2016年3月5日更新

【獣医師監修】年に一度の狂犬病の注射、本当に必要なの? 狂犬病のワクチンの意義

狂犬病は、一度発症すると人間、動物ともに致死率100%と言われる恐ろしい病気です。しかし、日本国内では昭和33年以降、この病気の発生は報告されていません。

それでも狂犬病の予防注射は必要なのでしょうか?今回は狂犬病の脅威とワクチンの意義についてご説明しましょう。

狂犬病ってどんな病気?

狂犬病のウィルスは感染している動物の唾液に含まれ、その動物に噛まれることで感染します。

狂犬病は犬で1ヶ月~2ヶ月、人間では1ヶ月~3ヶ月と潜伏期間が長く、噛まれた直後は症状が出ません。また、発症前に感染の有無を診断することはできません。

発症すると異常行動やけいれん、麻痺などが起こりますが、治療方法が確立されておらず、ほぼ100%死に至ります。

日本ではずっと狂犬病が発生していないのに予防注射は必要?

昭和25年に狂犬病予防法が制定されて、犬の登録と年1回の狂犬病予防注射が義務付けられるようになりました。これらが功を奏して、昭和33年以降、国内で狂犬病は発生していません。

しかしながら、海外ではまだ狂犬病は撲滅されておりません。また、犬だけでなく、キツネ、タヌキ、狼、マングース、こうもり、アライグマ、猫といった動物も狂犬病のウィルスに感染することがわかっています。

そして、ウィルスを保持した動物が海外から日本に入ってくる危険性は常に存在するのです。

2009年以降、日本の空港や港では、犬、猫、キツネ、アライグマ、スカンクを検疫の対象として、狂犬病の検査を行っていますが、すべての媒介動物が検疫の対象となっているわけではありません。

また、不正な輸入で検疫を受けていない動物が国内に持ち込まれている危険性もあり、決して安全とは言い切れないのです。

常に狂犬病の脅威にさらされているということを認識し、国民の健康を守るためにも、日本の犬は狂犬病の予防注射を受けさせる必要があります。

狂犬病の流行を防ぐには70%以上のワクチン接種率が必要

WHO(世界保健機関)は、狂犬病の流行を食い止めるためにはワクチン接種率が70%以上必要だと規定しています。

日本では、登録されている犬を対象にした割合では接種率70%以上をクリアしているものの、登録されていない犬を含めると接種率は40%にも満たないと言われています。

狂犬病の恐怖から日本を守るためには、確実な飼い犬の登録とワクチン接種が必須なのです。

万が一、犬に噛まれたら?

現状、日本では犬に噛まれても狂犬病ウイルスに感染する危険性は少ないはずですが、万が一、海外で犬に噛まれた場合は注意が必要です。

野生の犬はもちろんのこと、海外では飼い犬もワクチン接種を受けていないケースがあります。感染が疑われる場合には、なるべく早く最寄りの保健所、または医療機関に届け出て、場合によっては狂犬病の発症を予防するワクチンの接種を始めるべきでしょう。

最後に

狂犬病が撲滅されて久しい日本では、その怖さが忘れられています。しかし、そのことは飼い主さんが予防接種の義務を怠る理由にはなりません。愛犬と自分自身、そして国民の健康を守るために、年に1回、狂犬病の予防注射を必ずうけましょう。

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