犬が草を食べる理由と食べさせない方がいい理由とは?【獣医師が解説】

お散歩中に、言葉通り「道草を食う」犬は結構多いです。

犬は肉食寄りの雑食であり、草を食べることは悪いことではありませんが、犬が草を食べるのには危険性もあります。

今回は、犬が草を食べる理由や食べたときのリスクなどを解説します。愛犬の健康のためにもしっかりと理解しておいてくださいね。

 

犬には草は必要ない

犬は肉食寄りの雑食であり、野菜など植物の栄養が必要です。

しかし、品質の良いドッグフードには犬に必要な栄養素がすべて含まれており、ドッグフードを食べていれば草を食べる必要はありません。

人は野菜を食べてビタミンやミネラル、食物繊維などを取ることが健康の秘訣ですが、ドッグフードを食べている犬には草や野菜などは必要ないのです。

そのため、あえて犬に草を食べさせる必要はなく、食べないから何か健康に問題が起こるということはありません。

 

犬は草を食べてしまっても大丈夫?

ただし、草を食べたがる犬は少なくありません。そこで、どんな草なら食べてもいいのかについて考えてみましょう。

犬が食べてはいけない草

犬が食べると危険な草は以下の通りです。

  • ソテツ
  • アサガオ
  • あじさい
  • ユリ
  • キキョウ
  • シキミ
  • センダン
  • セイヨウヅタ
  • イチイ
  • 観葉植物全般など

これらの草には犬に毒性のある成分が含まれています。

多くの観葉植物にも犬が食べると下痢や嘔吐などを起こす成分が含まれているため、観葉植物も犬に食べさせない方が安全でしょう。

また、除草剤などの農薬がかかった草を食べると農薬中毒が起こりますし、他の犬の尿や便の付いた草を食べると感染症や寄生虫症などがうつることもあるので、道端に映えている草には注意が必要です。

犬が食べても問題ない草

一方、犬に安全性が確認されているのは以下のような草です。

  • ドクダミ
  • 犬麦
  • 燕麦(いわゆるペットグラス)

他にも犬が食べてもいい草は多いと思われますが、まだ不明な部分が多いため、安全性が確認されていない草を食べさせるのはやめておきましょう。

 

犬が草を食べる理由

犬が草を食べる理由には以下のことが考えられます。

胃腸の調子が悪い

犬は胃腸の調子が悪く嘔吐をしたい時に草を食べることがあります。

特にペットの草としても有名な燕麦のような、少し硬くて尖った草は、食べると口の中や胃の中を刺激して嘔吐すると言われています。

そのため、愛犬が草を異常に食べたがる場合には、胃腸の不調の可能性があります。

胃腸炎や胃腸内異物、さらには腎不全や膵炎など胃腸の不調を起こす病気は多いので、食欲不振なども見られる場合には早めに動物病院で診察してもらってください。

ミネラル・ビタミンバランスの悪化

犬がフード以外のものを食べたがる状態を異食症(いしょくしょう)と呼ぶこともありますが、異食症は体の中でミネラルやビタミンが不足したりバランスが崩れることで起こると言われています。

これらの不足があると、体が不足したミネラルやビタミンを補うために草を食べたがるようになります。

草以外にも石や異物などを異常に食べようとする場合には、腎臓や肝臓の病気、ホルモン疾患など全身に影響する病気によってミネラルやビタミンが不足している可能性がありますので、動物病院で診察してもらいましょう。

寄生虫症

お腹の中に寄生虫がいても草を食べたがるようになることがあります。

特に若い犬が草を食べたがる場合には寄生虫症に注意が必要です。動物病院で一度検便を受けられることをおすすめします。

ストレス

犬がストレスを感じている場合、何か気を紛らわすために草を食べるようになることがあります。

家族が増えたり引っ越したりしたなど、環境の変化の後に草を食べるようになった場合には、ストレスを解消してあげることを考えてみましょう。

味や食感が好き

特に病気やストレスがなくても、犬は草を食べることがあります。

草の味や食感が好きで食べる犬や興味本位で草を食べる犬もいるようです。そのため、「草を食べる=異常」というわけではありません。

 

草を食べてしまった場合の注意点

草を食べてしまった場合には以下のことを考えましょう。

草の種類を調べて毒性があるかどうかを見極める

草には毒性のほとんどない物、毒性はあるが強くない物、かなり毒性の強いものがあります。

それぞれで対処法が変わってきますので、まずは毒性があるかどうかをしっかり確認しましょう。

特にソテツやユリ、キョウチクトウなどは毒性が比較的強く、命の危険があると言われている草です。

これらの植物を食べてしまった場合には動物病院で早く診察してもらう必要があります。

農薬などの毒物が付いている可能性

草を食べたときには、草そのものの毒性だけでなく、草に付いた有毒物質による毒性も考えないといけません。

特に怖いのが農薬であり、農薬の付いた草を食べた場合には肝臓や腎臓に強いダメージを起こし死に至ることもあります。

食べた草のにおいを嗅いで農薬臭や薬品臭がしないかどうかを確かめるとともに、農薬がまかれた可能性があるかどうかを可能な限り調べましょう。

もし農薬が付いた草を食べてしまった場合には動物病院で催吐処置や点滴などが必要になります。

翌日までしっかり様子を見る

草を食べて中毒が起こる場合、通常食べた直後~24時間以内に何かしらの症状が出てきます。

胃腸を荒らすような草であればすぐに症状が出ますが、体に吸収して毒性を発揮するような草は半日以上たってから症状が出て来ることも多いです。

丸1日はしっかり様子を見て、変わったことがあればすぐに動物病院で診てもらいましょう。

草を食べないようにする方法

異常のように草を食べることにはさまざまな危険性が潜んでいます。そのため、草を食べる癖がある場合には、散歩で草を食べさせないような対策をとることも大切です。

草の生えていない場所を散歩する

目の前にあるものを食べさせないようにするということは非常に難しいです。そのため、最も確実な方法は草の生えていないアスファルトや公園の道などを歩かせることです。

リードをできるだけ短くして、食べそうになったら引っ張る

草など異物を食べてしまう癖のある子を散歩するときは、いざ何か食べてしまうのを防ぐためにリードを短く持っておきましょう。

そして何かを食べそうになったらすぐにリードを引っ張って、食べてしまうのを防ぐようにしましょう。

口輪をする

どうしても草や異物を食べる癖が治らない犬には、散歩中に口輪をするのが非常に有効です。

最近ではアヒル口型の可愛い口輪も市販されていますので、草を食べてどうしても困るという飼い主さんは、口輪をして散歩することも考えてみましょう。

まとめ

犬が食べるドッグフードは完全栄養食であり、それだけ食べていても栄養分は十分に取れます。

道に生えている草には、犬に危険な成分を含んだ草があったり、農薬や殺虫剤など中毒の原因になる物質が付着していることもあります。

犬に草を食べさせるメリットは少なく、リスクもあるので、犬に草を食べさせないようにしておくことをおすすめします。

どうしても犬が草を食べたがる場合には、ペットの草など犬が食べてもいい草を購入して与えるようにしてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。