猫のためにできること。何からはじめよう、猫のボランティア活動

近年、猫の殺処分数は大幅に減少してきていますが、その大きな原動力となっているのが猫の保護活動を行っている、個人、団体のボランティアたちです。

彼らの地道な活動によって、多くの不幸な猫たちが救われるようになってきました。

一方で、猫の殺処分数は犬の4倍とまだまだ多く、ボランティアの協力が今後ますます必要となります。

今回は、猫ボラ初心者のかたのために、ボランティア活動の基本について詳しくお話しします。

 

活動を始める前に考えるべきこと

ボランティアといっても、始めたらそれなりの責任が伴います。

どこのボランティアの現場も人手不足。

自分の勝手で急にやめたりすると、他のボランティアにも迷惑がかかりますし、何よりも猫にしわ寄せが。

ボランティアを始めるにあたって、無理をせずできること、今の自分にどんなことが可能なのか、よく考えなくてはなりません。

時間にどのくらい余裕があるか

例えば十分に時間に余裕があるのであれば、ボランティア団体の施設で猫たちのお世話、という仕事があります。

逆にあまり余裕がないという人であれば、イベントの手伝いなど一時的な参加も可能です。

お金にどのくらい余裕があるか

猫を預かる際の餌代やトイレ代、ボランティア活動を行う場所への交通費などは基本自分持ち。

活動経費はすべて自分で支払う気持ちで参加しましょう。

家族の理解・協力を得られるか

ボランティア活動について家族の理解がないと、後々家庭問題に発展することもあります。

よく話し合って、活動に賛成してもらいましょう。

また、家にある程度スペースがあって、家族の協力が得られれば、猫を一時的に預かるといった活動も可能になります。

 

猫のボランティア活動とはどんなこと?

活動には、大きく分けて「飼い主のいない猫の保護活動」と「飼い主のいない猫を地域でそのまま管理する地域猫活動」という2つの領域があります。

飼い主のいない猫の保護活動

野良猫や自治体施設で殺処分になる猫を保護、また、多頭崩壊現場や災害現場から猫を保護し、新たな飼い主(里親)を探して譲渡する活動です。

単に保護して里親に渡すだけでなく、健康状態をできるだけ回復させたり、人に慣れさせたりなど、里親が安心して飼えるようにすることも大切な仕事です。

活動団体によっては、保護猫カフェを運営し、猫と里親さんが触れ合う機会をより多く提供していることもあります。

地域猫活動

地域の野良猫たちの餌やり、糞尿の管理、繁殖制限を行います。

地域猫とは自治体など(行政)・ボランティア・住民が協力し、飼い主のいない猫を減らし、地域環境問題の解決をはかる活動です。

飼い主がいないからといって、殺処分するのではなく、繁殖制限をした上で、その子の命だけはまっとうさせてあげようという趣旨で始まりました(野良猫の寿命は短く、3~4年程度)。

この活動は、現状把握、餌やりの同意、トイレの設置場所の提供など、行政と地域住民の協力と理解なくしては成り立ちません。

地域ぐるみで野良猫を管理し、少なくしていこうという活動で、日本ではこの数年でようやく認知されるようになりました。

TNR活動とは

地域猫活動の中で行われているのが、最近よく耳にするTNR活動です。

TNR活動(trap-neuter-return)とは、野良猫を捕獲し、去勢・避妊してまたもとの地域に戻す活動で、野良猫の繁殖を制限する1つの方法です。

地域猫活動をせずに、TNR活動のみを行っている場合もあります。

 

ボランティア活動における仕事とは

今述べてきたボランティア活動にはさまざまな仕事があり、役割が分担されています。

自分の興味はもちろん、時間的経済的余裕や能力を考えて選びましょう。

ボランティア団体に相談すれば、自分に合った仕事を紹介してくれるでしょう。

「飼い主のいない猫の保護活動」で求められる仕事内容

  1. 捕獲活動:飼い主のいない猫を保護するために捕獲(または引き取り)する活動。
  2. 病院搬送:保護した猫の健康診断・治療を行うため動物病院への送り迎え。
  3. お世話:ボランティア施設にて、保護した猫の餌やり、ケージ・トイレの清掃といったお世話。野良生活が長い猫の、人馴れ訓練もします。
  4. 一時預かり:保護猫を家に連れて帰って、自宅で里親が見つかるまでお世話(ボランティア団体によって条件があります)。
  5. 里親探しの情報拡散:里親募集のホームページやSNS、紙媒体での告知作業。
  6. 譲渡会場探し:譲渡会場を提供してくれる個人や企業を探す作業。
  7. 譲渡会の企画・運営・宣伝:譲渡会を開催するにあたっての準備作業。
  8. 譲渡会当日の対応:お客さんや里親候補さんの対応、猫のお世話など、譲渡会開催日当日の諸作業。
  9. 猫の搬送:里親さん宅へ訪問、猫をお届け。
  10. その他:保護猫カフェを併設している場合はその運営や、イベントの企画・運営、資金調達(フリーマーケットなどの開催)、事務仕事など。

地域猫活動の仕事

  1. 地域猫の調査・記録:その地域にいる野良猫の個体識別を行い、出入りを調査。
  2. 地域住民への告知:地域猫活動を行うことの協力や告知。
  3. 地域猫のお世話:定期的な餌やり、トイレの設置、清掃など。
  4. 地域猫の捕獲:TNR活動のための捕獲作業。
  5. 病院への搬送:捕獲した野良猫の避妊・去勢手術のための病院搬送。
  6. リリース:手術を終えた猫を病院へ迎えに行き、地域にリリース。
 

猫ボランティアに応募するには

ボランティアを募集している団体は、自治体などの行政の施設と私設の保護団体とがあります。

それぞれ、ホームページなどで告知していますので、募集要項を熟読してから応募するようにしてください。

自治体の募集の特徴

自治体の場合、保健所や愛護センターなどで譲渡対象となる猫についてのボランティアがあります。

事前オリエンテーションが必要な場合が多く、募集条件が厳しいことも。また、仕事内容は限定的です。

保護団体の募集の特徴

その団体の運営方針・内容によってさまざまな仕事があります。

そのため、自分の労働条件にみあった仕事を見つけやすいともいえますが、その団体の活動方針に自分がちゃんと賛同できるかどうか、よく見極めることが大切です。

個人でもできるボランティア

個人ですぐにできる猫ボランティア活動は、野良猫の保護と里親さん探しです。

子猫を拾った、近くで野良猫が赤ちゃんを産んだという場面に出くわしたら、積極的に保護して、里親さんを見つけましょう。

里親さんに譲渡するまでの手順は以下の通りです。

1.猫を保護する

まずは野良猫か迷い猫か、または単に飼い猫が外出しているだけかを見極めましょう。

近所の人に聞くか、迷い猫であれば、警察や保健所・愛護センターに届け出があるかもしれませんので確認が必要です。

迷い猫サイトでも検索してみましょう。飼い猫でも迷い猫でもなければ、保護し、里親さん探しへ入ります(迷い猫の場合も保護して、飼い主を探してあげましょう)。

2.動物病院へ

保護したら、まずは動物病院へ連れていきましょう。健康診断を受け、伝染病・寄生虫の有無を調べます。問題があったら、治療しましょう。

3.里親探し

最も効果的なのが、里親探しのサイトを活用することです。このとき、里親の条件をしっかり提示し、いかに良い里親さんを見つけるかが大切です。

場合によっては里親さん宅を訪問し、家庭環境を確かめるのもよいでしょう。

4.譲渡

里親宅に猫をお届けし、譲渡します。里親とは終生飼養の契約をかわし、ワクチン接種・不妊手術、経過報告をしてもらうことが一般的です。

契約書は、里親サイトでもダウンロードすることができます。

ボランティアをする際の心構え

個人で行うにせよ、団体の中で活動するにせよ、実際にボランティアをする際には、次のような心構えが必要です。

猫ボランティアといっても結局は「人対人」

猫ボランティアで救おうとするのは当然猫ではありますが、その猫を飼うのも捨てるのも、殺すのも、結局は人です。

さまざまな人たちとある意味交渉して理解を得ていくことがボランティア活動にとって、とても重要なことです。

世の中には猫が嫌いな方もいます。時には理解が得られず、つらい言葉を投げかけられることも。

それでも少しずつ理解を得ていくよう努力しようという気持ちが大切です。

コミュニケーションが大切

もちろん、1匹でも多くの猫を救いたいという気持ちはみな同じですが、同じ猫の保護活動をしていても、団体によって少しずつ考え方が異なります。

また、同じ団体の中でも人によっても考え方が違うこともあります。

考え方の違いをどこまで許容できるか、あるいは主張すべきか、これは実社会とまったく同じですが、ボランティアだからこそシビアな面もあります。

ボランティアは互いの協力体制によって成り立っていますので、よくコミュニケーションをとってお互い理解しあうよう気をつけましょう。

ボランティア団体は運営側もボランティア

自治体と違い、ボランティア団体は代表者でも中堅でも、みな自分の貴重な時間を割いて、身を削って働くボランティアです。

マンパワーは限られていますし、できる人まかせにするのではなく、自分でできることは自ら行うという気持ちで活動に臨みましょう。

地域住民に配慮する

地域住民の中には、猫に関心がないどころか、積極的に嫌いな人や、実害を被っている人もいます。

そのような人の気持ちに立って活動するようにしましょう。特に地域猫活動の場合、餌の食べ残しやトイレの後片付けは非常に大切です。

地域猫活動の心構え

地域猫活動はまだまだ歴史が浅く、上手くいかずに野良猫を増やしてしまい、かえって地域住民の猫嫌いを加速してしまうこともあるようです。

その原因の1つは、地域住民からの協力と理解が得られず、中途半端な活動になってしまうこと。

もう1つは、厳格に繁殖制限できず、また餌の片づけが甘く、他地域から残飯目当てに野良猫が集まってくる、といった、管理面が不完全であったことです。

地域猫活動はまだまだ難しい分野で、一人で取り組むことはとても難しいでしょう。

自治体・地域住民・ボランティア仲間と3つのグループがしっかり話し合い、互いに知恵を出し合って対策していく必要があるようです。

まとめ

日本では、猫の殺処分減少の原動力は猫のボランティアです。

これは、言い換えれば、ボランティアに頼りきりの現状を意味しています。多くのボランティア団体はいつも人手不足の状況で、まさに猫の手も借りたいくらいです。

1匹でも多くの猫を救うためにも、できることから参加してみてはいかがでしょうか。

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NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。