2015年11月25日更新

【獣医師監修】犬の喉頭麻痺~原因・症状と対策

あまり聞きなれないかもしれませんが、犬の病気で喉頭麻痺というものをご存知でしょうか。読んで字のごとく、喉の奥にある部位に麻痺が起こってしまう非常に危険な病気です。

特に大型犬や老犬がかかりやすいといわれる犬の喉頭麻痺について、今回は詳しく見ていきましょう。

喉頭麻痺を引き起こす原因はまだまだ解明されていない?

喉頭は発声や呼吸を管理する器官で体内でも非常に重要な役割を担っています。その喉頭が正常に機能しなくなる原因として考えられているのが、喉頭を支配する神経や筋肉の障害や遺伝性の機能障害です。

神経や筋肉による障害

喉頭の周辺の筋肉を動かしている反回喉頭神経に障害があると喉頭麻痺が起こることが分かっています。喉の損傷や炎症、神経周辺に腫瘍ができることによって反回喉頭神経に障害が出ることがあります。また喉頭を支えている筋肉に障害が起きても喉頭麻痺は発生します。

遺伝によるもの

シベリアンハスキー、ブルテリア、ダルメシアン、グレートピレニーズ、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーなどの大型犬種が喉頭麻痺を発症しやすいことが分かっています。遺伝性の場合は生後1年以内に発症するとされています。

しかし、上記2つの原因以外でも喉頭麻痺が発症することは確認されており、その原因は不明なものがほとんどです。

喉頭麻痺の症状が出るころには手遅れなことも…

喉が麻痺してしまうことで起こる喉頭麻痺の症状は喉に関連するものだけでなく、全身症状が現れることがあります。喉が麻痺することで直接起こる症状には、鳴き声のトーンが変わったり、呼吸困難、ぜんそくや咳のような症状などがあります。さらに呼吸困難が原因で落ち着きがなくなり、パニック症状に陥る犬や運動そのものを嫌がるようになる犬もいます。症状が深刻化していくと嘔吐や吐き気を催すようになり、めまいや酸欠により失神してしまうこともあります。

ジッとしている分には症状はそれほど見られないこともありますが、夏場や運動直後では少し動いただけでも症状がみられるようになり、状態はどんどん悪化していきます。

また酸欠状態が続くと舌や歯茎が紫色に見えるチアノーゼ、と呼ばれる反応が出ることもあり、この場合早急に対応しないと死に至ってしまうケースもあり非常に危険です。

喉頭麻痺にかかってしまったら?治療と対策

喉頭麻痺の症状がみられるようになると、ほとんどの場合で緊急を要するケースが多く早急な対応が求められます。症状が軽い場合では投薬治療でも対応できますが、著しい呼吸困難に陥っている場合やチアノーゼ反応が出ているような場合は緊急の救命治療が必要です。

緊急気管切開を行ったり、酸素吸入を行ったりして全身に酸素を送り込むことが必要になります。それでも効果が見られない場合には喉頭にある披裂軟骨外転術や披裂軟骨部分切除術、咽頭形成術などの外科的手術を行い、喉を開くことが必要になります。喉を開きすぎてしまうと今度は誤嚥性肺炎を引き起こすリスクも上がってしまうので、注意が必要です。

高齢の犬の場合、これらの手術に耐えられるほどの体力がない場もあり、手術が行えないこともあります。喉頭麻痺の原因がはっきりとわかっている場合は原因を治療していくことで喉頭麻痺の症状が改善されることもありますが、原因不明で手術が行えない場合は愛犬に無理なく安静に過ごさせてあげることが必要になります。

喉頭麻痺はまだまだ不明なことが多い病気

喉頭麻痺は飼い主の間ではあまり知られていない病気であり、原因も不明だとされることが多い病気です。いつ愛犬が発症してしまうかもわからない病気ではありますが、だからと言ってこれといった対策もないのが現状です。

しかし、日ごろから喉元を締めすぎたり、喉にかかる負担を軽減してあげたりすることによってケアを行うこともできます。特に大型犬の場合、大丈夫だと思って首輪を絞め過ぎてしまうこともあるので、場合によっては首輪からハーネスに切り替えるなどの対策をとるといいでしょう。

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