2016年3月5日更新

【獣医師監修】犬猫の糖尿病の症状・治療、インスリンの投与について

たくさんの患者さんがいらっしゃいます。糖尿病にかかってしまうと、外出先でも自分で注射をしたり、食事に気を使ったりして、血糖値をコントロールする必要があることをご存じの方も多いかと思います。

この糖尿病は、実は犬や猫でも発症する可能性があります。今回は犬の糖尿病についてご説明します。

糖尿病とは

体内で作られて血糖値をさげる働きのあるホルモン、インスリンが不足することで起こります。本来、血液から細胞へ取り込まれて消費されるべき血糖が、うまく細胞中にとりこまれなくなり、血液中に残されたままになってしまい、高血糖状態となります。

症状としては、多飲多尿、食欲増加などが見られ、飼い主さんがこれらに気がついて動物病院を受診するケースが多くあります。

糖尿病を治療しないでいると、やがて元気、食欲を消失してしまい、ケトアシドーシスといわれる重篤な状況に陥ることがあります。ケトアシドーシスを起こしてしまうと、速やかに治療を開始しなければ死亡してしまう恐れがあります。

さらに糖尿病は、神経障害や尿毒症を引き起こす腎障害をはじめとした様々な合併症を起こすことがよくあります。

糖尿病の治療方法

不足しているインスリンを補う為に、インスリンの注射をします。毎日注射をしなくてはならない上に、生涯注射を続けなくてはなりません。

また、体格や病状、食事量などによって、インスリンの量や種類を決定しなくてはいけませんので、定期的に動物病院で検査をして投与量を決めてもらう必要があります。

インスリンの量が多いと

インスリンの投与量が多いと、インスリンがききすぎて低血糖を起こしてしまいます。ふらついたりや意識を失ったりする可能性がありますので、注射後にこのような症状が見られた場合には速やかに動物病院に連絡をとり、指示を仰ぎましょう。

インスリンの量が少ないと

インスリンの投与量が少ないと、血糖値は十分に下がりません。そうならないように、定期的な血糖値の検査とインスリン量の見直しが必要です。

原因と予防方法

原因は様々ですので、完全な予防方法はありません。生活の中でいくつかの注意事項に気を留めることで、ある程度の予防や早期発見につながるでしょう。

遺伝

猫の場合、好発品種ははっきりとは特定されていません。

犬の場合はいくつかの犬種で糖尿病を起こしやすいことがわかっています。ダックスフンド、プードル、シュナウザーなどは、糖尿病を起こしやすい犬種として知られています。

もし好発犬種にあてはまるようならば、飲水量が急激に増えるなど、糖尿病を疑わせる症状については特に注意しましょう。もちろん、好発犬種以外の犬種でも糖尿病を起こす可能性はあります。

肥満

肥満は様々な病気を引き起こしてしまう可能性がありますが、糖尿病を起こすきっかけになるかもしれないともいわれています。過度の肥満には注意しましょう。

加齢

糖尿病は中齢以上の犬猫で発症する事が多いので、加齢とともに気をつけたい疾患のひとつとして、糖尿病についても心に留めておきましょう。

インスリン注射の打ち方

糖尿病と診断されてしまったら、インスリンの注射を毎日行なわなくてはなりません。まず動物病院で獣医さんの指導のもと、適切な方法を習得しましょう。

注射を毎日行なっているうちに、くせがついてしまい、毎回同じ場所に打ってしまうことがよくあります。しかし、ずっと同じ場所に注射を打っていると、しこりの原因になったり、皮膚が硬くなってしまったりする可能性が大いにあります。

首のうしろのほか、お尻や背中などの皮膚がつまめる箇所で、毎回注射をする場所を変えてあげましょう。

犬猫が振り返ってしまったり、動いてしまったりする時は、2人がかりでしてあげると安心ですね。

糖尿病にかかってしまうと、良好な生活の質を保つために日常のケアがよりいっそう大切になります。もちろん、病気にかからない方がよいことはいうまでもありません。まずは糖尿病を少しでも予防するため、日頃の食生活の見直し、適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけましょう。

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