2016年3月5日更新

【獣医師監修】ガンの原因に!?犬の潜在精巣について

犬の精巣(=睾丸)は生まれた直後はお腹の中に深く入り込んでいて、生後約30日で精巣が陰嚢内へと移動してきます(精巣下降)。

ところがなんらかの影響で精巣が陰嚢内に下降せず、腹腔内に停留することを潜在精巣(停留精巣)といいます。

潜在精巣が直ちに何かの症状を引き起こすわけではありませんが、加齢とともに精巣が腫瘍(ガン)化してしまう可能性があるので、気を付けなければいけません。

犬の潜在精巣の問題点

通常、生後8ヶ月前後までに精巣が陰嚢内の正常な位置に納まっていない場合は、その後も正常位置へと納まる可能性が低いと考えられています。腹腔内に停留した精巣がすぐに腹痛などの症状を起こすことはありません。

しかし、犬の加齢に伴って、「セルトリ細胞腫」などの精巣ガンになるリスクが高まってしまいます。

潜在精巣の発生率は2%(7%未満ともいわれる)程度ですが、潜在精巣の腫瘍発生率は10~15%とされています。

セルトリ細胞腫は悪性腫瘍で、発見が遅れると全身に転移し手術を行なっても治癒が見込めない状態になってしまいます。また、腫瘍から「エストロジェン」というホルモンが過剰に放出され、骨髄が機能不全をおこしてしまう事もあります。

もちろん正常な精巣でも腫瘍ができる可能性はありますが、潜在精巣の場合には、腫瘍化するリスクが高くなるだけでなく、腹腔内に精巣があることで腫瘍を発見することが難しくなる点も問題です。発見したときには既に治療困難な状況であった、というケースも珍しくありません。

両側の潜在精巣の場合は、精巣が体温にさらされてしまうことで生殖能力は失われます。一方で、潜在精巣が片側のみの場合は、精巣の機能は完全には失われず、生殖能力も残ります。しかし、潜在精巣は遺伝の可能性があるため、片側の潜在精巣の場合でも繁殖は推奨されていません。

犬の潜在精巣の原因

潜在精巣の原因は遺伝によるとされています。

犬の潜在精巣の治療

残念ながら精巣を陰嚢の中に戻すことはできません。将来的な腫瘍化のリスクを回避するための去勢手術がすすめられます。

精巣が腹腔内にある場合には、開腹手術が必要でしょう。体内に停留している精巣は腫瘍が発生しやすい4歳くらいまでには摘出することがすすめられます。

犬の潜在精巣の予防

潜在精巣自体を予防することは難しいでしょう。遺伝性が強いため、潜在精巣になった犬を繁殖に用いることは避けるべきです。

愛犬の睾丸を確かめてみましょう

デリケートな部分なので愛犬の睾丸の位置を確かめていない飼い主の方もいらっしゃるかもしれません。

睾丸が正常な位置に納まっているかは、陰嚢を触診することですぐに診断が可能です。自宅で確認することが不安な場合には、動物病院で診断をしてもらいましょう。

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