2016年3月2日更新

【獣医師監修】犬の心臓に関わる病気である僧房弁閉鎖不全症、フィラリア症について

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全身に血液を送り出す心臓の病気は、生命に関わる重大な問題につながります。

そんな犬の心臓病として有名なものには、犬の心臓病の大半を占める「僧房弁閉鎖不全症」や、蚊が媒介する病気である「フィラリア症」などがあります。

今回はこれらの犬の心臓病についてご紹介します。

 

僧房弁不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)

僧房弁は、心臓の左心室と左心房の間にあり、血液の逆流を防ぐ働きをしています。通常は、この弁が心臓の動きにあわせて開閉する扉のように動き、血液の逆流を防いでいます。

僧帽弁閉鎖不全症では、加齢など何らかの原因で僧帽弁が機能しなくなり、血液が逆流することで心臓のポンプ機能が低下することで症状が現れます。

初期の段階では、運動時や興奮時に咳が出たり息切れしたりする程度ですが、だんだんと疲れやすく散歩時にすぐに座り込んでしまったり、散歩に行きたがらなくなったりしてきます。

さらに病態が進むと、血液循環が悪くなる事で肺がうっ血して肺水腫を引き起こします。安静時でも呼吸が荒くなり、咳が止まらないほか、失神、呼吸困難などの様々な重篤な症状が出てきます。

残念ながら根治の治療はありません。内服薬による心不全に対する治療を行ないつつ、肺水腫の治療により呼吸困難の管理を行ないます。 心疾患に配慮したフードでの食事療法もよいでしょう。これらにより、症状を抑え、生活の質を維持することがメインです。

発症すると、生涯つきあっていかなくてはならない病気ですので、治療については、かかりつけの獣医さんと納得いくまで相談した方がいいでしょう。

元気でこれといった症状がない場合でも、年一回のワクチン時期の検診で心雑音を発見されることで、僧帽弁閉鎖不全症が見つかることも多いようです。6~7歳を過ぎたら、半年に1回は健康診断を受けることがすすめられます。

フィラリア症

蚊が媒介する犬糸状虫(通称フィラリア)が血管内、心臓内に寄生して発症する病気です。

蚊が犬を吸血する時に、犬糸状虫の幼虫が皮下に侵入して成長しながら静脈に入り込みます。感染後は約半年で成虫になり子虫を産みます。この子虫を持つ犬を蚊が吸血することで、子虫は蚊の体内にとりこまれ、蚊の体内で幼虫へと成長し、新たな感染源となります。

このサイクルの中で、幼虫が犬の体内で心臓に達するまでの間に幼虫を駆除してしまうのが、フィラリア症予防薬です。いくつか種類がありますが、よく使われるものでは、月1回の服用でフィラリア症を予防します。

予防薬を服用しておらず、フィラリア症を発症してしまった場合、初期は無症状であったり、軽い咳がみられたりする程度でしょう。やがて成虫が増え、心臓や血管に多数寄生すると、血液循環が悪くなってひどい咳や呼吸困難がみられるようになり、さらには腹水が溜まり失神・喀血などの症状を伴い死に至ります。

予防方法は、蚊が発生しはじめた月の1ヶ月後から蚊がいなくなった月の1か月後まで、月に1回フィラリア症予防薬を服用させる事です。

この病気は感染した犬を吸血した蚊が別の犬を吸血した時に、感染が拡大する恐れがあります。蚊にさされることは防げませんが、フィラリア症の発症は予防薬により防ぐことができます。防げる病気は予防して愛犬を守りたいですね。

ここで、注意しなくてはならない事があります。毎年、服用開始前には必ず動物病院で感染していないことを確認する検査を受けなければなりません。感染していることに気づかずにフィラリア症予防薬を服用させてしまうことは、命に関わることがあります。

薬を病院以外から譲り受けたり、インターネットで安く購入したりして、検査をせずに服用させることは、違法であるだけでなく、愛犬の命にとっても大変危険な行為ですので絶対に避けましょう。