タバコを吸う人やその家族必見!タバコの犬への危険性とは【獣医師が解説】

日常の生活には、犬にとって危険なものがいろいろあります。

その一つがタバコであり、タバコは間違って食べてしまうだけでなく、やけどや受動喫煙など犬にとっていくつかの危険性があります。

タバコを吸う人が家族にいる場合はもちろんのこと、タバコを吸わない人でも散歩時にタバコを拾い食いしてしまうなど、愛犬がタバコの害を受けてしまうことはあります。

この記事を読んでタバコの危険性について知っておき、愛犬のタバコによる健康被害を最小限に防げるようにしておいてくださいね。

 

タバコの有害成分とは

犬へのタバコの危険性を知るために、まずはタバコにはどのような有害成分が含まれているのかを理解しておきましょう。

ニコチン

タバコに含まれる最も代表的な有害成分はニコチンです。ニコチンはタバコの誤食の時に特に危険性が高い成分になります。

ニコチンはいくつかの有害作用がありますが、血管収縮、中枢の興奮、自律神経の興奮やマヒなどが主な有害作用になります。

一度に大量にニコチンを接種してしまった場合には、重度のニコチン中毒症状として、虚脱や低血圧、意識混濁が起こり、死に至ることもあります。

タール

タールは発がん物質として知られており、急性の毒性より慢性的な毒性が問題になる物質です。

どの程度の量で犬にがんが発生するのかという研究はありませんが、ウサギの耳にタールを塗り続けると皮膚がんが発生するという実験もあり、慢性的な受動喫煙により、タールを体内に取り込んだ犬では、がんが発生するリスクが高くなってしまうと考えられています。

一酸化炭素

一酸化炭素はタバコの煙に含まれる成分であり、酸素を運ぶヘモグロビンに酸素の代わりにくっついてしまうという性質があります。

つまり、体に一酸化炭素が入り込むと、全身にうまく酸素を回せなくなってしまい、犬は酸欠状態になってしまいます。

具体的な犬への一酸化炭素の害については不明ですが、心臓や肺の病気を持っていてもともと体に酸素が回りにくい状態の犬の場合には、呼吸を悪化させてしまうリスクが高いと考えられます。

その他微粒子

タバコの煙の中には、ニコチンやタール以外にも非常に小さな微粒子が含まれています。

この微粒子はPM2.5と同じように、肺の中に入り込み、炎症を引き起こす可能性があります。

また、微粒子はアレルギーや発がんの原因になる可能性も指摘されており、ニコチンやタールと同じように犬に危険な物質だと考えられています。

タバコが犬に与える害

では、具体的にタバコが犬に与える害について見ておきましょう。

受動喫煙

タバコの先から出る煙を副流煙と呼びますが、その副流煙を吸い込んでしまうことを受動喫煙と言います。

副流煙はフィルターを通しておらず、受動喫煙では有害物質を直接吸い込む血管なるため、大変危険だと考えられます。

犬が副流煙を吸い込むと、タールや微粒子による発がんやアレルギー、一酸化炭素による呼吸状態の悪化などのリスクがあります。

 

やけど

犬にはタバコの火が危ないという認識はあまりありません。そのため、灰皿にあるタバコをくわえたり踏んだりしてやけどしてしまうこともあります。

また、飼い主さんが不意に手を動かしたときにペットの体にタバコが当たってしまうこともありますので、犬を飼っている場合にはタバコの火にもしっかり注意しておいてください。

 

誤飲

犬や猫のタバコの害で最も怖いのが、落ちているタバコを飲み込んでしまう誤飲によるものです。タバコに含まれるニコチンは誤飲によって急性中毒を起こす危険性のある成分です。

ニコチン中毒の量は、犬の体重1㎏当たり約1mgと言われています。

また、体重1㎏あたりニコチン10mgを摂取してしまうと致死量となります。

注意してほしいのは、タバコのパッケージに書いてあるニコチンの量は、「タバコを吸った場合に吸収するニコチンの量」ということです。

タバコにはその10倍程度のニコチンが含まれているため、中毒量は意外と少ないのです。

タバコの種類によってニコチン含有量は違いますが、強いタバコには15mg程度のニコチンが含まれています。

例えば3㎏の小型犬であれば、タバコ1/5本で中毒量、タバコ2本で致死量になる可能性があります。

タバコの種類や犬の大きさによって中毒量は違ってきますので一概には言えませんが、小型犬ではタバコ1本の誤飲は非常に危険だと考えてください。

ニコチン中毒では、嘔吐や下痢、よだれ、パンティング、興奮状態などの症状が起こることが多く、重度のニコチン中毒では意識が混濁し、死亡してしまう可能性もあります。

 

タバコが原因の可能性がある病気

以下にご紹介する病気は、タバコがすべての原因になるわけではありませんが、タバコによってリスクが高くなると考えられている犬の病気です。

腫瘍(いわゆるがん)

タバコを吸う人がいる家では、ペットのがんの発生率が高くなることが知られています。

タールや微粒子などを吸い込むことにより、肺の腫瘍や鼻腔(鼻の中)の腫瘍など呼吸器系の腫瘍のリスクが高まります。

呼吸器系の腫瘍だけでなく、全身性の腫瘍であるリンパ腫も、犬が受動喫煙することによって発症リスクが高まることが知られています。

アレルギー

タバコの煙に含まれる微粒子はアレルギーを引き起こす可能性があります。犬のアレルギーでは、くしゃみや鼻水、結膜炎など以外にも、アレルギー性皮膚炎などが起こる可能性があります。

タバコを吸う時の注意

自分や家族がタバコを吸う場合には、以下の点に気を付けてください。

犬のいないところで吸う

ご紹介してきたように、タバコにはさまざまな害がありますので、受動喫煙させないためにもできれば犬のいない場所で吸うことをおすすめいたします。

後始末はしっかりと

火の付いたタバコをそのままにして置いたり、タバコの吸い殻をその辺に放置しておくと、犬がやけどをしたり誤飲をしてしまう可能性があります。

犬を飼っている場合には、タバコを吸ったら確実に犬が触れない場所に片づけておくことが大切です。

酔っぱらって吸わない

酔っぱらった状態でタバコを吸うと、犬への意識が低くなるため、間違って犬にやけどをさせてしまったり、後始末が不十分になってしまうことがあります。

犬を飼っている家庭では酔っぱらってタバコを吸わないことも大切です。

タバコの匂いの付いた服は着替える

犬は非常に臭いに敏感ですので、タバコのにおいを嫌う犬は多いです。

そのため、タバコのにおいが付いたままの服を着ていると、犬に嫌われてしまったりストレスを与えてしまうこともあります。

できればタバコのにおいが付いた服は着替えるようにしましょう。

散歩の時は要注意

タバコの誤飲の多くは散歩中に起こります。

タバコはそれほどおいしいものではありませんが、食べ物のにおいが付いていたり、落ちているものを何でも食べてしまうわんちゃんでは飲み込んでしまう人もいます。

ポイ捨てしないことはもちろんですが、散歩中には他の人がポイ捨てしている可能性も含め、散歩時の誤飲には注意してください。

まとめ

タバコは犬にとって様々な危険性を含むものになります。この記事を参考に、家族に喫煙者がいる場合には、犬がタバコで健康被害を受けないような対策をしておきましょう。

また、喫煙される方は、自分の健康のためにも禁煙を考えてみてはいかがでしょうか?

自分のためだけでなく愛犬のためでもあれば、つらい禁煙も我慢できるかもしれませんよ!

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。