愛猫の子を残したい?猫のお見合いについて考えるべきことと、注意点

家の猫があまりにも可愛くて、ぜひ子どもを残したい、または可愛そうだから一生に1度くらいは交配・出産の経験をさせてあげたい、と考える飼い主さんは少なくないと思います。

しかしその一方で、繁殖にまつわるさまざまなリスクをよく知らないまま行い、後悔している方もいるようです。

ここでは、安全に子猫を迎えるにはどうすべきか、リスクや注意点、そして猫の飼い主としての責任についてお話しします。

 

猫の繁殖を決断する前に考えるべきこと

愛猫の子を残そうと決める前に、ぜひ次のことをしっかり考え、確認しましょう。

1.メス猫の出産のリスクを考えましたか?

動物の出産は簡単、と思われがちですが、安産である保証はどこにもありません。

出産には危険が伴い、最悪の場合、母猫、子猫の命に関わることも。それでも繁殖させたいかよく考えて決断しましょう。

2.お金の余裕はありますか?

繁殖にはお金がかかります。

事前の健康診断、お見合い料、メスであれば出産のための医療費(超音波・X線検査費用や難産であれば手術費用も発生します)や高栄養フード代、子猫が生まれたら、子猫の医療費や子猫用フード代など、思ったよりもずっとお金がかかります。

それなりの出費ができるかどうか、よく検討しましょう。

3.時間的・人的余裕は十分にありますか?

メス猫の場合は特に、出産のための体調管理をしっかり行わなければなりません。

体調がすぐれないときはすぐに病院へ連れていけるでしょうか。

また、もし母猫が子育てを放棄したら、代わりに授乳・排泄といったお世話も必要になります。出産に際し、時間や人手を確保できるか考えましょう。

4.生まれた子猫たちすべてを幸せにできますか?

猫の出産では、8匹もの子猫が生まれることもあります。その場合、すべての子猫に適切な飼い主さんを探してあげられることができるでしょうか。

生まれた子猫たちの行く末をきちんと確保できるか、確実な当てをつくってから繁殖を考えることが大切です。

5.本当に必要な繁殖ですか?

現在減ってきているとはいえ、2017年度も3万5000匹(環境省自然環境局)にのぼる猫が殺処分で命を落としています。

飼い主を待っている猫はたくさんおり、里親が見つからなければ殺処分となってしまうことも少なくありません。

もしあなたの猫が8匹の子猫をもうけ、里親さんを探すことになれば、別の8匹の、飼い主を待つ猫たちのチャンスを間接的に奪っている可能性もあるのです。

本当に必要な繁殖なのか、よく考えてから決めましょう。

 

繁殖を決断したら初めにすべきこと

繁殖を決断したら、実際の繁殖に移る前に、次のことを確認することが重要です。

事前の健康診断とワクチン接種

オス猫もメス猫も、繁殖を決めたらまずは獣医師に相談して診断を受け、健康に問題がないか確認しましょう。

純血種の場合は遺伝病を避けるためにもどのような相手が望ましいか獣医師に聞くことも大切です。

また、交配相手の猫に感染症を移したり、または移されないよう、しっかりワクチン接種を行うようにしましょう。

純血種の場合、遺伝性疾患をよく確かめる

お見合いサイトを見ると、その品種の交配は禁忌とされているのに、知らずにお婿さん、お嫁さんを募集している方をよく見かけます。

純血種は遺伝病を持っていることも多く、禁忌とされる組み合わせもあります。

例えば、スコティッシュフォールドの折れ耳同士の交配は、骨軟骨形成不全症の発症が高く、禁忌とされます。

重篤であれば、生まれた子猫は生涯その病気と痛みに苦しまなければなりません。

安全な交配をするためにも、愛猫の品種と血統をよく調べ、譲り受けたブリーダーやショップ、獣医師によく相談して、交配相手を探すようにしてください。

 

パートナーを見つける方法

交配のパートナーをつくるには、2つの方法があります。

1.オスとメスの猫両方を自分が飼う

別の血縁(近親交配にならない)のオス、メス猫を飼えば、自宅で交配することができます。

しかし、この場合恋の季節ごとに繁殖期が訪れるため、妊娠・出産が繰り返されてしまい、最悪多頭崩壊という事態にもなりかねません。

したがって、1度繁殖が終わったら不妊手術をすることが大切です。

ただし、同じ家で一緒に飼っているからと言って、お互いをパートナーとして認めてくれるかは別です。

交配には至らない場合もありますので、そのときはちがうパートナーを探す必要があります。

2.相手を探す

1匹しか飼わない場合は、パートナーを探さなければなりません。探し方には次のような方法があります。

1)猫を飼っている友人・知人を探す

現在、多くの飼い主さんは飼い猫に不妊手術をしているので、友人・知人で探すのはなかなか難しいかもしれません。

特に特定の品種を探す場合はなかなか見つからないことも。

もし見つかったら、友人・知人とはいえ後々トラブルにならないように書面で費用や子猫の行き先など約束事を決めておきましょう。

2)ブリーダー、ショップに相談する

愛猫を購入したブリーダーやショップ元に相談すれば、お見合い相手を紹介してくれることもあります。

専門家ですし、交配や繁殖について相談できるメリットもありますが、仲介をお願いした場合は、数万円~10万円程度の交配料がかかります。

3)お見合いサイトを利用する

猫のお見合い掲示板のサイトを利用すれば、お婿さん、お嫁さんを気軽に探すことができます。

ただし、その場合は条件をはっきり提示し、すべて自ら交渉する必要があります。

また、猫の負担を考えると近隣で探すことになりますし、すぐには見つからないことも。

パートナー候補が見つかったら、トラブルを避けるため、お互いにしっかり話し合い、「生まれた子猫のうち何匹を引き取るのか」「出産費用はどうするのか」「子猫の飼育費用はどうするのか」といった細かいことを書面で取り決めるようにしましょう。

特に子猫を相手に引き取ってもらう場合は、生涯飼養の観点からも信頼できる飼い主さんか、コミュニケーションを通して見極めることが大切です。

 

お見合いの手順

パートナーが決まったら、いよいよその猫と愛猫のお見合いです。お見合いは次のような手順で進みます。

1.準備

健康診断、ワクチン接種をあらかじめ済ませ、喧嘩しても相手を傷つけないように爪を切っておきましょう。

2.繁殖期になったら、オス猫の家へメス猫を連れて行く

未去勢のオス猫は縄張り意識が強く、外に出るとマーキングなどの問題行動を起こすため、基本的にメス猫にオス猫宅に来てもらいます。

3.対面

いきなり対面させず、最初は部屋のドアを少しだけ開けて、穏やかに対面させてください。

互いに匂いを嗅ぎ、落ち着いていれば部屋に入れてかまいません。その後喧嘩が始まるかもしれませんが、これも互いを受け入れる1つの過程ですので、しばらく見守りましょう。

しかし、ひどい喧嘩になるようであれば、落ち着くまで別々の部屋で過ごさせ、相手の存在に慣れるようにしてください。

4.数日間一緒に過ごす

だいたい2~5日間程度、一緒に過ごしてもらいます。

その間にうまくいけば交尾します。猫は交尾の度に排卵しますので、交尾すれば90%以上の高い確率で妊娠します。

5.メス猫は休ませる

メス猫は交配したことはもちろん、知らない家でストレスもたまっているはずです。

帰宅したらゆっくり家で休ませるようにしてください。

また、妊娠のごく初期は、受精卵の着床が完了していないため、激しい運動をさせないようにしましょう。

注意点

猫の場合、パートナーを選ぶ権利はメスにあります。

メスは好みが厳しく、「この猫嫌い」となったら交尾が成立しないこともあります。

数日一緒にいても、メスがオスを受け入れず、大喧嘩をしたり引きこもってしまったりしたら、お互いにストレスになるだけですので、あきらめることも大切です。

出産の準備

猫が妊娠すると、だいたい65日くらいで赤ちゃんが生まれます。生まれるまで、飼い主さんは次のようなことをしてあげましょう。

健康診断

妊娠したら動物病院を受診し、母子の健康状態を確認しましょう。また、出産までの準備や対応方法について獣医師とよく相談しましょう。

出産できる場所をつくっておく

母猫は、暗くて狭い、安心できる場所で出産したがります。段ボールを用意し、そこにタオルや毛布を敷いてあげましょう。

人目につきにくい場所に用意することが大切です。

高栄養フードを用意しておく

出産後の母猫は、消化の良い、高エネルギー・高栄養のフードが必要です。獣医師に聞けば、良いフードを紹介してくれますし、病院でも購入できるでしょう。

まとめ

可愛い愛猫の子どもを見てみたい、育てたいという気持ちは、誰もが持ち得る感情でしょう。

しかし、出産のリスクもゼロではありませんし、猫の繁殖力は大きな社会問題にもなっています。

さらに、猫の殺処分数がこれだけ多い中、繁殖を考えることをどうとらえるのかは、難しい問題です。

もちろん最終的には一人一人の判断ではありますが、安易に繁殖を決断することだけは避けたいものです。

関連記事

 
 

ABOUTこの記事をかいた人

NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。