が乾いてしまい、角膜に傷ができる角膜潰瘍を起こしてしまうことがあります。

顔回りを乾かすときは、できるだけタオルドライをし、ドライヤーを当てないようにしましょう。

シャンプーした後に眼をしょぼしょぼさせる場合には、シャンプーが入ったり、角膜が乾きすぎることで角膜潰瘍が起きてしまっている可能性もあるので注意が必要です。

高温にしすぎる

ドライヤーの温度をかなり高くしたり、一部に集中させて風を当て続けると、やけどをしてしまうことがあります。

ドライヤーを当てるときには、その温度や皮膚からの距離、当てる時間などに注意をして、犬がやけどしてしまわないようにしてください。

いきなり「強」でドライヤーを始める

急に「強」のドライヤーを当てるとその音と風にびっくりして犬が暴れてしまうことがあります。

犬が暴れると、落下したり滑って転んでしまって怪我をすることもあります。

逆にパニックで飼い主さんを噛んでしまうこともあります。

人にも犬にも危険になりますので、必ずドライヤーは「弱」から当て始め、音と風に慣らしながら少しずつ強くするようにしましょう。

ドライヤー嫌いの犬にスムーズにドライヤーをかける方法

では、ドライヤー嫌いの犬にうまくドライヤーをかけるためにはどうしたらいいのでしょうか。

普段からドライヤーの音に慣らす

嫌いな物事を犬に克服させるためには、徐々に慣らすことが大切です。

特にドライヤーの音を嫌う犬が多いため、「ドライヤーの音は怖い音ではない」と犬に学習してもらう必要があります。

音に慣れてもらうためには、ドライヤーの音を録音しておき、毎日流しておくようにしましょう。

最初は小さめの音で流し、大丈夫そうであれば徐々に音を大きくするといいでしょう。

数週間~数カ月かけて音を大きくしていき、実施にドライヤーを作動させて音を聞かせてみて下さい。

そうすることで、ドライヤーの音が日常にある自然なものとなり、犬が持つドライヤーの音への恐怖心を無くせる可能性があります。

遠めから弱い当てる

ドライヤーの音や風が急に来ると、犬はびっくりしてしまうことが多いです。

ドライヤーを「弱」からスタートしたり、遠めから当てるとそれほど嫌がらない犬もいます。

できれば2人で犬を乾かすようにし、一人が犬を抑えたりおだてたりし、もう一人が遠めからドライヤーを当てるようにしましょう。

それが難しい場合には、スタンドタイプのドライヤーもおすすめです。

休憩しながら

一気にすべての毛を乾かそうとすると、犬もだんだん嫌になってきます。

特に長毛で時間がかかる場合には、5~10分に一度数分の休憩をはさむといいでしょう。

休憩の時に好きやおやつなどを与えてもらうと、ドライヤーとポジティブな感情が関連付けられて、ドライヤーを好きになってくれることもあります。

できるだけ、ドライヤーをかけるといいことがあるということをわかってもらうのも大切です。

ペット用ドライヤーの選び方

ペット用のドライヤーは以下のような特徴のあるものを選ぶことをおすすめいたします。

  • 低温が選択できる:できれば3段階くらいの温度調節があると良いです。40℃程度の低温で乾かせると皮膚のトラブルが少なくなります。
  • 風量が強い:毛の根元を乾かすためには、風量が強いドライヤーがおすすめです。風量も選べるようになっていると理想的です。
  • 音が静か:犬が嫌がらないよう、風量が強くても音が静かなドライヤーを選ぶようにしましょう。
  • スタンドタイプ:スタンドタイプのドライヤーは、両手をフリーにして犬を乾かすことができます。特に大型犬や長毛のダブルコートの犬の場合には、スタンドタイプのドライヤーが非常に有用です。

まとめ

毛を乾かすのが大変だという理由から、家で愛犬のシャンプーができないという飼い主さんも多いようです。

そんな時に、ドライヤーをうまく使えるとシャンプーの手間や時間を大幅に減らしてくれます。

ドライヤーによるトラブルは少なくなく、そのリスクを減らすためには、いくつかの注意点を守っていただく必要があります。

今回の記事を参考に、うまくドライヤーが使えるようにしてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。