猫のノミ・マダニ予防薬フロントラインの必要性と使い方の注意点【獣医師が解説】

犬や猫のノミ・ダニ予防薬の代表といえばフロントライン。発売開始からすでに20年以上も経つ歴史の長い予防薬です。

フロントラインは背中に垂らすだけでノミやマダニの駆除をし、1か月以上予防が可能な便利な薬です。

愛猫の健康のために大切なフロントライン、どんな薬なのか解説いたします。

 

猫のフロントラインはどんな時に必要?

フロントラインは、ノミやマダニの駆虫および予防ができる薬です。また、子猫に時々寄生するハジラミにも効果のあるお薬です。

フロントラインの必要性の高いシチュエーション

以下のようなシチュエーションでは、ノミやマダニ感染のリスクが高く、フロントラインの必要性が高くなります。

  • 室内外を行き来する
  • 春~秋
  • 子猫を保護したとき(8週齢以降)
  • 多頭飼い

必要性が低いシチュエーション

以下のようなシチュエーションでは、ノミやマダニの感染リスクが低いため、必要性は低くなります。

  • 完全室内飼い
  • 冬場

ただし、冬場にもマダニは活動していますし、ノミは13℃以上あれば繁殖できるため、冬場でも室内ではノミが増えてしまうこともあります。

また、完全室内飼いであっても、病院やペットホテルに連れて行ったとき、さらには飼い主の服や靴に偶然ついたノミへの感染などノミやマダニに感染するリスクはゼロではありません。

完全室内外や冬場には必要性が低くはなりますが、ノミやマダニの感染のリスクはゼロではないということを理解しておきましょう。

 

フロントラインとフロントラインスプレー

フロントラインにはスポイトタイプとスプレータイプがあります。それぞれに特徴があり、その場に応じて使い分けることができます。

スポイトタイプ

一般的にフロントラインという場合には、スポイトタイプのフロントラインをさします。

スポイトタイプには「フロントライン」と「フロントラインプラス」があり、前者はノミの成虫のみ、後者はノミの成虫だけでなく卵や幼虫にも効果があります。

最近は、フロントラインプラスが流通していることが多く、動物病院で処方されるフロントラインのほとんどはフロントラインプラスです。

スポイトタイプのフロントラインには以下のような特徴があります。

  • 背中に垂らすことで1か月効果が持続(ノミには1~2か月)
  • 使い方がシンプルで確実な効果を得ることができる
  • 8週齢未満の子猫には使えない

スプレータイプ

フロントラインには、「フロントラインスプレー」というスプレータイプの薬もあります。

フロントラインスプレーは、猫の被毛にスプレーをすることでノミやマダニの駆除・予防効果を得ることのできるもので、以下のような特徴があります。

  • 8週齢未満の子猫にも使うことができる(生後2日の猫の安全性が確認されている)
  • 多頭飼いの場合には、スポイトタイプよりも割安になる
  • 被毛全体にスプレーをする必要があり、使用法によっては効果が不安定になることがある
  • スポイトタイプと比べ、シャンプー禁止の期間が長い

スポイトタイプとスプレータイプの使い分け

フロントラインを使う場合には、一般的には使い方がわかりやすく、確実な効果を得られるスポイトタイプがおすすめです。

一方、以下の2つのシチュエーションでは、フロントラインスプレーがおすすめです。

  • 8週齢未満の子猫に使いたい
  • 多頭飼いで費用をできる限り抑えたい
 

フロント ラインの使い方

フロントラインの使用法は比較的簡単ですが、うまく使うための手順とポイントは以下の通りです。

スポイトタイプ

スポイトタイプのフロントラインの使い方は以下の通りです。

  1. アルミシートを破ってスポイトを取り出す
  2. スポイトの先端を上にして、指ではじく(上に入ってしまっている液体を下に落とすため)
  3. 白い面を下にして、スポイトの切れ込み部分を折る
  4. 首筋(肩甲骨の間)の毛をかき分け、液体を全量垂らす

スプレータイプ

フロントラインスプレーはスポイトタイプに比べて少し使い方に注意が必要です。

  1. スプレーの突起部分を押しながら、青い半球部分をスプレー表示の場所まで回す
  2. 猫の毛を逆立てながら、猫の体から10~20㎝離れた場所から毛の根元に向けてスプレーを噴射
  3. 腹部、前肢、後肢、首、腹などにもスプレーする(顔回りにはやらない)
  4. プッシュの回数は、毛の長さと体重の一覧表に照らし合わせて行う
  5. 自然に乾くまで放置する
 

フロントラインを使った時の注意点

フロントラインを使った後には以下の点に注意してください。

投与後丸1日はお風呂に入れない

フロントラインの有効成分は、体の表面の脂分を伝って全身に回り、全身の皮脂腺に蓄えられます。

そのため、投与後24時間以降であればシャンプーや水浴びなどをしても効果は変わりません。

ただし、その前にシャンプーや水にぬれたりしてしまうと、投与したフロントラインが流れ落ちてしまう可能性がありますので丸一日はシャンプーや水に濡れないようにしましょう。

フロントラインスプレーの場合は、スプレーをする前とした後2日ずつはシャンプーや水浴びは控えてください。

他の猫が舐めないようにする

フロントラインは非常に安全性が高い薬で、猫が舐めてしまっても中毒を起こすことはまずないと言われています。

ただし、フロントラインの基剤にはアルコールが使用されており、舐めるとアルコールの刺激により嘔吐やよだれが出てしまうこともあります。

多頭飼いでお互いに舐めてしまう場合には、フロントラインを垂らしたら1時間くらいはお互い舐めないよう隔離しておく方がいいでしょう。

手に付いたら洗い流す

フロントラインはノミやダニなどの節足動物への毒性は強いですが、ヒトや猫への安全性は高い薬になります。

そのため、自分の手についてしまったくらいであれば手洗いして様子を見ていただいて構いません。

ただし、目に入ってしまった場合には即座に洗い流し、その後違和感が残る場合には人の病院に受診するようにしましょう。

猫の皮膚が荒れる場合は動物病院へ

フロントラインは安全性の高い薬ですが、まれに投与した部位の皮膚炎を起こすことがあります。

投与した部位が脱毛したり赤くなっている場合には、副作用の可能性が高いため動物病院で診てもらうようにしましょう。

他の動物には使わない

猫用フロントラインは猫以外の動物には使わないようにしてください。

犬には犬のフロントラインがありますし、ウサギなどのエキゾチックアニマルにはフロントラインは禁忌とされています。

使うと危険な副作用が出ますので、絶対に猫以外の動物には使わないでください。

フロントラインと他のノミ・マダニ予防薬の違い

現在、猫に使えるノミやマダニの予防薬は、フロントライン以外にもいくつかあります。

レボリューション

猫に使うノミの薬として有名なのがレボリューションです。レボリューションとフロントラインの違いはその効果の範囲です。

フロントラインとの共通点

  • ノミの成虫、幼虫、卵に効果

フロントラインとの相違点

  • マダニ・ハジラミには効果なし(2018年新発売のレボリューションプラスはマダニに効果あり)
  • フィラリア・耳ダニ・回虫に効果あり
  • 生後6週齢から投与できる
  • 投与後2時間からシャンプーができる

ブロードライン

ブロードラインは、フロントラインの効果の範囲をさらに広げた薬という位置づけになります。

フロントラインとの共通点

  • ノミの成虫・幼虫・卵に効果あり
  • マダニに効果あり

フロントラインとの相違点

  • フィラリア・回虫・鉤虫・瓜実条虫・多包条虫(エキノコッカス)に効果あり
  • ハジラミに効果なし
  • 体重によってサイズの違いがある(フロントラインにはサイズの違い無し)

市販のノミ・マダニ予防薬

動物病院ではなく、ペットショップなどでも数種類のノミ・マダニ予防薬を購入することができます。

ただし、費用以外のメリットがなく、デメリットも大きいため、ペットショップでノミ・マダニ予防薬を買うのはあまりおすすめできません。

フロントラインとの共通点

  • 背中に垂らすことで、ノミやマダニに予防効果がある

フロントラインとの相違点

  • 効果が定かではない(50%程度しか効かないというデータあり)
  • 動物病院でなくても購入可能(診察がいらない)
  • 皮膚炎など副作用のリスクも高い

通販でフロントラインを購入する際の注意点

最近では、フロントライン(プラス)を通信販売で買うこともできます。その場合には、以下の点に注意が必要です。

  • 違法に販売されているものが含まれる
  • 本物が送られてくる保証がない
  • 使用の必要性やリスクなどの判断や副作用などに関してはすべて自己責任となる

フロントラインは安全性はかなり高い薬ですが、こういったリスクもありますので、信頼できる動物病院で処方してもらうことをおすすめいたします。

まとめ

フロントラインは猫のノミ・マダニの予防に非常に信頼性の高い薬です。

最近ではSFTSなどマダニが原因で感染する感染症が猫からヒトにうつったというニュースもあり、ネコだけでなく飼い主様家族の健康のためにも猫のノミ・マダニ予防をしっかり行う必要があります。

フロントラインだけでなく、レボリューションやブロードラインなど猫に使えるノミ・マダニ予防薬は増えてきていますので、その必要性に合った薬を選ぶようにしてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。