高齢犬に非常に多い白内障の原因や治療法とは【獣医師が解説】

白内障は高齢の犬で非常に多く発生する病気です。

眼の中でレンズの役割をする水晶体(すいしょうたい)が白く濁ってしまうため、白内障になると犬の目が白く見えます。

同時に、光を感じる役割を持つ網膜に光が届きにくくなり、徐々に犬の視力は落ちてしまいます。

今回は犬に多い病気、白内障について勉強してみてくださいね。

 

犬の白内障とは

白内障は、眼球の中の水晶体が変性することで起こる病気であり、犬の視力に大きな影響を与えます。

白内障の段階

犬の白内障はいきなり目が白くなるわけでなく、通常徐々に進行します。白内障には進行度によって、以下の4段階があります。

  • 初期白内障
  • 未熟白内障
  • 成熟白内障
  • 過熟白内障

初期白内障は、診断器具を使わないとわからないことが多いため、未熟白内障より進行して初めて飼い主さんが愛犬の白内障に気付くことになります。

白内障の症状

初期白内障では、視野の一部が見えづらくなりますが、飼い主さんが気付くような症状は出てきません。

未熟白内障になると、視野全体がぼやけて見にくくなってきます。

網膜に届く光が少なくなるため、昼間は大丈夫でも周りが暗い夜になると見えにくくなってくることが多いです。

そのため、夜の散歩注に、ものにぶつかったり、足を踏み外すなどといったことがある場合には、白内障の初期症状の可能性があります。

また、暗い廊下で階段の上り下りがしにくくなるというのも白内障の初期に起こりやすいです。

未熟白内障以上に症状が進行してこない犬も多く、その場合には昼間の生活には特別支障はありません。

白内障がさらに進行すると、眼の奥が完全に白くなり、成熟白内障になります。

そうなると、明るい場所でもものが見えにくくなって、最終的に失明してしまいます。

さらに白内障が進んで、過熟白内障になると、変性した水晶体が溶けてきます。

溶けた水晶体は目の中に炎症を起こし(ブドウ膜炎)、場合によっては緑内障や水晶体脱臼など強い痛みを引き起こす合併症を引き起こすこともあります。

白内障は、その原因によって進行スピードが大きく異なります。

加齢に伴う老齢性白内障では数か月から数年かけてゆっくり進行しますが、外傷性の白内障などでは数日で真っ白になってしまうこともあります。

白内障の原因

白内障は、その原因によっていくつかのタイプに分類されます。

老齢性白内障

加齢に伴う水晶体たん白質の変性が原因です。一般的に7歳以上のシニア期に多く見られ、ゆっくりと進行します。

若年性白内障(遺伝性白内障)

遺伝が原因の白内障であり、2~3歳の若いころから発症することも多いです。

進行が速いケースも多く、完全に失明してしまう犬も少なくありません。

その他病気に伴う白内

眼球や全身の病気の中には、水晶体の変性を起こして白内障の原因になってしまうものもあります。

  • 糖尿病
  • 水晶体脱臼
  • 眼の外傷

病気に伴う白内障は非常に進行が速く、数日~数週間で一気に水晶体が真っ白になり失明してしまうことも多いです。

白内障の好発犬種

白内障は以下の犬種で多いと言われています。

  • プードル(トイ・ミニチュア・スタンダード)
  • ボストンテリア
  • ミニチュアシュナウザー
  • アメリカンコッカスパニエル
 

白内障の検査と治療

検査方法

進行した白内障は肉眼でも診断が可能です。

初期の白内障の場合には、眼の奥に光を当てて観察するための検査器具を使って診断します。

白内障と同じく目の中が白く見える病気に「核硬化症」(かくこうかしょう)というものがあります。

核硬化症は、どの犬にも起こる加齢性の変化であり、ある程度目が白くなりますが、それ以上進行しません。

ただし、肉眼では核硬化症と初期の白内障の区別はつきません。

眼が白くなったと思ったら白内障か核硬化症かをしっかり動物病院で診てもらうようにしましょう。

白内障の治療

白内障の根本的な治療には、ヒトと同じく手術を行うしかありません。ただし、犬の白内障の手術に関しては

  • 眼科専門の病院でしか実施できない
  • 手術費用が高額(片目で20~30万円)
  • 全身麻酔が必要
  • 術後に点眼が必ず必要になる(家で点眼できない犬では手術後の合併症が非常に多くなる)

などのハードルがあり、まだ一般的ではありません。

ただし、手術が成功すれば完全に視力を回復させられますので手術を希望される場合にはまずはかかりつけの先生に相談して、白内障の手術ができる動物病院を紹介してもらいましょう。

白内障の点眼薬や内服サプリメントなどもありますが、白内障の進行を抑えられる可能性はあるものの、白く変性した水晶体を元に戻すことはできません。

白内障の犬を飼う時の注意点

白内障の犬では、特に暗闇を怖がるようになることが多いです。

できるだけ犬が動く場所は明るくしてもらい、夜の散歩を避けてあげるといいでしょう。

廊下が暗いと足を踏み外して階段から落ちてしまうこともありますので、廊下や階段はできるだけ明るくしてあげてください。

もし、白内障で完全に失明してしまった場合には、何がどこにあるのか、記憶を頼りに犬は生活します。

徐々に進行した白内障では、たとえ完全に失明してしまっても物の位置が変わらなければそれほど不自由することなく生活する犬は多いです。

そのため、模様替えなどは極力しないようにしてあげてください。

また、完全に失明してしまった場合には突然触ると怖がりますので、

触るときは声をかけてあげたり、近づくときには遠くからわざと足音を多めに出して近づくようにしてあげるといいでしょう。

 

白内障の予防

白内障を完全に予防する方法はありません。

ただし、白内障は水晶体のたんぱくが変性することで起こるといわれていますので、その変性を防ぐ目薬やサプリメントを使うことである程度進行を防げる可能性はあります。

白内障の目薬は動物病院で処方してもらうことができます。

白内障が気になる人は、まず動物病院に相談してみましょう。

また、サプリメントは市販のもの、動物病院で処方してもらうものなど様々あります。

特に白内障の進行を防ぐ効果が期待されている成分は

  • アスタキサンチン
  • アントシアニン
  • ベータカロテン
  • CoQ10
  • 各種ビタミンなど

です。

サプリメントは確実な効果を認められたものではないため、その点は理解して使う用にしましょう。

市販のものと比べると、動物病院で処方されるサプリメントの安全性と効果に対する信頼性は高くなります。

動物用のサプリメントはペットショップや通販などどこでも買えますが、安いからという理由だけで選ぶのはあまりおすすめできません。

 

早期発見

白内障の初期症状は暗い場所で見えにくくなることです。

そのため、夜間や暗い廊下などで少し動きが悪くなった場合には、白内障で視力が落ちている可能性があります。

明るい場所と暗い場所での動きの違いなどに注目しておくと、白内障の早期発見を行うことができます。

また、定期的に動物病院で身体検査をしてもらうことも大切です。

初期の白内障は通常の身体検査では見つかりませんので、心配な方は「白内障がないか見て欲しい」ということを動物病院でお伝えしてもらうのもいいでしょう。

まとめ

犬の視力はヒトよりも悪く、日常の生活でも犬派ヒトに比べて視力に頼る度合いは少ないと言われています。

そのため、白内障で視力が落ちてしまっても、それほど不自由なく生活できる犬は少なくありません。

しかし、完全に失明してしまった場合や、急速に白内障が進行してしまうと、動きが制限されたり強い恐怖心によって犬は大きなストレスを抱えてしまいます。

この記事を読んで白内障の知識をしっかりつけ、その予防や対策を取ってあげられるようにしておいてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。