2015年8月17日更新

蒸溜所を守るウィスキーキャット。ネズミを捕るより人気を取る方が得意!?

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編集部

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動物の仕事というと犬の活躍が頭に浮かびますが、実は猫も結構働き者。イギリス、スコットランド地方にはスコッチの蒸溜所やビールの製造工場が数多くありますが、その昔ネズミや鳥などの害獣対策に猫が飼われ、ウィスキーキャットと呼ばれていました。

今ではネズミや鳥による害はそんなに深刻ではないようですが、ウィスキーキャットの伝統は脈々と引き継がれています。

今回はお酒を守る猫ウィスキーキャットについてご紹介しましょう。

 

ウィスキーキャットの仕事

イギリスでは「distillery cat(蒸溜所猫)」「mouser(ネズミ取り))などと呼ばれているウィスキーキャット。その本来の仕事は冒頭で触れたようにネズミや鳥など害獣の退治でした。

蒸溜所にはウィスキー作りに必要な大麦などが大量に貯蔵されていますが、昔は原料となる穀物を食べに来るネズミや鳥の被害が莫大でした。しかしながら食品を扱う場所で薬剤を使った駆除はできません。そんな中で白羽の矢が立ったのが猫だったのです。

ウィスキーキャットの採用方法は蒸溜所によってさまざまで、代々血統を受け継ぐ場合もあれば、複数の猫で任務に当たったり、複数の蒸溜所を掛け持つ猫がいたりしたそうです。

蒸溜所の猫の存在が知られるようになると猫目当てで訪れるお客さんも現れるようになり、訪問者への挨拶もウィスキーキャットの立派な仕事のひとつになりました。

現在ではネズミや鳥の害も減りつつある上、食品衛生上の問題で猫を製造エリア内に入れることができなくなりました。そのためウィスキーキャットは害獣駆除より広報に重きを置いているようです。

最も有名!グレンタレット蒸溜所の歴代ウィスキーキャット達

蒸溜所が100以上あるスコットランドには数多くのウィスキーキャットがいますが、その中でも1775年に創業したグレンタレット蒸溜所のウィスキーキャットは世界の猫ファンを夢中にさせました。

初代ウィスキーキャット、タウザー

この蒸溜所の初代ウィスキーキャット「タウザー(Towser)」はウィスキーキャットの名を世に知らしめた有名な猫でした。

タウザーは24年の生涯のうち19年をグレンタレット蒸溜所で過ごしましたが、その間に何と28,899匹のネズミを捕獲したそうです。

猫は自分が捕獲した獲物を飼い主に見せて報告する習性がありますが、この数字は報告されたネズミの数を従業員が書きとめたもので、何とギネスブックにも記録が残っています。

さらにこの猫を有名にしたのはイギリス女王エリザベス2世と同じ誕生日だったことです。

1986年にタウザーの名で送られた女王陛下へのバースディカードに対してタウザー宛てに送られた陛下のカードには「161歳(タウザーの年齢を人間の年齢に換算した歳)の誕生日、おめでとう」と書いてあったそうです。

多くの猫ファンを悦ばせたタウザーでしたが1987年3月20日に蒸溜所のスタッフに見守られながらこの世を去りました。その後、蒸溜所はタウザーの銅像を作って敷地内に設置。タウザーは今でも高いところから蒸溜所を見守っています。

 

タウザーの跡を継いだ2代目アンバー&ネクター

タウザーが亡くなってからその孫のアンバーとネクターが職を受け継ぎました。

この2匹の性格は対照的で、ネズミ取りが嫌いでなんと1匹もネズミを捕らず人に甘えることが好きだった社交家のアンバーに対し、ネクターはひたすらネズミ取りに邁進して滅多に顔を出さない職人気質だったそうです。

2匹は2004年ほぼ同時期にこの世を去りました。

9匹の中から選ばれて跡を継いだディランとブルック

アンバーとネクターが亡くなった後、蒸溜所は後を継ぐ猫探しに着手すべく、イギリスで最大の猫救済組織キャットプロテクションのスコットランド支部に猫選びを依頼しました。

この頃には蒸溜所で悪さをするネズミが減っていたため、ウィスキーキャットの主な使命は年間12万人に及ぶ観光客への接待でした。そのため注目を浴びても物怖じせず、写真を取られても平気な猫が必要でした。

最終的に9匹の猫が選ばれ、ディランとブルックという2匹の猫で迷った末に蒸溜所は2匹とも引き取ることにしたのです。選考に漏れた残りの7匹もそれぞれ蒸溜所のスタッフなどに引き取られていきました。

ディランとブルックは2011年まで蒸溜所で職務を全うしました。

一般から名前を公募?ディラン&ブルックの後釜・バレリー

2012年に新たな猫を捜すプロジェクトが始まりました。猫の保護センターの助けを借りて猫探しを始めましたが結局、地元の農民が茶トラの子猫を寄付したことで次のウィスキーキャットが決まりました。

その年の9月に蒸溜所はウィスキー好きと猫好きを対象にネーミングキャンペーンを実施しました。その結果、グレン、ジンジャー、バレリーの3つの名前からバレリーが選ばれ、茶トラのウィスキーキャットはバレリーと名付けられました。

残念なことにバレリーは2013年の冬に姿を消し、度重なる捜索でも見つかることがありませんでした。

8ヶ月の子猫、ウィスキーキャットに

バレリーの跡を引き継いだのが当時6ヶ月だったピート。彼はたちまち訪れる人の人気者になり、蒸溜所のテイスティングバーで人々をもてなしました。ピートのTwitterには何百ものフォロワーがいたそうです。

その可愛い姿はBBCニュースでも放映されましたが、残念なことに2014年9月に交通事故に遭い、蒸溜所のマネジャーの腕の中で息を引き取りました。

写真集にもなったウィスキーキャット

蒸溜所の設立当時からウィスキーキャットとして蒸溜所に勤めた猫たちは猫好きだけでなく多くのファンを惹きつけて写真集まで出版されました。

ウィスキーキャットたちの歴史の中には悲しいストーリーもありますが、これからも猫たちは蒸溜所の人たち、そして訪れる観光客を楽しませてくれることでしょう。

 
 

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