2017年6月8日更新

【獣医師監修】犬にも免疫力ってあるの?

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免疫力

人も犬も日常生活を送る中で、多くの細菌やウイルス、有害物質にさらされています。

大気1㎡中には細菌などの微生物は数百個存在しており、それらがデパートや各種イベント会場など人の多く集まる場所では、数千個に増加します。身体全体に付着する細菌数は100兆個にもなる計算と言われています。

これらの微生物にとって人や動物の身体は快適な住まいであり、常に侵入の機会を狙っています。この病原性微生物から身体を守るのが「免疫」です。

3層の防御システム

皮膚、粘膜

まずは直接外界と接触する「皮膚」と「粘膜」は微生物の体内への侵入を防ぐ防御システムと言えるでしょう。正常な皮膚は病原体の侵入を防ぐ為に物理的なバリアになっています。

唾液・鼻水・涙液などは侵入した細菌の定着や増殖を阻止しています。

しかし、病原体やの感染やガン細胞の発生は完全に防ぐことは出来ません。その場合は生き物の体に備わっている「自然免疫」が病原体やガン細胞を迎撃します。

自然免疫

様々な病原体を殺す「ナチュラルキラー細胞」や「大食細胞」が中心となります。更に「自然免疫」でも対抗出来ない場合には獲得免疫が活躍します。

獲得免疫

これは、予防接種等(いわゆる狂犬病予防注射・混合ワクチン)で生後に獲得した免疫で特定の病原体に専用の方法で攻撃を仕掛けて駆除してしまいます。

 

愛犬の免疫力低下に気づけるように日頃の観察が大切

犬は「痛い」とか「今日は何だか調子が悪い」とか正確な情報を言葉では伝えてはくれません。

例えば、腹痛の場合はお腹に力を入れ背中を曲げる、不安な気持ちから狭い所に隠れようとするなどの行動をしますが、これは「他覚症状」と呼ばれるものです。

その行動から、飼い主さんは愛犬の状態を推測するしか手立てはありません。機嫌の悪い愛犬の行動を単なる我儘や加齢が原因と決めつけず「体調が悪いのかな?」と疑問をもって観察する事も大切です。

飼い主さんの免疫力も大切

愛犬だけではなく、むしろ飼い主さんの免疫力が重要です。例えば、飼い主さんの免疫力低下で病気になれば愛犬のお世話に支障が出ます。

入院なんて事になれば、いつものお世話が出来ず生活環境の大きな変化で愛犬のストレスは計り知れません。

また、免疫力低下にともない愛犬から病気をもらってしまう可能性もあります。

人畜共通感染症とは

狂犬病

狂犬病ウイルスを病原体とする感染症。発症すると致死率は100%です。

日本では1956年以来発症の記録はありませんが、いつまた日本で発生するかわからないため、注意が必要です。

キャンピロバクター

犬の腸管内に常在するキャンピロバクター菌を原因とする病気。

愛犬との過度なスキンシップにより人に感染します。(口移しで食べ物を与える・キス等上記の病気以外に、このような接し方はお互いの歯周病菌のやり取りも引き起こします。)

ブルセラ病

ブルセラ属の細菌が原因の病気。獣医師などの感染が多く、感染している犬の内臓や胎盤から経口感染します。

サルモネラ感染症

サルモネラ属の病原菌による感染症。鶏卵からの感染が有名です。

愛犬との過剰な接触から経口感染する事があります。

免疫力低下でかかりやすくなる病気

アレルギー

身の回りにあるごく普通の食べ物や花粉、ノミ・ダニなど特定の物質に過剰に免疫系が反応してしまうのが、アレルギーです。

アレルギー症状やアトピー性皮膚炎、花粉症等の犬が増えているのが実情です。

免疫介在性関節炎

足の先に痛みが出る、曲がるなどの変形してしまう病気です。

慢性化する事が多く、症状も徐々に進行していきます。原因は不明ですが自己免疫性疾患と言われています。

ガン

10歳以上の犬の交通事故死を除いた死因の約5割を占める病気がガンです。人のガンに比べて、進行が早く転移までの時間も短いので急速に症状が悪化してしまいます。

平均寿命が伸びる半面、犬にも生活習慣病が増えています。犬が発症するガンの多くは、皮膚・乳腺・リンパ・造血系・脾臓・肝臓・骨の腫瘍で占められています。

現在の獣医療では、ガン治療はもっとも進歩している分野の1つです。早期発見・早期治療が最も大切です。

 
 

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