犬の血統書ってどんなもの?その見方や必要性を知っておこう【獣医師が解説】

犬の血統書とは、その犬がどのような血統を持っているかの証明書です。人でいう戸籍と同じようなものになります。

では、血統書にはどういった内容が書かれているのでしょうか?見るポイントは何でしょうか?血統書を持つメリットと一緒に考えてみましょう。

 

犬の血統書で分かること

日本で最も一般的な、ジャパンケンネル倶楽部(JKC)が発行する犬の血統書には以下ような内容がかかれています。

犬種

JKCの血統書は純血種にしか発行されません。JKCに登録のある133種のうち、該当の犬種名が記されています。

生年月日

血統書には当然のことながら、生年月日が記載されています。血統書の生年月日が、最も信頼できる生年月日です。

毛色

犬の毛色の情報が載っています。JKCでは数十種類の毛色を定めており、それぞれ記号で記載されています。

登録番号

JKCの登録番号が載っています。登録番号は、犬種記号(アルファベット)+5ケタの英数字+年号(下2ケタ)になっています。

また、登録番号以外にDNA番号が付いている場合もあります。有料にはなりますが、自分で愛犬のDNAの登録を行うこともできます。

両親・祖先

血統書には両親や祖先の名前が書いてあります。

愛犬から数えて3代前(両親、祖父母、曾祖父母)までの情報が載っています。

追加料金を支払うことで、さらに一代昔までの「4代祖血統証明書」を発行してもらうことも可能です。

兄弟の数

血統書には、同時に生まれた兄弟の数が載っています。オスメス別に兄弟の頭数が記載されます。

産まれた犬舎名

JKCに登録のあるブリーダーは、それぞれ犬舎名を持っており、その犬舎名も血統書に載っています。犬舎名が分かればその子の兄弟などの情報がわかることもあります。

ブリーダー名

血統書には、繁殖者や所有者の名前も載ります。通常、ブリーダーは繁殖者に名前が載っている人になります。

手続きが済んでいれば、所有者には飼い主様の名前が載ります(変更手続きが済んでいないと、ブリーダー名が載っていることもあります)。

関節の病気のリスク

JKCの血統書には、関節の状態の評価(股関節形成不全や肘異形成の有無)が数字や記号で記載されていることがあります。

ただし、この検査は任意検査であり、評価の難しい子犬の場合には、関節の評価が載っていないことも多いです。

 

血統書に関する手続き

血統書はあくまでその血統を証明する証書です。そのため、法律で決まっているわけでもなく、普段の生活で必要になる機会もほとんどありません。

つまり、血統書に関する手続きは必須のものではなく、血統書が必要のない人は手続きしなくても問題ありません。

ただし、コンテストに出す場合や交配をする際に必要になるケースはありますので、血統書に関する手続きについても簡単にご説明いたします。

ペットショップやブリーダーに手続きを任せる

血統書の登録・変更・発行には少し手間がかかります。

一番確実な方法は、購入時にペットショップやブリーダーにお願いして、血統書の所有者変更や発行をしてもらうことです。

血統書の発行にかかる費用は最初から犬の購入金額に含まれていることもありますし、オプションで費用が掛かることもあります。

ただし、血統書を維持するためには、以下にご説明するJKCの年会費が毎年必要になってきます。

自分で変更手続きをする

購入時にすでに血統書が付いている場合には、血統書の変更手続きをすることで所有者を自分にすることができます。

血統書の裏面には「所有者名義変更届」が付いていますので、それに必要事項を記入し、提出(郵送もしくは各クラブ窓口)するとともに、登録料金(JKC入会金・年会費・名義変更料=7,200円)を支払うことで所有者の名義を自分にすることが可能となります。

譲渡や死亡時の届け出

犬を譲り受けた場合にも、犬を飼い始めたときと同様に名義変更することが可能です。

また、血統書のある愛犬の死亡時には、JKCに届け出るようにしてください。ただし、これらの手続きは義務ではなく任意のものになります。

一方で、市町村への届け出は、飼い主の変更や犬の死亡時に必要です。狂犬病の済票や鑑札などの返却も含め、市町村への手続きは忘れないようにしてください。

 

血統書を持つメリットとデメリット

ブリーダーなどを除いて血統書を持っている一般の飼い主さんは多くはありません。

血統書があるメリットとデメリットについて知っておきましょう。

血統書を持つメリット

  • 純血種であるという客観的な証明になる
  • 犬種には犬種標準という基準があるため、大人になった時の大きさや体型、見た目、性格などが想像できる
  • 子犬の血統書発行のために必要
  • 交配するための相手が見つかりやすい
  • 里親探しがしやすい

血統書を持つデメリット

  • 最初だけでなく毎年費用が掛かる
  • 血統書がなくても犬を飼う支障にはならない
 

血統書に関するよくある疑問

血統書に関してよくある疑問についてまとめてみました。

血統書は必要?

血統書は絶対に必要なものではありません。

犬を飼い始めたら、狂犬病の予防接種を行い、市町村に登録するのは法律で決まった飼い主の義務です。

時々、この登録と血統書の発行を混同してしまっている人がいるようですが、血統書は絶対に必要なものではありません。

一方、市町村への犬の登録は、狂犬病の予防接種を行ったうえで、動物病院や市町村の役所で行うことが義務付けられています。

血統書の発行元は?

現在、日本で発行される血統書の大部分はジャパンケンネル倶楽部(JKC)によって発行されています。

JKCは国際畜犬連盟という国際機関に加盟しており、国際基準で血統書を発酵することができます。

そのほか、日本犬保存会・日本警察犬協会・日本シェパード犬登録協会・KCジャパンなどが血統書を発行しています。

MIX(雑種)犬の血統書は発行できる?

JKCでは登録のある純血種以外の血統書の発行は行っていません。

基本的にはMIX犬には血統書はないと考えていただいた方がいいでしょう。

ただし、両親の血統がわかれば血統書を発行してくれる機関もあるようですので、どうしても欲しい人は、ブリーダーさんやペットショップに問い合わせてみましょう。

血統書がない犬は怪しい?

血統書は、JKCなどに登録されている両親から産まれた子犬に対して発行されるものです。

母犬もしくは父犬が登録されていないと血統書は発行されません。

ブリーダーなど繁殖を商売にしている場合には通常、繁殖犬の登録をしているので血統書は発行されるはずです。

しかし、売買を目的としない一般の人はJKCへ登録していないことも多いため、「血統書がない=純血種ではない」とか「血統書がない=怪しい」ということではありません。

信頼している人から買ったり譲り受けたりする場合や、犬種に強いこだわりがない場合には血統書の有無にこだわる必要はないでしょう。

一方で、確実に血統の分かった純血種を飼いたい場合には、血統書の有無を確認してくことをお勧めします。

血統書は購入するときについてくるの?

ペットショップで購入する場合、血統書は購入してから数週~数か月で送られてくることが多いです。

これは登録の変更手続きなどをするのに時間がかかるためです。

一方、ブリーダーから直接購入する場合には、最初から血統書が付いてくることもあります。

最初から血統書が付いてくる場合には、所有者がブリーダーになっているため、変更したい場合には自分で手続する必要があります。

血統書の再発行はできるの?

JKCの血統書は再発行可能です。ただし、

  • 登録番号がわかっている
  • 所有者による申請

が必要になります。つまり、登録番号がわからない場合にはブリーダーやペットショップなどに番号を確認する必要があります。

また、名義の変更が終わっていない血統書を紛失した場合には、血統書の所有者(犬の前の飼い主もしくはブリーダー)から再発行してもらい、その後名義変更を行う必要があります。

血統書にかかる費用は?

2018年現在、JKCの血統書に関連する費用は以下の通りです。

  • JKC入会金:2,000円(入会時のみ)
  • JKC年会費:4,000円(毎年)
  • 登録料:2,200円(生後90日以内)
    :5,600円(生後91日以降)
  • 名義変更:1,200円(血統書発行から6か月以内)
    :3,400円(血統書発行から6か月を超えた場合)
  • 再発行料:3,400円

その他、会員証発行料や写真プリント代、各種登録費用などもかかります。

血統書を維持するためには、最初に数千円、その後毎年4,000円の費用が掛かります。

血統書の発行料が犬の値段に含まれている場合には、購入時に費用は掛かりませんが、維持をするためには毎年JKCの年会費が必要になります。

犬の血統書詐欺に注意

血統書には偽物の血統書を発行する血統書詐欺も多いようです。

以前は、実際の出生数よりも多くの血統書を申請し、血統書のない犬から生まれた子犬にもその血統書を付けてしまうという詐欺が多かったようです。

しかし、最近はDNA登録の義務化などによりそういった詐欺は減ってきています。

一方、血統書付きと言われて買ったのに、ブリーダーやペットショップから一向に血統書が送られてこないというトラブルもよく耳にします。

子犬を飼う場合には、しっかり契約書に目を通し血統書に関する項目を確認するとともに、信頼できるブリーダーやショップかどうかを見極めることも大切です。

まとめ

犬の血統書は、普通に犬を飼う分には必要なものではありません。

しかし、愛犬の血統を証明する唯一の書類が血統書になります。

また、血統書には関節の病気のなりやすさなどの記載があることもあり、健康状態の把握ができることもあります。

犬を飼い始める人は、血統書の有無やその見方についても知っておいてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。