2016年3月5日更新

【獣医師監修】人間だけじゃない!犬もかかる、尿結石症の症状・原因・治療法

人間の病気としてもよく知られている尿結石。犬も尿結石ができることがあることをご存知でしょうか?

尿結石症とは

尿のなかに石のようなもの(結石)ができる病気が尿結石症です。

犬に最も多いのは「ストルバイト結石」と呼ばれるものです。ほかにも「シュウ酸カルシウム結石」「尿酸塩結石」などいくつかの種類の結石があります。

尿結石の原因

尿結石の原因については、はっきりとわかっていない部分もあります。結石の種類にもよりますが、考えられる原因として尿路感染症や食事、遺伝などが挙げられています。

尿路感染症による尿路結石

膀胱粘膜が何らかの原因で細菌に感染してしまうことで細菌性膀胱炎が起こります。ストルバイト尿結石は細菌性膀胱炎をはじめとした尿路感染症との関連が深いことが知られています。おしっこを我慢しすぎたり、排泄器官やトイレ周辺を清潔に保っていなかったりすると、感染の危険性が高まると言われています。

オス・メスどちらも尿結石はできますが、細菌性膀胱炎を伴うストルバイト尿石症は比較的メスがかかりやすいです。

偏食による尿結石

偏った食事もこの病気を招く一因です。偏食をしている犬は尿がアルカリ性・酸性いずれかに偏ってしまうことがあります。

尿が酸性もしくはアルカリ性に常に偏っていると、尿結石ができやすくなります。中でも、アルカリ性に偏ってしまうことでできる尿結石がストルバイト尿結石です。

こんな症状が現れたら要注意

いくつかの症状で、膀胱炎や結石の可能性を見つけることができます。

  • 尿の色が濃い
  • 尿のにおいが強い
  • 水をたくさん飲むようになった
  • 血が混じっているような色の尿が出る
  • 排尿の回数が極端に増えた

などが見られた場合には要注意です。

放置して結石が大きくなりすぎたり、尿道につまってしまったりすると、治療が大掛かりになることがあるだけでなく、尿を排泄することができなくなってしまうこともあります。そうなると犬の体への負担も増しますし、命に関わることもあります。尿や排尿の様子がいつもと違う時には、早めに動物病院へ連れて行きましょう。

動物病院での治療

結石の種類や結石のできている位置によって、尿結石を溶解させるか、取り除く方法を検討します。同時に膀胱炎を起こしている場合にはそれに対する治療も行ないます。

結石が尿道をつまらせてしまっている場合には、カテーテルを使って尿道から膀胱へと結石を移動させて尿道のつまりを取り除く方法をとります。また、それと同時に排泄されずに貯まってしまった尿を速やかに体外へ排泄させなくてはなりません。

尿道のつまりがなければ、膀胱内の結石に対して、たくさんの水分を点滴して溶解させたり、排泄を促したりして、結石をおしっこと一緒に出す方法などを行ないます。

いずれの場合も、状況によっては手術で結石を取り除かなくてはならないこともあります。

予防方法

結石症は再発率の高い病気です。排尿を我慢させない(トイレを外でしかしない犬ならば散歩の回数を減らさない)、おやつも含めて食べすぎに注意する、などが基本的な予防方法として挙げられます。

また、定期的に尿がアルカリ性あるいは酸性に偏りすぎていないか、市販のチェックシートで尿のチェックをして、食生活の見直しの参考にするのもよいでしょう。

何度も再発してしまう場合は、尿結石用の療法食を使うことを考えたほうがよいかもしれません。

まとめ

尿結石症は一度かかると再発しやすいだけでなく、不快感や痛みを伴います。また、治療も長期にわたることがほとんどです。

愛犬に痛い思いを何度もさせることのないよう、普段から食生活に気をつけ、おしっこの様子にもぜひ、気を配ってみてください。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

犬が首をかしげる!?犬の行動とその理由について

自宅で犬を飼っていたり、外で歩いている犬を見かけたりする時に「あれ?なんであんな行動をしているのだろう?」と、私たち人間にとっては理解できない、あるいは理解しがたい行動を見る事はありませんか……

【獣医師監修】吸血する寄生虫! 犬の鞭虫症の症状・原因・治療法について

犬の鞭虫症はこんな病気 鞭虫症とはその名のとおり、「鞭虫」という寄生虫による病気です。鞭虫は犬に感染する一般的な寄生虫です。 細長い形状をしていて大きくなると10センチほどにもなりま……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】子どもが産めなくなってしまう病気。犬のブルセラ症について

犬のブルセラ症はこんな病気 ブルセラ症はブルセラ菌という細菌に感染すると発症する病気です。 犬だけでなく牛や豚などの家畜にもみられる病気で、犬ブルセラ症・牛ブルセラ症・豚ブルセラ症な……

犬の動作や習慣の変化や異常

自宅でもできる身体検査。愛犬の体温・心拍数・呼吸数の測定方法をご紹介

愛犬の健康状態を正しく判断するために、健康時の体重・体温・心拍数や行動の癖やしぐさ、排泄の回数やタイミングを何となくでも把握しておくようにすると健康状態の不調に気が付きやすくなります。今回は……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】犬から人に感染することも。Q熱の症状、治療法、予防法とは

犬のQ熱はこんな病気 Q熱は、コクシエラ・バーネッティという細菌により発症する病気です。 コクシエラ・バーネッティに感染している動物の糞便、乳、卵や保菌ダニの糞塵や咬傷などから感染し……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】犬にとっても重大な病気。前立腺腫瘍について紹介します

犬の前立腺腫瘍はこんな病気 前立腺腫瘍は人にとっても犬にとっても重大な病気です。腫瘍は発生しても体への影響の少ない「良性腫瘍」と、発生すると体に悪影響を及ぼす「悪性腫瘍」の二つに分けられま……

犬の前立腺膿瘍

【獣医師監修】発生率も死亡率も高い病気。犬の乳腺腫瘍について

犬の乳腺腫瘍はこんな病気 犬の乳腺腫瘍は腫瘍の中でもかなり発生率が高い病気です。 その割合はなんとメス犬に発生する全腫瘍の52%。半分以上を乳腺腫瘍が占めているのです。 乳腺腫……

犬の乳腺炎

【獣医師監修】小型犬がかかりやすい危険な病気と予防法

小型犬は大型犬、中型犬と比べるとなんだか病弱そうなイメージを持っていませんか? 実際は、体が小さいからといって、他の犬種よりも際立って病気に弱いということはありません。しかし、遺伝的に……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】命に関わることもある犬の免疫介在性溶血性貧血の症状・原因・治療法について

犬の免疫介在性溶血性貧血はこんな病気 溶血性貧血とは血中の赤血球がなんらかの原因で破壊され、貧血症状が起こってしまう状態のことをいいます。 感染症や先天性の理由など原因はいくつかあり……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】犬の関節リウマチの原因・症状・治療法について

犬の関節リウマチはこんな病気 「関節リウマチ」は、多くの人が一度は耳にした事がある病名でしょう。人のものとは少し病態が異なるようですが、犬にも「関節リウマチ」と名付けられている病気は存在し……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】犬の先天性心疾患の一つ。肺動脈弁狭窄症の症状・原因・治療法について

肺動脈とは心臓の右心室から肺へ血液を送り出す動脈で、その入り口にある肺動脈弁とその周辺が、先天的に狭くなってしまっている状態のことを「肺動脈弁狭窄症(はいどうみゃくべんきょうさくしょう)」と……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】犬が走っている途中で躓いて捻挫?!愛犬が捻挫した場合の処置について。

犬は走るのが得意な動物ではありますが、足場の悪いところを走ったり無理に方向転換したりすると捻挫や肉離れを起こすことがあります。犬が脚に捻挫や肉離れなどのケガを負った場合は、動物病院で手当する……

犬の動作や習慣の変化や異常

飼い始めの不安を解消!先輩飼い主さんの健康チェック方法をご紹介!

飼い始めは楽しい半面、初めてのことで戸惑う事も多いですよね。一番の不安はやっぱり健康面!そんな不安を解消するため、先輩飼い主さんに健康チェックを教えてもらいました! 「自分の子は自分が……

【獣医師監修】愛犬の熱の計り方のコツ、注意点は?発熱した時の対処法は?

愛犬がくっついて寝ると体が熱いと感じたことはありませんか?人間の平均体温が36.8~37度くらいと言われていますが、犬はそれよりも高く37.5~39度が平熱といわれます。 愛犬の体が熱……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】小型犬に起こりやすい膝蓋骨脱臼の原因と対処方法

常に人気犬種の上位にランクインしている、チワワ、プードル、ポメラニアンなどの小型犬。 膝蓋骨脱臼はそんな小型犬が発症しやすい疾患です。小型犬の飼い主さんの中にはすでに動物病院で指摘され……

犬の動作や習慣の変化や異常