2016年3月1日更新

【獣医師監修】暖かい季節に注意しなければいけないノミやダニ、シラミなどの寄生虫について

外が暖かくなると活発になるのは犬や猫や人間だけではありません。ノミやダニといった犬や猫の体表に付着して生活する寄生虫も活発に活動を始めます。

これらは外部寄生虫とよばれ、犬や猫に害をおよぼすことが多々あります。

一方、消化管など動物の体内に侵入して生活を行う寄生虫もいます(内部寄生虫)。これらの寄生虫の被害は犬や猫だけでなく、飼い主である人間にも及ぶことがあります。

今回は、犬や猫を飼う上で注意が必要な寄生虫についていくつか紹介します。

外部寄生虫

ノミやダニ、シラミなどの外部寄生虫は、いくつかの内部寄生虫が動物に寄生する過程で重要な役割を果たしています。そのため、犬や猫が外部寄生虫に寄生されてしまうことは、内部寄生虫にも寄生されてしまうことにつながります。

また、外部寄生虫に寄生されることがアレルギー性皮膚炎の原因になってしまうほか、多数の外部寄生虫による吸血が貧血を引き起こす可能性もあります。

外部寄生虫は様々な病原体を媒介し、その中には人間がかかる病気もあります。

例えば、ノミはペスト菌をはじめ、様々な病原体を媒介します。また、ノミに寄生されたネコに引っ掛かれることでネコの爪や牙からバルトネラという「ねこ引っかき病」の原因となる病原体が体内に入ってしまい、発熱、リンパ節の腫れといった症状が出ることがあります。

さらに、数年前には、マダニが媒介する病気として「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が話題となったことを記憶されている方もいらっしゃるでしょう。

また、外部寄生虫のほとんどは人間からも吸血をし、痒みや炎症など不快感の元となってしまいます。人間の生活を守る為にも、しっかりと駆除、予防をしましょう。

内部寄生虫

動物の体内に寄生している寄生虫、すなわち内部寄生虫による病気については、寄生する場所によって症状は様々です。

代表的な内部寄生虫

瓜実条虫

日本でもっとも普通にみとめられる犬、猫の条虫です。ノミが感染源であり、ノミに吸血された時の痒みで吸血された場所を口で咬んだり、グルーミングをしたりした時にノミを経口摂取することで体内に入り込み感染します。

感染箇所は小腸で成犬・成猫は無症状であることがほとんどですが、若齢の動物に多数の瓜実条虫が寄生した場合には激しい下痢を引き起こすことがあります。古くなった片節がお尻から排泄されるため一度目にするとびっくりしてしまうでしょう。

感染源である、ノミやハジラミの駆除、予防を確実に行いましょう。

回虫

犬回虫や猫回虫が日本で広くみとめられる犬と猫の回虫です。これらは、感染した動物から排泄された糞便中の回虫卵を飲み込んでしまうことで感染します。

感染した回虫は小腸に寄生するほか、一部は犬や猫の全身の組織に寄生します。そして、胎盤を通しての感染や母乳を介した感染も起こします。

主な症状は下痢ですが、成犬や成猫ではあまり激しい症状を起こさないことが多いです。

感染動物の糞便は直ちに処理しましょう。また、胎盤、母乳を介した感染の予防は困難ではありますが、繁殖を行なう場合には親犬や親猫の回虫駆除を適切に実施しましょう。

犬糸状虫

蚊が媒介し、 心臓に寄生する内部寄生虫で「フィラリア症」の原因として有名です。

大静脈から右心房、右心室、肺動脈にかけて寄生します。無症状のこともありますが、心不全や呼吸不全を引き起こし、命にかかわることもあります。

蚊にさされる事を防ぐことは困難ですので、フィラリア症予防薬の確実な投与を行いましょう。

コクシジウム

原虫の一種で感染している動物の糞を食べることで感染してしまいます。糞を食べる癖の無い犬や猫でも、お散歩中に糞を踏んでしまうなどした後で毛づくろいをしてしまうと感染してしまうので注意しましょう。

感染しても発症することは少ないものの、若齢であったり免疫機能が低下していたりする動物では下痢や血便などを起こすことがあります。

糞便の速やかな処理を始めとした、清潔な生活環境の維持が予防に役立ちます。

まとめ

どの寄生虫も動物病院で適切な検査をすれば発見することができますので、家にお迎えした時や健康診断などで定期的にチェックしてみてくださいね。

また、定期的な予防薬の投与がすすめられているものもあります。ペット、人間がともに健康で快適に暮らせるように、予防できる寄生虫はしっかりと予防をしましょう。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

暑い夏に気をつけたい犬の散歩。熱中症にさせない為に準備したいグッズやお散歩のコース、お散歩の時間

犬の散歩、暑い季節と寒い季節で同じコース、時間に出かけたりしていませんか?散歩は犬にとって楽しいイベントですが、年齢や季節によっては体に負担がかかり、体力消耗や病気の原因になることもあります……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説】犬や猫も日焼けをするの?対策は?

最近はずいぶん日差しが強くなってきましたね。日差しが強くなってくると気になることのひとつといえば、『日焼け』だと思います。人と同じように、犬や猫も日焼けをするのか、気になったことはありません……

犬に関する夏の注意

夏のお留守番で気を付けること【犬編】

愛犬と一緒に暮らす方にとって、お留守番には様々な不安がつきものです。夏のお留守番となると、さらに心配ごとも増えてしまうものです。注意すべきことをふまえた上で、事前に準備をして、愛犬の体調を崩……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説】熱中症のサインを知っておこう。よく見られる熱中症のサインとは?

暑い日が増えてきましたね。本格的な夏がやってくる前の今の時期から、是非気をつけておきたい病気が「熱中症」です。 熱中症は、時には命に関わることもある恐ろしい病気です。熱中症を起こさない……

犬に関する夏の注意

【獣医師監修】暖かい季節に注意しなければいけないノミやダニ、シラミなどの寄生虫について

外が暖かくなると活発になるのは犬や猫や人間だけではありません。ノミやダニといった犬や猫の体表に付着して生活する寄生虫も活発に活動を始めます。 これらは外部寄生虫とよばれ、犬や猫に害をお……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説】ペット向け経口補水液とは?ペット向け経口補水液の使い方と注意点

経口補水液は、開発途上国などで多くのこどもの下痢に対して効果をあげていることで注目され、近年は日本でも脱水状態の治療に利用できる食品として知られてきています。テレビCMや薬局の店頭などで経口……

犬に関する夏の注意

【暑さ対策!】愛犬・愛猫のため、電気不要のひんやりグッズおすすめ10選

とにかく暑い夏!毛皮を着ている動物たちは本当に大変です。放置していると、熱中症などを起こしてしまいますので、涼しくなる工夫をしてあげたいものです。 今回は、お留守番をしている間も安心、……

犬に関する夏の注意

【虫除け対策!】 安心安全 犬猫の虫除けグッズ10選

もうすぐ夏到来。愛犬・愛猫の虫刺されも気になる季節ですよね。 しかし猫(やその他の肉食動物)は、犬には使用できるエッセンシャルオイルも有害となるという説もあるため、猫の虫除け対策に関し……

これから暑くなる夏の季節に。ダニ・ノミ・蚊などから愛犬を守るおすすめドッグウェア10選

どの季節もそうですが、特にこれから暑くなる季節、気を付けてあげたいのが虫。 特にダニやノミ、蚊などは要注意です。犬の場合、散歩をするときなどにほかのペットより虫と接触する機会が多いので……

犬に関する夏の注意

【獣医師監修】夏は外耳炎に要注意!愛犬の耳のチェックをしてみましょう!

暑く、湿気の多い夏になると増える犬の病気の一つが外耳炎です。よく頭を掻いたり、頭をどこかでこすったりしていませんか。これらは犬が耳を痒がる時に見せるサインの一つです。 最近耳のチェック……

犬に関する夏の注意

高齢猫の暑さ対策。暑い夏を元気に乗り切ってもらうためのポイントとは?

猫はもともと暑い地域の出身ですのでそれほど暑さに弱いわけではありません。しかしながら長毛タイプの猫や高齢の猫にとっては夏の暑さは体力減退の原因になります。 特に高齢猫は暑さ、寒さを実感……

犬に関する夏の注意

【獣医師監修】正しい知識を身につけて、猛暑を乗り切ろう!愛犬のための熱中症対策マニュアル

重度になると死に至ることもある熱中症。夏真っ盛りのこの時期、その症状から応急処置、予防策についてあらためておさらいしておきましょう。全身を毛で覆われ、人間と違って汗をかくことで熱を放出するこ……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説!】人間用の日焼け止めなどがついた肌を犬や猫が舐めても大丈夫?

夏の外出時に欠かせないもののひとつが「日焼け止め」ですね。体に日焼け止めを塗ったあと、愛犬や愛猫がそこを舐めてしまったという経験のある人も少なくないのではないでしょうか。犬や猫が人間用の日焼……

犬に関する夏の注意

絶対に防げる犬の熱中症。対策と起きてしまった時の対応。

犬にとっても暑さがこたえる夏。人間が「暑い」と思う環境は、被毛をまとっている犬にとっては「とっても暑い」という環境です。気温があがるとお年寄りや子供の熱中症の事故のニュースも増えてきます。こ……

犬に関する夏の注意

見た目よりもよく食べる?ヨークシャー・テリアのエサの量について

動く宝石ともいわれる美しい被毛を持つヨークシャー・テリア。気品のある風貌から食事も上品にちょこちょこっと食べるのかな?というイメージがありますね。実は意外と食欲旺盛な犬が多いようなのです。今……

犬に関する冬の注意