2016年3月1日更新

【獣医師監修】犬の白内障について症状や原因から治療・予防法まで

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犬にも高齢化の時代がおとずれています。高齢になると、歩き方がゆっくりになったり、毛が白っぽくなっていたりしてくるほか、眼が白くなっているように見えることもあるでしょう。

今回は、眼が白くなる原因のひとつである白内障についてご説明します。

 

白内障の症状

犬の目は角膜、瞳孔、水晶体、網膜などさまざまな組織で構成されています。角膜を通じて入った光が水晶体を通過して網膜にうつされ、それが視神経を通じて脳で認識されることによって視覚となります。

白内障とはレンズの役割を果たしている水晶体が白く濁る病気で、このことにより視力が低下します。白内障は、黒目が白っぽく濁ってくることで気がつくことが多くあります。暗いところだとよく分からなくても、明るいところで黒目をのぞいてみると白濁しているのが分かるでしょう。

また、視力が落ちているため、物につまずいたりぶつかったりすることもあります。こういった症状が観察されはじめたら、一度動物病院に行って検査を受けると良いでしょう。

白内障になりやすい犬種は?

白内障は犬でよく見られますが、その中でも特に白内障になりやすい犬種があります。

シー・ズー、アフガン・ハウンド、アメリカン・コッカー・スパニエル、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、シェットランド・シープドッグ、パグなどは白内障に罹りやすい犬種だと言われています。若齢でも発症することがありますので、若いうちから定期的な検査が勧められます。

 

白内障の原因は?

眼のレンズである水晶体が、だんだんと白くなっていき、視力が低下していきます。

2歳までで発症する若年性白内障や、2から6歳で発症する成年性白内障など、若くして発症することもありますが、白内障の多くは加齢に伴い発症します(老齢性白内障)。

また、糖尿病などの全身疾患に関連して起こるものや眼の病気に併発するものもあります。

若年性白内障、成犬性白内障

プードルやパピヨン、コッカースパニエルなどに多く見られ、遺伝的素因が知られています。

若年性白内障

先天性白内障と同じく遺伝による可能性が高いですが、糖尿病などの他の病気からの白内障の併発や外傷などから併発する事もあります。

老齢性白内障

加齢に伴い、水晶体を構成するタンパク質が変性し、徐々に水晶体が白く濁っていきます。これは犬種を問わず起こります。

初期の段階ではうっすら白く見える程度で生活にも支障はありませんが、進行して視力を失ってしまうこともあります。

白内障の治療

白内障の根本的な治療は外科手術です。水晶体を人工水晶体に代えることで視力をほぼ回復することができます。しかしながら、老犬の場合は特に、外科手術に伴う麻酔のリスクや体力的な問題がありますので、愛犬の状態を見ながら獣医さんとよく相談しましょう。

手術を選択しない場合は、点眼薬により白内障の進行を抑える治療を行います。犬は人間と比較して聴覚や嗅覚が発達していますので、視力が衰えたとしてもその他の感覚で視力を補い、ほとんど不自由なく生活することが可能です。

手術をして視力が回復しても体力が消耗してしまうのは困るからと、点眼薬による治療を選ぶ飼い主さんも多くいらっしゃいます。

手術による治療

視覚障害が出ていたり失明したりしている場合には、手術も選択肢のひとつです。ただし、白内障の多くは老齢性白内障です。このため、老犬への手術の必要性、特に麻酔のリスクや予後を考えた上で、手術を選択しないことも多々あります。かかりつけの獣医さんとしっかり相談してください。

点眼薬

白内障になることを予防する事は難しいです。点眼薬などで進行を少しでも遅らせる事をめざします。うっすら白く濁ってきた事に気づいたら、動物病院で相談しましょう。

サプリメント

犬の眼の為のサプリメントも多く市販されています。著しい効果を期待することは難しいですが、獣医師に相談し、試してみるのも良いかもしれません。

白内障の予防は可能なの?

白内障を完全に防ぐことはできませんが、早めの治療で症状を遅らせることであれば、多少は可能性があります。そのためにも定期健診を受けて早期発見に努めることが大切です。

特に糖尿病を患っている犬では、白内障発症の可能性が他の犬に比べて高くなりますので、普段から注意しておくことが必要です。

まとめ

初期段階ではほとんど生活に支障はありませんが、程度は様々とはいえ白内障は徐々に進行していきます。進行のスピードが遅いと、毎日顔を合わせている飼い主さんだと、進行に気づきにくいこともあるかもしれません。

視覚障害がではじめると、夕方や夜の散歩で電柱などにぶつかってしまうことがあるでしょう。

見えにくくなる事で、外に出るのを怖がったり、突然触られると驚いて咬んでしまったりなどの行動の変化も見られるようになります。

住み慣れた家の中でも、柱や壁にぶつかってしまう、段差につまずいてしまうなどして、ケガをしてしまう可能性もありますので、生活環境には十分に注意しましょう。

完治させるのは難しく、視力の低下は避けがたいものの、うまくサポートすることで付き合っていくことのできる病気です。

できるだけ長く視力を保ち、また、生活の質を維持することをめざしましょう。

 
 

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