2016年3月5日更新

【獣医師監修】ただの下痢じゃない!すぐに病院へ連れて行くべき犬の「出血性胃腸炎」

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犬はときどき、食べたものを吐いたり、下痢をしたりすることがあります。大抵の場合は様子を見ているうちに治ってしまうことが多いのではないでしょうか。でも時には、すぐに対応が必要な怖い病気にかかっている場合もあります。

今回は速やかな対応の必要な病気のひとつである出血性胃腸炎についてご紹介します。

 

嘔吐がはじまり

ある日突然、犬が食べたものを吐くようになります。そして、数時間で何度も嘔吐を繰り返すようになります。

犬がこのような状態になったら、要注意です。

いくつかの原因が考えられますが、そのひとつには“異物を食べてしまったこと”があります。

異物以外の胃の内容物がなくなると、黄色い胃液のようなものを吐く場合もあります。食べてしまったものがわかっている場合には、速やかに獣医師の指示を受けましょう。とがったものや薬物など、吐かせることがかえって危険な場合には、開腹して取り除く手術が必要になることもあります。

いずれにしても、異物を誤食した心当たりがある場合には、できるだけはやく動物病院で診察をうけましょう。異物が原因で嘔吐をしているのであれば、原因が取り除かれることで回復にむかうでしょう。

しかし、今回紹介する病気は、嘔吐に続いて下痢や血便を引き起こし、命に関わる重篤な状態になる病気です。

嘔吐に続き、下痢が始まったら別の病気の可能性も

最初は食べたものを吐き、そのうちに水のような嘔吐を繰り返します。中には血が混じっているケースもあります。そのうち、下痢が始まります。

さらに血の混じった下痢やトマトジュースのような真っ赤な下痢が見られたら、一刻も早く病院へ連れて行きましょう。

どんどん脱水状態がすすんで弱っていき、積極的に治療を行なわないとみるみるうちに重篤な状態に陥る「出血性胃腸炎」という病気の可能性があります。

この病気は、突然下痢と嘔吐がはじまり、そのうち血尿のような血便を繰り返し、やがてショック状態に陥り、最悪の場合死に至る病気です。この病気の原因はわかっていません。

この病気でみられる血便は、トマトジュースのような真っ赤な便で、その中にはラズベリーのような形状の血の塊が見られることもあります。致死率が高いパルボウイルス感染症にかかった場合と症状が似ていますので、病院での検査でパルボウイルス感染症とこの出血性胃腸炎とを見分けます。

 

早めに適切な処置をすれば最悪の事態は避けられる

血便が出るようになった頃には、既に犬は弱ってきています。歩いてもふらつくような状態になっていることが多いです。状況を動物病院に話し、可能なら急患として診てもらいましょう。

特に小型犬の場合は体力の消耗も激しく、下痢の量が増えるに従い脱水が進行し、どんどんショック状態に陥っていきます。一刻もはやい対応が必要です。

すぐにショック状態を改善させる緊急処置を行ない、各種検査結果からこの病気であると診断されたら、輸液、抗生物質の投与などいくつかの集中治療を行います。

血便が出てからも数日間様子を見ていて治療を行なっていなかった、といったようなケースでなければ、病院での適切な処置でよくなることがほとんどです。数日の治療ですっかりよくなることが多く、早期の治療がとても大切な病気です。

原因は不明

この病気の原因はまだわかっていません。比較的若い小型犬がかかりやすいといわれていますが、どんな年齢のどんな犬種でもこの病気になる可能性があります。

食べ物や生活習慣などでも、遺伝でもなく、原因がはっきりしていないものの、一度この病気にかかったからといって再発しやすくなるということはないようです。

まとめ

下痢も嘔吐も、犬を飼っていればそれほど珍しくないことです。しかし中にはこんな素早い対応が必要な病気の可能性もあることを頭のすみに置いて、愛犬の健康をしっかり見守ってあげてくださいね。