犬の術後服ってどんなもの?その特徴と選び方とは【獣医師が解説】

犬を飼っていると、避妊手術や去勢手術をはじめ、手術が必要になる機会があります。

手術した部位が治るまでには数日~数週間かかりますが、痛みや違和感などから多くの犬は傷口を気にして舐めてしまいます。

そのため、傷口が治るまで、犬が舐めることから傷口をガードする必要があり、その時に使うのが術後服やエリザベスカラーです。

今回の記事はそんな術後服に関する記事です。

術後服とはどんなものなのか、どのように選べばいいのか、服を着せるときの注意点は何かなど解説いたします。

今後愛犬が手術をする可能性がある飼い主さんはぜひ読んでおいてくださいね。

 

犬の術後服とは

まずは術後服がどのようなものかということを知っておきましょう。

普通の服との違い

普通の服は、おしゃれや寒さを和らげるために着るものですが、術後服は傷口を守るための服です。

そのため、術後服は普通の服に比べ、少し生地が分厚くなっており、多少掻いたり舐めたりしても傷口にダメージを与えないようになっています。

また、傷口にくっついてしまいにくい素材が使われていたり、抗菌処理が施されている服も多いです。

さらに、犬の手術ではお腹に傷ができる手術が多いため、術後服はお腹がすっぽり隠れるようになっていることが多いです。

術後服として普通の服を使うこともできなくはありませんが、その場合には以上のような術後服の特性を備えた服を使用する必要があります。

エリザベスカラーとの違い

エリザベスカラーも術後服と同じく術後に傷を守るためのアイテムですが、エリザベスカラーは口が腹部などの傷口に届かないようにするカラーになります。

顔の周りの動きが制限されるため、ご飯を食べたり散歩をするのに少し不自由になることがありますが、体のどの部位の手術にも対応でき、比較的安価であるというメリットがあります。

一方、術後服は術部をカバーし守るために使うものです。

口が自由に使えるというメリットはありますが、足先など服がカバーできない場所には使うことができません。

また、エリザベスカラーよりも少し費用が掛かり、サイズもしっかり測定して購入する必要があります。

 

術後服を着る理由

術後服を着る理由は主に以下の2つです。

傷口を舐めさせない

動物は、傷があるとその部位を舐めることで治そうとします。

また、傷口に糸があると気にして引っ張ったりかじったりする動物も多いです。

傷口を舐めたりかじったりすると、傷口が化膿したり出血したりして、傷の治りが悪くなってしまいます。

また、糸を引っ張って外してしまった場合は、最悪傷口が開いてしまうこともあり、再手術が必要になるケースもあります。

傷口を清潔に保つ

術後服は傷口を覆いますので、傷口が汚れるのを防いでくれます。

傷が床に直接ついてしまったり、草などに当たるのを防ぐのも術後服の目的の一つです。

 

犬の術後服の選び方

では、どのように術後服を選んだらいいのでしょうか?

病院で出してもらう

術後服は、手術の後短期間だけ着る服になります。

犬の体型だけではなく、傷口の場所や大きさによっても適した術後服は違いますので、動物病院で愛犬に合った術後服を出してもらうのが最も確実な方法です。

ただし、動物病院によってはエリザベスカラーのみ扱っているという病院もあり、術後服を出してもらえないこともあります。

そういった病院では、術後服を着せたい場合には、自分で術後服を選ばないといけません。

サイズ選び

術後服を選ぶためには、まずはサイズ選びが必要になります。

術後服のサイズはある程度犬種で決まっていますので、愛犬の犬種で服のサイズを決定することもできます。

ただし、同じ犬種でも体型はさまざまであり、合うサイズも違ってきます。

できれば愛犬のサイズ測定をしたうえで、そのサイズに合った服を選ぶようにしましょう。

サイズ測定は首回り・胴回り・腰回り・着丈などを測定する必要があります。

100円均一のメジャーでいいので、1つ購入し、首回り・胴回り・腰回りはそれぞれ体の周り1週の長さを測定します。

着丈は首の後ろからしっぽの付け根までの長さを測ります。

それらのサイズを基に、愛犬に合う服を選ぶようにしてください。

素材選び

術後服は傷口を守るための服であり、体にしっかりフィットしていないといけません。

ただし、犬にジャストフィットの服を選ぶことはかなり難しく、小さ過ぎると犬の体が圧迫されてしまいます。

そのため、術後服は伸縮性の高い素材でできているものを選ぶようにしましょう。

また、特に夏場は通気性の良い素材を選ぶことも大切で、傷口が蒸れてしまわないようにもしてあげましょう。

オス・メス用の違いに注意

術後服にはオス(男の子)用とメス(女の子)用があります。

その違いは、ペニスの穴があるかどうかです。オス用ではペニスを出すための穴が開いており、おしっこをしても汚れないようになっています。

一方メス用は、メスの外陰部に当たる部分が覆われないようになっていますので、こちらも自由に尿をすることができます。

 

犬種によっての注意

犬種によっても体の形が違ってきますので、それぞれ注意点があります。

胴長の犬種

ミニチュアダックスフントやコーギーなど胴長で足が短い犬にはそれ用の術後服があります。

体の長さの割に胴が細いため、他の犬のような服を選ぶと胴が短くなったり、ぶかぶかになってしまうことがあります。

胴長犬種にはその体形にあった服を着せるようにしましょう。

また、胴長で短足の犬では、お腹の部分が汚れやすくなります。

雨が降った後の散歩や、草が生えた場所を散歩すると、服のお腹部分が汚れてしまうことがあります。

術後服は舐めたり噛んだりしたり、ゴミなどが傷に入るのを防いでくれますが、濡れることに対してのガードは弱いです。

そのため、胴長の犬種では、術後服を着ている間はお腹が汚れてしまいそうな場所の散歩は極力控えるようにしてください。

長毛の犬種

長毛の犬種では、毛球に注意が必要です。

術後服を着ているときは、体と服の間で毛がこすれて毛玉になりやすくなります。

特に脇や内股などは歩くたびにこすれますので、その部位に毛玉がとてもできやすいです。

術後服を脱がせた後は、しっかり毛球を取るようにしてください。

術後服はいつまで着用するのが普通?

術後服を着せるのは基本的には抜糸までもしくは抜糸から数日になります。

通常の手術の場合、抜糸は1~2週間で行います。それまでは術後服は必要になります。

また、抜糸をしても、傷口にかさぶたがあったり、糸が入っていた穴がすぐにはふさがらないため、それらが治るまで術後2,3日服を着せておく必要があることもあります。

傷の治りが遅い他、抜糸しても服が必要になるケースもありますので、脱がせていいかどうかはかかりつけの先生にしっかり確認しておきましょう。

まとめ

術後服は犬の自由を奪うことなく、傷口をガードすることのできる非常に便利なグッズです。

手術後に犬が傷口を舐めてしまって化膿して、治るまでにかなり時間がかかってしまったり、糸を外してしまい再手術になってしまうという可能性もあります。

犬はそういったことはわからないため、飼い主さんがしっかり管理してあげる必要があります。

手術部位を守る方法にはエリザベスカラーなどもありますが、術後服を使いたい方は、今回の記事を参考に術後服をうまく使ってみて下さいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。