2017年7月4日更新

【獣医師監修】猫が糖尿病と診断されたら知っておきたい症状や治療方法

ペット生活

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編集部

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動物も健康意識が高まり、私たち人間と同じような病気が見つかるようになりました。糖尿病もその中の一つです。人では、悪化すると合併症を引き起こし、失明や透析治療、脳梗塞などの原因ともなり得る糖尿病ですが、動物たちの糖尿病はどうでしょうか。今回は猫の糖尿病に焦点を当てて、愛猫が糖尿病と診断されたら何に気をつけて生活すれば良いのか、猫を飼う上でまた、知っておきたい糖尿病の知識や治療法やなどを中心にご紹介します。

 

糖尿病とはそもそもどんな病気?

血糖値は、ホルモンや自律神経など、様々な方法で保たれています。

その中心を担うのがインスリンというホルモンで、膵臓で生合成され、血糖値を下げる働きを担っています。糖尿病とは、膵臓からのインスリンの分泌が減ったり、太り過ぎなどでインスリンの作用が悪くなったりすることが原因で血液中の糖の濃度が高くなる病気です。

人をはじめ、動物たちの体はインスリンの力を借りて血液中の糖を細胞の中に取り込み、活動のためのエネルギーにしています。そのため、インスリンが不足すると、細胞内に糖を取り込むことができなくなるため、血液中に使われない糖が増えてしまい、悪さをしてしまいます。

猫の糖尿病 その原因と特徴

人の糖尿病は、I型糖尿病、II型糖尿病、その他、遺伝性や妊娠糖尿病といろいろなタイプに分けられます。一方、猫の糖尿病は人の糖尿病のII型に類似するもの、膵炎による続発性のものがあります。

原因は、人と同じように、肥満や加齢だけでなく、慢性膵炎が挙げられます。猫には慢性膵炎が多く、慢性膵炎は猫の糖尿病の原因の半数以上を占めるとも言われています。慢性膵炎により、膵炎組織そのものが破壊されてしまい、インスリンの生合成ができなくなるのです。

また、猫の糖尿病が人の糖尿病と異なるところは、重篤な合併症がほとんど出ないことです。糖尿病は血管の病気です。血糖値が高くなることにより細い血管が詰まりやすくなり、人では糖尿病性腎症、網膜症、などの合併症が起きやすく、脳梗塞の原因にもなり得ます。一方、猫の糖尿病では血管に影響が出ることがほとんどなく、人でみられるような合併症は少ないのです。しかし、末梢神経へのダメージはみられ、後ろ足が麻痺することがあります。しかし、これも一時的なもので、糖尿病の治療を行うことで改善します。

猫の糖尿病の症状

人のII型に類似する場合、肥満である、もしくは過去に肥満であったこと、また、飲水量、尿量の増加がみられます。体重も減少しますが、その他に合併症はみられません。症状の悪化に伴い、食欲不振や嘔吐、元気がなくなるなどの症状が出ます。

膵炎が原因となっている場合には、食欲不振、嘔吐など膵炎に一致する症状がみられ、なおかつ、肥満ではない、または過去に肥満でなかったことが特徴として挙げられます。また、治療を開始してもインスリンが効きすぎ、コントロールが難しいとされます。

猫の糖尿病の診断

まずば高血糖があることです。しかし、猫はストレスに弱く、ストレスによる高血糖を除外しなければなりません。病院での検査は猫にとってストレスであるため、血糖値が通常値より高く出てしまうことがしばしばあります。

このため、数日以上継続して高血糖がみられることの他、持続して尿糖が出ている、また、飲水量や尿量が多い、体重減少があるなど、総合的に判断します。膵炎が疑われる時には、エコーや膵臓の特殊な血液検査も併用します。

 

猫の糖尿病 その治療方法とは?

猫の糖尿病には経口血糖降下薬は効果がありません。従って、人のII型に類似するタイプも、膵炎が原因となっているタイプも、基本的にはインスリンを注射で投与し、食事療法を併用します。

インスリンの注射は皮下注射ですので、練習して飼い主さんに治療してもらうことになります。そうすることで、猫を通院のストレスから解放してあげられますし、飼い主さんも一緒に頑張っていくという意識が高まります。膵炎の症状が出ている場合には、点滴や制吐剤、痛み止めなどの投与を行い、膵炎の治療を並行して行います。

糖尿病の治療目標は、猫の生活の質を改善してあげること、そして、低血糖を防ぐことです。具体的には、適正体重を保ってあげ、血糖値は下げすぎないようにインスリンの量を調節します。低体重でも、肥満でもインスリンが良好に作用しないため、適正体重を保つことは治療効果を上げるためにも、とても大切になります。

家庭で気をつけたいこと

猫をよく観察してあげてください。毎日、食欲や元気はあるか、水の飲み方や尿の量が増えていないかなどです。また、治療中には食事療法も行います。猫ちゃんはダラダラと気が向いた時にご飯を食べることが多いので、決まった時間に食事を食べられるようにしてあげてください。血糖値や尿糖についても家庭でのチェックが行えると安心です。しかし、家庭で検査を行うことが可能ではあっても、慣れない検査は難しいものです。検査を行う場合には主治医に相談しましょう。

最後に

猫の糖尿病について人の糖尿病と比較しながらお話を進めてきましたが、いかがでしたか?糖尿病は短期的なものではなく、長期に渡って治療と管理が必要な病気です。家庭での管理のウェートも高くなりますので、無理せず、信頼のおける獣医さんと二人三脚で病気に向き合いましょう。