2016年3月6日更新

【獣医師監修】自分で自分を溶かしてしまう? 犬の膵炎という病気について

犬の膵炎はこんな病気

膵臓で作られる膵液は、タンパク質や脂肪を溶かす強力な消化液の原液となる液体の一つです。膵液は本来、十二指腸に運ばれ腸液と混ざり合うことで活性化します。

ところがなんらかの原因により、膵臓内で膵液が活性化されてしまうと、膵液が膵臓自体を溶かしてしまうのです。これにより膵臓で炎症が起こります。

膵炎は重症化すると命にも関わる危険な病気です。

犬の膵炎の症状

膵炎は急性膵炎と慢性膵炎に分類されます。慢性膵炎とは、急性膵炎が繰り返し起こったり、長びいたりすることで慢性化してしまった状態のことを言います。

いずれの膵炎でも症状は軽症~重症まで様々です。具体的な症状は以下のようになります。

  • 頻繁に繰り返す嘔吐
  • 下痢
  • 発熱
  • 腹痛
  • 脱水症状

さらに深刻な炎症が起こると、膵臓が壊死し機能不全になるだけでなく、膵液が腹腔内に漏れ出してしまいます。すると周辺の臓器である肝臓、胆管、胆嚢、腸にもダメージを与え、回復不能な損傷を負ってしまう可能性があります。

さらに、回復後も、膵臓の機能不全により糖尿病を発症してしまったり、再発を繰り返して慢性膵炎となってしまったりすることがあります。

また、炎症が非常に激しい場合には、全身性の重篤な合併症を引き起こして死に至ることもあります。

犬の膵炎の原因

はっきりとした原因は判明していません。肥満動物に発生した事例が多く、高脂肪な餌を普段から食べていると膵炎になるリスクが高まるとされています。また若年齢よりも中高齢、オスよりもメスの方が、発生率が高いようです。

その他にも事故による膵臓の損傷、腫瘍や内分泌疾患、胆道疾患、ウイルスや寄生虫などの感染症、薬物の副作用など様々なことに起因する可能性が指摘されています。

犬の膵炎の治療

膵炎の特効薬はありません。膵臓をできるだけ休め、症状に応じた支持療法が基本になってきます。

軽症の場合は膵臓の負担にならない低脂肪の食事を少量ずつ与えます。

重症であれば絶食をしなければなりません。絶食する場合はその期間、適切な輸液治療のために入院が必要になってきます。他にも制吐剤や鎮痛剤、抗生剤などの薬剤を注射で投与します。

併発疾患がある場合には、その治療も同時に行ないます。

犬の膵炎の予防

適度な運動と適切な食事をこころがけましょう。適切な運動によって、消化管運動を活性化させ、消化管を丈夫かつ健康に保つことができます。

また肥満と膵炎は深い関係にあるとされているので、運動をすることで適切な体重をキープすることが重要です。

併せて食事面でも注意が必要です。高脂肪な餌をたくさん与えるのは控え、健康的な食事内容を意識して愛犬に与えるようにしましょう。

予防の徹底と早期発見が大切です

膵炎は完全な予防は困難です。しかし、生活習慣の問題が誘発原因となりうる病気ですので、日頃から健康的な生活を心がけましょう。

また、重症化すると命に関わる病気ですので、突然何度も嘔吐を始めたような時にはできるだけ早く動物病院へ行きましょう。

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