2015年5月8日更新

【獣医師監修】肥満細胞腫とは? 犬猫の病気、肥満細胞腫の危険性から症状、治療方法まで

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「肥満細胞腫」

実際に自分のペットが罹ったことがなければあまり聞いたことがない病名ではないでしょうか。

肥満細胞腫は実はかゆみや発疹など、一見何でもないような症状の影に隠れて体を蝕む怖い病気です。

肥満細胞とは一体何なのか?肥満細胞腫の危険性は?どんな治療方法があるのか?など肥満細胞腫について、紹介していきましょう。

 

肥満細胞とは? そして肥満細胞腫とは?

「肥満」という名前はついていますが、肥満細胞は「太っている」こととは何の関係もありません。肥満細胞とはアレルギー反応で炎症を起こす原因となるヒスタミンやヘパリンなどの成分を出す細胞で、体の至る場所に存在しています。

これが細胞が腫瘍化すると肥満細胞腫を発症します。

肥満細胞腫は人間にもありますが、人間ではあまり多くはありません。しかし犬の場合は、皮膚の悪性腫瘍でもっとも多いもので、リンパ節、そして全身に転移を起こすことも稀ではありません。

一方、猫の肥満細胞腫は比較的良性の経過をたどることが多いと言われています。

肥満細胞腫の症状とは?

肥満細胞腫はその多くが皮膚表面に発生すると言われていますが、腫瘍の状態はまちまちで、見た目も大きさも一定ではありません。

赤くぷつっと虫に刺されたようだったり、イボのようだったり、ぷっくりした浮腫のようだったりします。たかが出来物と思っていると病気が進行してしまいますので、必ず動物病院で診てもらいましょう。

肥満細胞腫は針吸引による細胞検査により正確に診断できます。肥満細胞腫は脾臓などの内臓にできたり、または、皮膚の肥満細胞腫が内臓に転移したりすることがあり、これらは外からみてもわかりません。

レントゲン、超音波エコーなどの検査とともに、疑わしい場合はこちらも針吸引検査などで肥満細胞腫であるか否か確認します。

犬の皮膚の肥満細胞腫の場合、摘出した腫瘍の悪性度によりグレードⅠ~Ⅲまでに分けられますが、 悪性度が強いグレードⅢになると、再発や転移を起こしやすく、手術をしても完治が困難なことが少なくありません。

また、内臓にできた肥満細胞腫の場合には、基本的に悪性度は高いものとして治療を行なわなくてはなりません。ちなみに猫の肥満細胞腫にはこのグレードは適応されていません。

 

どんな治療方法があるのか?

肥満細胞腫の治療でまず行うのが、手術による腫瘍の切除でしょう。

肥満細胞腫は皮膚に発生した場合も、皮膚の深部に根があるため、手術の際は見た目より大きく切除する必要があります。適切に手術が行なわれれば、悪性度の低いものは、完治の可能性があります。

一方、脾臓などの内臓に腫瘍ができた場合は開腹手術が必要です。

もし、グレードⅡ以上の悪性度の高い肥満細胞腫であった場合や、既に転移をしている時、腫瘍を取りきる事ができない時には、化学療法や放射線療法も考えなければならないでしょう。

また、最近ではイマチニブという分子標的薬が一部の肥満細胞腫に効果があることも分かってきました。これは、従来の抗がん剤と比べて、副作用を抑えることができる化学療法として医学領域でも期待されている治療方法です。

ただし、全ての肥満細胞腫に有効というわけではなく、遺伝子検査により薬の効果があるかどうかを見極めてからの投薬治療となります。

 
 

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