2016年3月6日更新

【獣医師監修】小型犬が罹りやすい心臓の病気、僧帽弁閉鎖不全症の症状・原因・治療について

小型犬、大型犬のそれぞれに起こりやすい疾患があります。心臓の中にある、僧帽弁に異常が起きる「僧帽弁閉鎖不全症」は小型犬に起こりやすい疾患のひとつとして耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

今回は僧帽弁閉鎖不全症についてご紹介します。

僧帽弁閉鎖不全症とはどんな病気?

毎日休むことなく全身に血液を送り出している心臓。犬の心臓も人間と同様に4つの部屋に分かれています。

全身から右心房に入ってきた血液は、右心室を経由して肺に送られます。肺で新たに酸素を取り入れた血液は左心房を経由して左心室に送られ、心臓の筋肉のポンプの力で大動脈を通じて再び全身へと送り出されていきます。

僧帽弁(そうぼうべん)とは、左心房と左心室の間にある弁で、血液を左心室から全身へと送り出す時に、左心房への逆流を防ぐ蓋の役割をしています。この弁がうまく閉まらなくなる病気が僧帽弁閉鎖不全症です。

左心房と左心室の間の弁が完全に閉まらないため、左心室を収縮させて血液を送り出す際に左心房に血液が逆流してしまうのです。

逆流により血液が溜まった左心房やさらに上流の肺静脈にも負担がかかり、肺水腫などを招きます。また、症状の進行ととともに心臓の肥大も進み、心臓機能は低下してしまいます。そして最終的には死に至ることもあります。

僧帽弁閉鎖不全症の症状とは?

僧帽弁閉鎖不全症には日頃の生活の中で気がつきやすい症状がいくつかあります。

早めに病気を発見し治療を開始できれば、進行を遅らせることもできますので、飼い主さんによる日頃の観察が大切です。

咳が出る

興奮した時、運動した後、吠えた時、夜明け前の気温が下がった時などに軽い咳をすることがあります。

最初は軽い咳で頻度も多くありませんが、症状が進むと絶え間なく出るようになり眠ることもできなくなります。

散歩を嫌がる

散歩を嫌がる理由は心臓病だけではありませんが、僧帽弁閉鎖不全症を起こすと、運動が辛くなるため散歩を嫌がるようになります。

散歩を嫌がるようになったら一度、検診を受けさせて全身をチェックしてもらいましょう。

食欲がなくなる

食欲不振も心臓病以外にも原因があり、食欲不振=心臓病ではありませんが、僧帽弁閉鎖不全症を起こすと、元気がなくなり食欲もなくなってくることがあります。

「高齢が原因だろう」などと決め付けたりせず、食欲不振が続くようならば病院で診察してもらいましょう。

僧帽弁閉鎖不全症になりやすい犬種

僧帽弁閉鎖不全症になりやすい犬種としてはチワワポメラニアンキャバリア・キング・チャールス・スパニエル、マルチーズシーズーなどがあげられます。

特にキャバリア・キング・チャールス・スパニエルは遺伝的にこの病気に罹りやすいと言われていますので注意が必要です。

僧帽弁閉鎖不全症の治療

完治させる治療方法はありません。血管拡張薬、利尿薬、強心薬などを内服することで心臓への負担を軽くし、症状を抑えていく治療法が取られることが多いようです。

最近は漢方薬を使用するという選択もあるようですので、獣医さんと相談してみましょう。また、塩分の多い食品は避けるように注意することも大切です。

手術という手段もないわけではありません。しかし、実施可能な施設が限られている点、高齢犬の場合は特に、心臓に対する手術を受けること自体のリスクの問題、術後のケアや合併症の問題、また、経済的な問題などの理由で、積極的には選択されないケースが多いのが現状です。

僧帽弁閉鎖不全症は防げるの?

僧帽弁閉鎖不全症は原因の分からない病気ですので予防は難しいでしょう。

しかしながら小型犬でこの病気に罹りやすい犬種の場合は、定期的な検診で早めに病気を見つけることが大切です。早期の治療開始により進行を遅らせることは可能だといわれています。

飼い主さんのケア次第で病気があっても長生きも可能に

僧帽弁閉鎖不全症は早めに発見して適切な治療やケアをすることでQOL(生活の質)を保持しながら長生きさせることが可能です。

愛犬が僧帽弁閉鎖不全症と診断されたら、自宅で愛犬が安静に過ごせるよう室温や湿度に気をつけましょう。優しく声を掛けたり撫でたりすることで愛犬をリラックスさせてあげることも大切でしょう。

「病院に行って薬を飲んだらOK」ということではなく、飼い主さんによる常日頃のケアが重要なのです。

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