2016年3月6日更新

【獣医師監修】シニア犬猫の床ずれを防ぐ方法、床ずれになった場合の治療方法

寝たきりになると床ずれができるのは人間もペットも一緒です。気付かずに放置してしまうと症状が進んでしまい、治療にも時間がかかるようになってしまいます。もしもペットが寝たきりになってしまった場合には、まずは床ずれの予防、そして早期の発見、根気強い治療が大切です。

今回は寝たきりになってしまったペットの床ずれについてご紹介しましょう。

床ずれって一体どんな症状?

寝返りを打てない状態で、同じ姿勢で長い時間横になっていると、皮膚が圧迫されて血流が滞りやすくなります。

一定時間以上この状態が続くと周囲の細胞が死んでしまい、やがて周辺の皮膚や筋肉などの組織が壊死します。これが床ずれで、専門用語では褥創(じょくそう)と呼ばれます。一度症状が出ると、なかなか完治せず、日常生活にも支障が出てしまう病気です。

初期の頃の床ずれは、浸出液で毛が固まったり、皮膚が少し柔らかくなったり、赤く腫れたりしはじめます。症状が進むにつれて、皮膚が壊死して筋肉や骨が見えるようになってしまい、常に血や浸出液が流れ出ている状態となります。

床ずれという名前から皮膚が擦れることで起こると思われがちですが、実際には皮膚の深いところで症状が進んでいるため、飼い主さんが目で見て確認できる頃には、内部ではかなり進行しているケースが多いのです。

床ずれはどんな部位に発症しやすいの?

床ずれは、皮膚の上から骨が触れられる部位でよく起こります。

具体的には、こめかみ、肩甲骨周囲、大腿骨や骨盤周囲、かかと、膝、肘などが、床ずれを起こしやすい場所です。一度床ずれになったところは、表面的には治っているように見えても、再発しやすいので注意が必要です。

床ずれの治療はどのような方法で行うの?

床ずれの治療にはいくつか方法があります。ひとつは壊死した組織を切除して皮膚を縫い合わせる外科的な方法です。

しかしながら床ずれを起こしたペットは高齢であったり、重篤な基礎疾患があったりすることが多いため、縫合しても皮膚が回復しにくいケースも多いと言われています。

もうひとつはドレッシング材と呼ばれるばんそうこうで傷を覆い回復を待つ方法です。人間の傷も同様ですが、少し前まで傷は乾燥させた方が早く治ると考えられていました。しかしながら傷口に出てくる浸出液が持つ傷を治す働きを活用した方が早く治癒することが分かってきており、ペットの床ずれも乾燥させずに治療する方法が取られています。

いずれの治療方法であっても、傷口周囲の清潔を心がけることはとても大切です。

床ずれの範囲が広がるなどして、感染症の危険性がある場合には抗生物質を内服することもあります。

床ずれを予防する方法は?

床ずれを予防するには、頻繁に寝姿勢(体位)を変えてあげる必要があります。飼い主さんの状況が許すようならば、4~5時間に一度は向きを変えてあげましょう。

さらに、最近ではペット用の低反発素材のマットや床ずれ防止マットが販売されています。こうした商品も活用して床ずれを起こしにくくすることもひとつの方法です。

可能であれば、マッサージや負担のない範囲での四肢の曲げ伸ばし運動を行なって血流を促進させてあげることは、床ずれ防止の助けになるでしょう。

床ずれは予防が最大のポイント

床ずれは一度発症してしまうと非常に治りにくい病気です。治療は長期に及ぶことがほとんどです。

さらに体力の弱った高齢のペットの場合、抵抗力が落ちていることから感染症を起こしてしまう可能性もあります。

床ずれは予防が最大のポイントです。ペットが寝たきりになってしまったら、床ずれの症状を起こす前から、体位変えを頻繁に行ったり床ずれ防止マットを用意したりして床ずれの発症を防いであげましょう。

また、寝たきりのペットとのコミュニケーションのひとつとして、マッサージやブラッシングなどを行いながら、全身を観察してあげることは、床ずれの予防や早期発見にもつながりますので、是非実践してみてください。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

老犬、老猫のために家をバリアフリーに。高齢のペットのための簡単リフォームについて

人間の場合、年を取るとバリアフリーや手すり等を取り付ける簡単リフォームを行う家は多いと思いますが、ペットの場合にも高齢になったら室内を歩きやすく生活しやすいリフォームが必要です。 今回……

老犬の認知症

老犬にぴったりな生活環境を考えよう!【屋外飼育編】

屋外環境は、屋内環境と比べると変えてあげられる範囲がかなり限られています。さらに屋外は屋内よりも過酷で、体が弱っている老犬にとってはさらに厳しい環境といえるでしょう。 犬の平均寿命も屋……

老犬の病気

ペットを仕事に。ペット業界の新たな資格、ペット介護士について

ペットの高齢化が進んで、最近注目されている資格のひとつがペット介護士(ペットシッター)です。仕事の内容は、年を取って自力で動くのが難しくなってきたペットを介護することですが、一体、どのような……

犬の死とペットロス

ペットを飼っていれば誰もが陥る可能性のあるペットロス。ペットロスと向き合うにはどうする?

ペットを飼っていれば誰もが経験するペットとの別れ。室内飼いするようになって人間との距離が縮まったためか、ペットは単なる愛玩動物というより家族の一員になり、亡くなった時の喪失感は大きくなってき……

老犬の認知症

【獣医師が解説】シニア犬になっても健康でいるために、今からできること

飼い主さんの健康維持に対する意識の高まりや、獣医療の進歩とともに、犬も以前に比べて長寿になってきました。愛犬には長く健康でいてほしいものですよね。今回のテーマは、シニアになっても健康でいるた……

老犬の病気

愛犬、愛猫の健康のために「健康日記」をつけよう

ペットを検診や病院に連れて行った時に獣医さんから細かい症状や発症の時期を聞かれて困ったことはありませんか? 近々のことなら記憶も確かですが、数か月前のことになると記憶があやふやになって……

犬のニュース

【必見!】犬用 おむつおすすめ10選

介護や生理の時、またマーキングやおもらしのトラブルの時などに使う、犬のためのおむつ。 今回は犬用のおむつのなかで、使いやすいものを選んでみました。 尻尾穴までの長さやお腹周りのサ……

犬の老化について

飼い主さんにとってもっとも大変な介護。高齢犬の排泄サポートの方法

高齢犬のお世話の中でも一番手が掛かりストレスが溜まるのがお漏らしへの対処でしょう。散歩に行けないので外で排泄することができず、室内にトイレがあっても室内での排泄を嫌がったりうまく排泄できなく……

老犬の病気

ペットロスになった飼い主さんを救う。『虹の橋』の物語とは…?

画像出典:PR TIMES 世界中で語り継がれている【虹の橋】というお話を知っていますか? 原作者不詳のまま世界中に広まり、様々な言語に翻訳され世界各国の人々をペットロスから救っ……

猫のニュース

【動物看護士が解説】飼い主必見!老犬介護に大切なポイントをお教えします。

昔は体力が有り余っていたずらばかりだった愛犬もついに老犬の仲間入り…。もしも、愛犬が寝たきりになってしまったらどうすれば良いのかわからないあなた。愛犬と楽しく、幸せに余生を過ごしてあげるため……

【獣医師が解説】シニア期に病気になってしまった愛犬・愛猫にできること

犬や猫も年齢とともに、様々な病気にかかってしまうリスクが増えてきます。時には、治療の難しい病気にかかることもあるかもしれません。そうなった時に、愛犬や愛猫のためにどのような選択ができるか知っ……

老犬の病気

【ドッグマナー協会理事が解説】犬と過ごす為の10年先を見られますか!?

飼い主として犬と接して14年。 小学生の頃に犬を飼っていた経験があり、自立をしたらどうしても犬を飼いたいと思って大阪で出会ったのが彼女! 今思えば考えられませんが生後2カ月にも満たな……

犬のニュース

【獣医師監修】シニア犬猫の床ずれを防ぐ方法、床ずれになった場合の治療方法

寝たきりになると床ずれができるのは人間もペットも一緒です。気付かずに放置してしまうと症状が進んでしまい、治療にも時間がかかるようになってしまいます。もしもペットが寝たきりになってしまった場合……

老犬の病気

【獣医師監修】運動した方が長生きできる?高齢になった犬の運動や散歩の方法について

若い頃は元気に走り回り、飛び回っていた愛犬も年をとると徐々に運動量が減ってきます。 昔は敏感に反応していた周囲の音や飼い主さんの動きにも鈍感になって、寝ている時間が増えてくるでしょう。……

犬の老化について

お腹、空いてないわけじゃない。高齢犬が食べられない4つの理由

「若い頃は食欲もあったのに歳を取って食べる量が減ってしまった」…愛犬が高齢になって大好きだったフードを食べなくなると飼い主さんもやたら不安になってしまいます。高齢になると食欲がなくなるのでし……

老犬の病気