2017年6月10日更新

犬が苦しそうな呼吸、咳をしていたら要注意!犬の気管虚脱の症状・原因・治療法について【獣医師監修】

気管虚脱という文字を見ただけではどんな病気かわかりにくいかもしれませんが、これは犬に見られる呼吸器の病気の一つです。この病気は気管が本来の強度を失ってつぶれてしまうことで起こり、呼吸に異常をきたします。

犬が少し動いただけで苦しそうな呼吸をしていたり、咳を頻発して起こしていたりするようなら、気管虚脱の可能性があるかもしれません。

気管虚脱の症状は?

苦しそうな呼吸、ガーガーという呼吸音を伴って喘ぐような呼吸、咳、咳からくる嘔吐、ひどい場合には舌が紫色になってしまうチアノーゼが見られます。

原因は明らかになっていませんが、起こりやすい犬種が特定されているので、遺伝によるものとされています。

ポメラニアン、ヨークシャテリア、マルチーズ、トイプードル、チワワなどの小型犬によく見られますが、中型、大型犬でも起こります。

また、気管虚脱は肥満により症状が悪化することがあります。

気管虚脱の治療方法

内服薬の投与、またはネブライザーなどの吸入器で症状を緩和させる治療を行います。しかし、気管虚脱そのものは完治するのが困難であるとされています。

気管虚脱の手術を行っている病院もありますが、多くはありません。また、術後の合併症も多く問題となっており、現在のところ、手術を行なっても気管虚脱の根治はかなり難しいとされています。

咳が頻発しているようなら、気管支拡張剤などの内服薬の投与が毎日必要になり、生涯にわたり投薬が必要となるでしょう。

もし気管虚脱になってしまったら

チアノーゼまで起こしてしまうような呼吸困難は、かなり苦しい状態といえます。日頃から気管に負担をかけないように生活するよう心がけましょう。

気温差に気をつける

夏場は暑い外から涼しい屋内へ、冬場は寒い外から暖かい屋内へと急に入った場合や、その逆の場合など、激しい気温差は気道粘膜を刺激して咳を誘発します。急激な気温の変化には気を付けましょう。

首輪から胴輪に

首輪は少し引っ張っただけでも気管に負担をかけるので、咳を誘発する原因となってしまいます。首輪を使って散歩をしている場合には、負担の少ない胴輪に変えてあげましょう

食事

大きい粒のドッグフードなどを噛まずに飲み込んでしまうと、食道が広がり気管を圧迫する可能性があります。

粒の小さいドッグフードに変え、おやつなども軟らかいものに変えてあげましょう。また、お湯などでふやかしてあげるのも効果的です。

まとめ

気管虚脱は完治が難しい病気です。気管への負担を避けるように生活習慣や環境に気を配る事が、症状を抑え、進行を遅らせることにつながります。生涯付き合っていかなくてはならない可能性の高い病気ですので、日頃のケアが大切です。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

犬もいびきをかく?いびきをかく時の注意点や対策とは?【動物看護師が徹底解説】

愛犬がお昼寝をしていると、聞こえてくるのはおじさんのようないびき…。人間もいびきをかくと、十分な睡眠を取れなくなったり、脳に酸素がいかなくなり体調不良の原因になったりします。犬のいびきは心配……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】小型犬に起こりやすい膝蓋骨脱臼の原因と対処方法

常に人気犬種の上位にランクインしている、チワワ、プードル、ポメラニアンなどの小型犬。 膝蓋骨脱臼はそんな小型犬が発症しやすい疾患です。小型犬の飼い主さんの中にはすでに動物病院で指摘され……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】人間だけじゃない!犬もかかる、尿結石症の症状・原因・治療法

人間の病気としてもよく知られている尿結石。犬も尿結石ができることがあることをご存知でしょうか? 尿結石症とは 尿のなかに石のようなもの(結石)ができる病気が尿結石症です。 犬に最も……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】小型犬がかかりやすい危険な病気と予防法

小型犬は大型犬、中型犬と比べるとなんだか病弱そうなイメージを持っていませんか? 実際は、体が小さいからといって、他の犬種よりも際立って病気に弱いということはありません。しかし、遺伝的に……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】命に関わることもある犬の免疫介在性溶血性貧血の症状・原因・治療法について

犬の免疫介在性溶血性貧血はこんな病気 溶血性貧血とは血中の赤血球がなんらかの原因で破壊され、貧血症状が起こってしまう状態のことをいいます。 感染症や先天性の理由など原因はいくつかあり……

犬の血液の病気

【獣医師監修】子犬は特に要注意!ケンネルコフの症状・原因・治療法について

ケンネルコフはこんな病気 ケンネルコフとは正式名称を「犬伝染性気管気管支炎」といいます。その名のとおり、犬がかかる伝染性の気管気管支炎を総称してケンネルコフと呼びます。 原因はウイル……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】犬の先天性心疾患の一つ。肺動脈弁狭窄症の症状・原因・治療法について

肺動脈とは心臓の右心室から肺へ血液を送り出す動脈で、その入り口にある肺動脈弁とその周辺が、先天的に狭くなってしまっている状態のことを「肺動脈弁狭窄症(はいどうみゃくべんきょうさくしょう)」と……

犬の心臓の病気

犬の咳やくしゃみ、何かの病気のサイン?【動物看護師が解説】

愛犬が咳やくしゃみをしているとき、風邪かな?と思いますよね。ですが、咳やくしゃみなどの症状が出る病気は風邪だけではなく、実は様々な怖い病気の可能性もあるのです。どんな咳をしたら、どんな病気の……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】発生率も死亡率も高い病気。犬の乳腺腫瘍について

犬の乳腺腫瘍はこんな病気 犬の乳腺腫瘍は腫瘍の中でもかなり発生率が高い病気です。 その割合はなんとメス犬に発生する全腫瘍の52%。半分以上を乳腺腫瘍が占めているのです。 乳腺腫……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】犬の鼻炎。原因・症状から治療法まで

鼻水ずるずる。くしゃみ連発。鼻炎が辛いのは人も犬も同じです。人の場合は耳鼻科へ通ったり、ドラッグストアで薬を買ったりして対処する人が多いでしょう。犬は一体どうすれば鼻炎を治すことができるので……

犬の動作や習慣の変化や異常

犬の為に、かかりつけ医を決めておく理由。良いドクターの見つけ方

自宅で飼われている犬のかかりつけ医は決まっていますか?実は、私たち同様に犬にも、もしもの時に頼れるかかりつけ医を探しておく事が重要なのです。 日頃から怪我や体調を崩しがちな犬の場合は、……

犬の動作や習慣の変化や異常

犬が苦しそうな呼吸、咳をしていたら要注意!犬の気管虚脱の症状・原因・治療法について【獣医師監修】

気管虚脱という文字を見ただけではどんな病気かわかりにくいかもしれませんが、これは犬に見られる呼吸器の病気の一つです。この病気は気管が本来の強度を失ってつぶれてしまうことで起こり、呼吸に異常を……

犬の動作や習慣の変化や異常

【獣医師監修】犬が走っている途中で躓いて捻挫?!愛犬が捻挫した場合の処置について。

犬は走るのが得意な動物ではありますが、足場の悪いところを走ったり無理に方向転換したりすると捻挫や肉離れを起こすことがあります。犬が脚に捻挫や肉離れなどのケガを負った場合は、動物病院で手当する……

犬の動作や習慣の変化や異常

自宅でもできる身体検査。愛犬の体温・心拍数・呼吸数の測定方法をご紹介

愛犬の健康状態を正しく判断するために、健康時の体重・体温・心拍数や行動の癖やしぐさ、排泄の回数やタイミングを何となくでも把握しておくようにすると健康状態の不調に気が付きやすくなります。今回は……

犬の動作や習慣の変化や異常