猫の水分不足解消に。器や給水器の上手な活用術

イエネコの原種であるリビアヤマネコは砂漠地帯に住むため、少ない水でも生きていけるよう体が適応してきました。

そのため、猫も放っておくと飲水量が少なくなりがちで、困っている飼い主さんの話もよく聞きます。

新鮮な水を十分に飲んでもらうには、どうしたらよいのでしょうか。

今回は、猫が水を飲みやすい環境について、食器や給水器の種類と使い方についてお話します。

 

猫に必要な1日の飲水量

猫は、体から水分が失われないように、尿をかなり濃縮して排出します。

しかしこれが腎臓に負担をかける原因に。腎臓病予防のためにも、ちゃんと水を飲んでもらうことは大切なことです。

1日に必要とする飲水量についてはいろいろな計算式がありますが、だいたいの目安として1日に体重1㎏あたり50mlと考えればよいでしょう。

例えば、4㎏の猫なら200ml、5㎏の猫なら250mlとなります。

ただし、飲み過ぎていると感じたら要注意。腎臓病を疑わなければなりません。

1日分の摂取量が1㎏あたり60m以上飲んでいるようなら、獣医師に相談しましょう。

 

猫に水を飲ませやすくする環境とは?

猫は「喉が渇いたな」と感じたときだけ水を飲むため、猫まかせにしていると、飲水量は少なくなってしまいます。

できるだけ水を飲んでもらうためには、次のような工夫が必要です。特に高齢猫は喉の渇きに鈍感なので、飼い主さんが気をつけなければなりません。

水に出会う機会を増やす

水の存在に気づく機会を増やせば、「そういえば水が欲しいかな?」と水を飲んでくれるように。

愛猫の好む場所、通り道など、いろいろな場所に水入れを設置しましょう。

ただし、食事やトイレの場所に近いと飲まなくなることもあるので、できるだけ離して置いてください。

特に多頭飼いの場合は、他の猫と器を共有したくないこともあるため、複数の器を用意することは大切なことです。

静かにゆっくり飲める場所を用意

複数ヵ所水飲み場を用意するのと同時に、それらの場所は、できるだけ静かでゆっくり飲めるような環境にしてください。

特に多頭飼だと、気の弱い猫は他の猫が通りかかるだけで水を飲むことを止めてしまいます。

そんなときは、ちょっとした目隠しをつくってあげても良いでしょう。

飲みやすい高さに調節

床に直接器を置くと、身をかがめなければならず、水を飲むことが不得意な猫はむせてしまうことも。

体勢が辛かったり、むせたりしたら、水を飲む行為自体が嫌になってしまいます。台座を敷き、楽に飲める高さに器を置いてあげましょう。

器の水はいつも新鮮に

基本的に猫は新鮮な水を好むため、いつも汲みたての新鮮な水を与えるよう、できるだけこまめに水を替えましょう。

その際、器もきちんと洗って清潔に。水道水のカルキ臭を嫌う猫には、猫用ミネラルウォーターを利用するのも1つです。

水道水を煮沸してカルキ臭を消すには、10分以上蓋をあけて煮沸しなければならず、少々手間がかかるからです(沸騰したからとすぐに火を止めると、トリハロメタンという有害物質が増加するという研究結果があり、煮沸時間を十分に取る必要があります)。

 

猫が好む器とは?

「器なんてなんでもいい」と思いがちですが、神経質な猫は形や材質によっては水をより飲まなくなることもあります。

猫が好む器とは、どんな器でしょう。

器の形

何かを食べたり飲んだりするとき、ヒゲが容器にあたることを猫は嫌います。

ヒゲは敏感なセンサーだからです。そのため、浅くて広い器にたっぷりと水を張ると、ヒゲが当たらないので、気持ちよく水を飲めます。

とはいえ、器の形には猫ごとに好みがあり、底の深いコップから飲みたがる猫もいれば、大きなお皿から飲みたがる猫も。

その時の気分や状況によって好みが変わることもあるので、いろいろな形の容器を用意してあげるとよいでしょう。

器の材質

プラスチック製の容器は、口の周りにアレルギー性の皮膚炎を起こしてしまう可能性があったり、傷がついて不衛生になりがちなので、あまりお勧めできません。

陶器(セラミック)やガラス、ステンレスが良いでしょう。

材質によって、風味や匂い、温度も変わりますので、いろいろ試して猫の好みを探ってください。

 

給水器のメリット・デメリット

給水器には2種類あり、単純に自動的に給水タンクから水が供給されるようになっているものと、用意した水を循環させて流れるようにしている循環式ものがあります。

前者は電気を使わないもの、後者は電気を使って水流を起こし、フィルターを通してろ過するしくみとなっています。

メリット

どちらのタイプにせよ、給水器を使うメリットは、飼い主さんが留守の時もお水が自動的に給水される点です。

特に循環式のものは、フィルターを通すために汚れやカルキ臭を除去してくれ、常にきれいな水をあげられます。

また、水が流れるため、猫が興味を示し、喜んで水を飲むようになるかもしれません。

デメリット

給水タンクはカビや細菌が繁殖しやすいため、よく洗う必要があります。循環式給水器も、フィルターがあるからといって、容器を洗う頻度が少なくて済むかというとそうではありません。

ふつうの器と同じように水アカがつきますし、フィルターも定期的に交換する必要があります。

また、循環式はモーター音が大きいものもわりと多く、猫が音を嫌がって近づかないことも。

循環式にはさまざまな種類がありますので、水の流れ方、フィルターの性能、入手しやすさ、洗浄しやすさ、モーター音の大きさなどに注意して購入する必要があります。

ちょっと変わった猫の水へのこだわり

猫は、もともと水を飲むことがあまり上手ではありません。そのせいもあってか、水の飲み方には個性とこだわりが表れます。

蛇口・シャワーの水が好き

自分が濡れるのもかまわず、必死に蛇口の水を飲む猫もいますよね。理由は水の流れに興味があるか、新鮮な水が飲みたいからだと考えられます。

冷たい/あったかい水が好き

性格や季節にもよりますが、冷たい水または温かい水を好む猫がいます。

冷たい水は新鮮感があるからでしょう。反対に温かいと味がまろやかになるからと考えられます。

ただし、猫が好きだからと言って極端に冷たい水、または体温以上のお湯をあげてはいけません。

下痢をしたり、舌を火傷したりする可能性があります。

氷が好き

氷を入れると、プカプカ浮かぶさまが楽しいのか、遊びついでに飲んでくれることがあります。

氷が溶けて水がしみ出してくるのを面白がったり、ボール代わりに遊ぶ猫も。

お風呂の床の水が好き

自然で生活していたら、猫は地面にたまった、水たまりの水を飲むはずです。

その野生時代のなごりで、床の水を飲みたいと思うのでしょう。また、水道のカルキ臭を嫌うからとも考えられます。

手に水を浸して飲むのが好き

猫は水に濡れることが嫌いではありますが、好奇心には勝てません。

水遊びが好きな猫も多く、手に水を浸すのは遊びの一環でしょう。

また、普通に飲むことが苦手で、このようにするとむせないで飲めると発見したからかもしれません。

水位や水の存在を確かめるという理由もあるようです。

エリザベスカラーを着けた時はどうする?

エリザベスカラーを装着するととても飲みづらくなり、水分摂取量がさらに少なくなってしまいます。

そんなときは、カラーの径よりも小さい器を用意し、器に足がついた背の高いものか、台座を使って猫が飲みやすい高さに設置してあげましょう。

少し傾斜をつけてあげるとさらに飲みやすくなります。

まとめ

猫は、ちょっとした環境の変化や体調不良ですぐに水分摂取量が減り、脱水を起こしがちです。

今回は器のことを中心にお話しましたが、愛猫に水を十分飲んでもらうには器の工夫だけでなく、鳥のだし汁を加えてみるなど水自体にも工夫の余地があります。

器と水、両方をいろいろ試し、ぜひ愛猫の好みを見つけてください。

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NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。