2016年3月2日更新

【獣医師監修】犬猫の巨大食道症にご用心!原因や症状、かかりやすい犬種について

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巨大食道症って?

食道が正常な動きを失ってしまって異様に大きく広がってしまった状態のことを「巨大食道症」といいます。

この巨大食道症には、先天性のものと後天性のものとがあります。さらにこの巨大食道症は、肺炎などを併発する恐れがあり、また、突然死を引き起こすこともあります 。

とても多くみられる病気というわけではありませんが、発症してしまうと治療困難で死亡率の高い病気です。

先天性巨大食道症

いくつかの犬種では先天性巨大食道症になりやすいことがわかっています。性別による違いは特にありません。先天性巨大食道症は離乳して間もない頃から発症することが多いようです。

先天性巨大食道症の多い犬種

  • アイリッシュ・セッター
  • ジャーマン・シェパード
  • グレート・デーン

また、ミニチュア・シュナウザー、ワイヤー・へヤード・フォックス・テリアでは遺伝が確認されています。

 

後天性巨大食道症

後天性巨大食道症には、原因不明(特発性)のものと他の病気に続発して起こるものとがあります。

食道炎

食道に炎症が起こる病気で、犬•猫ともに起こります。

すべての食道炎で巨大食道症を発症する恐れがあります。よだれが止まらない、水を飲むのが辛そう、食べたものを直後に吐き出すといった様子があれば、すぐに治療をする必要があります。

重症筋無力症・多発性筋炎

いずれも犬にみられる病気で、猫では極めてまれです。

どちらも筋肉に異常が起こる病気で、筋力が低下したり、筋肉で炎症が起こったりしてしまいます。全身に症状があらわれることが多い病気ですが、食道だけに症状が出ることもあります。

その他様々な病気

食道周辺の腫瘍のほか、内分泌疾患・神経疾患など様々な病気から、巨大食道症を発症する恐れがあります。

巨大食道症の症状

食後に食べ物を吐き出します。このとき、よく見られる嘔吐と異なり、未消化のものをとばすように吐き出します。

悪化すると体重が落ち、体力も弱っていってしまいます。食道炎を併発することが多く、食欲不振やよだれがみられます。

さらに吐いたものを吸引してしまうことで、誤嚥性肺炎を発症してしまったり、気道に詰まらせてしまったりして、呼吸困難に陥るなどすると、命に関わります。

巨大食道症の治療と予防

巨大食道症の治療と予防は困難なことが多いです。

原因となる疾患がある場合にはその治療を行ないます。ただ、原因が特定できない場合も多く、拡張した食道を元に戻すことは困難です。

対症療法として、高い所に流動食をおき後ろ足2本で立った状態で食事を与えるようにすることで、できるだけ食道に食べ物を停滞させないようにします。

残念ながら、この病気の経過はかなり悪く、死亡率も高いのが現状です。遺伝が関係していると考えられているため、巨大食道症をもつ犬どうしでの交配は避けた方がよいでしょう。