意外なリスクも!犬が梅干を食べたときの危険性とは【獣医師が解説】

疲労回復や風邪の予防など、人の健康にいいとされる梅干しですが、犬にとっても良い食べ物なのでしょうか?

実は、梅干しは犬には与えない方がいい食べ物なのです。その理由は塩分と種。場合によっては命の危険にもつながることもある、犬に梅干しを与えるリスクについて解説いたします。

 

梅干しとはどういう食べ物か?

梅干しは梅を塩に漬け込んで作られる食べ物です。

梅干しに多く含まれる栄養成分

梅干しには以下のような成分が多く含まれています。

  • 塩分
  • クエン酸やリンゴ酸などの有機酸:疲労回復や食欲増進によいとされています
  • エポキシリオニレシノール:ポリフェノールの一種で、インフルエンザウイルスなどの増殖を抑えると言われています
  • 梅リグナン:抗酸化物質で、老化防止の効果が期待されています

さらには、梅干しはアルカリ性食品であり、体が酸性に傾くのを防いで健康増進作用を持つと考えれられています。

こういった様々な効果により、梅干しは健康に良いとされています。

犬に梅干を食べさせるデメリット

人と同じく犬にも、梅干しには健康に良い面があると考えられます。しかし、それ以上に犬には危険性が高い食べ物です。

塩分が非常に多い

犬は人に比べ塩分(ナトリウム)の必要量が非常に低い動物です。体重10㎏の犬であれば、1日食塩1g(1,000mg)程度で十分だと言われています。

通常の梅干し1個(約20g)には塩分が食塩4.7g分も入っていると言われています。

つまり10㎏の中型犬でも、1個の梅干しを食べると5日分の塩分を取ってしまうという計算です。

小型犬なら梅干し1個が、1週間分以上の塩分に相当します。減塩梅干しでも小1個で10㎏の犬の1日分の塩分があると言われています。

塩分過多は腎臓や心臓などの循環器に負担をかけると言われています。

犬には心臓病や腎臓病が多く、塩分摂取量には注意が必要です。

また、一気に塩分を取り過ぎると食塩中毒という怖いじょうたいになることもあるため、犬に梅干を食べさせるのは危険なのです。

種が腸閉塞を起こす可能性

梅干しの種は小型犬でも丸呑みできるくらいの大きさですが、小型犬の腸を通るには大きすぎるサイズです。

小型犬の小腸は1㎝ないこともあり、それ以上のサイズのものは詰まってしまいます。

また、中~大型犬でも運が悪いと梅干しの種で腸閉塞を起こす可能性はあります。

種をかみ砕いて食べた場合には、胃の中で消化されて小さくなることが多いですが、丸呑みした場合には胃酸で溶けずに腸に流れてしまい、腸閉塞を起こす可能性が高くなります。

 

犬は梅干しを欲しがる理由

犬が自然界で食べるものにはほとんど塩分が入っておらず、塩分をほとんど感じることはないと言われています。

そのため、犬はしょっぱいものをあまり苦手にしておらず、飲み込みやすい梅干しに興味を持つと考えられます。

特に飼い主さんが食べているものをもらって食べる癖がある犬の場合には、「ヒトが食べているもの=おいしいもの」という認識がある犬も多いです。

そのため、ヒトが食べている梅干しはおいしいのではないかと思って欲しがるようです。

 

梅干しを食べてしまった場合には

では、梅干を食べてしまった場合にはどうしたらいいのでしょうか?

獣医師にすぐ相談を

梅干しの危険性は

  1. 塩分が多い
  2. 種が腸閉塞を起こす可能性があるということです。

つまり、以下のような場合にはすぐに動物病院に相談が必要になります。

  1. 大量に梅干を食べてしまった場合食塩の致死量は犬で体重1㎏あたり4gと言われています。小型犬が大きめの梅干を食べてしまった場合や、大型犬でも数個以上の梅干を食べてしまった場合には食塩中毒を起こす可能性があり危険です。
  2. 種ごと丸呑みした場合腸閉塞を超す可能性があります。

梅干しを食べて起こる可能性のある症状

梅干しを食べた場合には、食塩中毒もしくは腸閉塞を起こす可能性があります。

食塩中毒の症状

梅干しによる食塩中毒の症状は以下の通りです。

  • 嘔吐
  • 元気の消失
  • ふらつき
  • 意識レベルの低下
  • 発作など

食塩中毒は食べて数時間以内に症状が起こることが多いです。

腸閉塞の症状

一方、種による腸閉塞の症状は以下ようなものです。

  • 嘔吐
  • 食欲低下
  • 腹痛
  • 下痢など

腸閉塞の症状は、食塩中毒よりも遅く出ることが多く、食べてから半日~数日くらいの間で発生することが多いです。

梅干を食べた場合の治療法

梅干を食べてから数時間以内であれば、胃の中で消化吸収されていないことも多く、催吐処置が有効になることが多いです。

動物病院で薬を使って吐かせることで、中毒や腸閉塞の発生を予防することができます。

すでに食塩中毒の症状が出てしまっている場合には、点滴で塩分(ナトリウム)を体外に出す治療を行うことになります。

重度の食塩中毒は治療しても死亡してしまうこともある怖い病気です。

一方、種が腸閉塞を起こしてしまった場合には開腹手術が必要になります。

全身麻酔で開腹し、腸に詰まった種を取り出します。

腸閉塞を起こして時間がたってしまうと腸の壊死や腹膜炎から命を落としてしまうこともあります。

早めに治療を行うことで、重度の症状が出てしまったり手術が必要になったりするのを防ぐことができることもあるので、中毒や腸閉塞のリスクがありそうな場合には様子を見ずにすぐに獣医師に相談するようにしましょう。

経過観察ができる場合

以下のような場合には、中毒や腸閉塞のリスクは低いため、少し様子を見てみてもいいでしょう。

  • 梅干しを少し舐めてしまった
  • 種の入っていないうめちゃずけを少し食べた
  • 梅干しの種をかみ砕いて食べてしまった

ただし、何か変化があった場合にはできるだけ早めに動物病院に連絡するようにしましょう。

梅干しの盗食をふせぐためにできること

梅干しを食べてしまうのにはいくつかのパターンがあります。

  • 落ちていたものを盗食
  • 種をゴミ箱をあさった
  • 飼い主が与えた

などといったケースをよく耳にします。そのため、梅干しの盗食を防ぐためには、犬が口にするような場所には梅干しやその種を置いておかないことはもちろんのこと、家族みんなが与えないようにすることが大切です。

お子さんがいる家庭では、子どもにしっかり注意をしておきましょう。

また、酔っぱらってお父さんがお酒に入った梅の種を上げてしまうなどと言ったケースも実際に経験したことがあるので、家族みんなに注意しておくことが必要です。

 

まとめ

梅干しは、意外に知られていない犬ぬ危険な身近なものです。

梅干を食べることで発症する可能性のある食塩中毒や腸閉塞などは、犬の命に係わる危険な病気です。

「人の健康にいいから犬にもいいだろう」と与えると、愛犬を危険な目に合わせてしまう可能性もあります。

梅干しの危険性を知っておき、愛犬を危険な目に合わせないようにしてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。