2015年11月28日更新

【獣医師監修】犬の眼球脱出~原因・症状と対策

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犬の眼球が何らかの衝撃によって外に飛び出してしまう「眼球脱出」は、短頭種に多く見られます。外に飛び出した眼球は非常に無防備で、傷つきやすく、最悪の場合視力を失う可能性も。

緊急性を伴う状態のため、もし愛犬の目が飛び出していたら、すぐに濡らしたタオルなどで患部を保護しつつ動物病院に行く必要があります。

犬の眼球脱出とはどのような状態なのか、詳しくご説明します。

 

眼球脱出の原因

犬の眼球脱出は、頭部や眼球に何らかの衝撃が加わったことで起こります。眼球脱出を起こしやすい原因は次の通りです。

  • 他の犬とのケンカ
  • 交通事故、落下事故など
  • 人間が犬の後頭部を叩く
  • 物にぶつかる
  • 眼窩内腫瘍

事故だけでなく、眼球脱出は他の犬とケンカして顔面にかみつかれた衝撃や、物にぶつかったときの衝撃など、あらゆる原因で起こり得ます。また、飼い主がいたずらをした犬の後頭部を思わず叩いてしまった、という話は珍しくありませんが、その衝撃も眼球脱出の原因になります。

最後の眼窩内腫瘍とは、眼球や、視神経などの眼球関連の組織(眼窩内組織)から発生する腫瘍のこと。眼窩内組織は「眼窩」と呼ばれるくぼみの中に収まっているため、そこで腫瘍が成長するにつれて、眼球が少しずつ前に押し出されてしまいます。

腫瘍の種類は、眼窩内組織に原因がある原発性と、他の病気に関連して起こる続発性によって異なります。原発性の場合は、悪性黒色腫(メラノーマ)、リンパ腫、腺がん、血管肉腫、扁平上皮がんなど。続発性の場合は、目に隣接する副鼻腔の腫瘍が悪影響を及ぼして、眼窩内腫瘍が発生する可能性があります。

眼球脱出が起きやすい犬種

眼球脱出は、パグ、シー・ズー、ボストン・テリア、フレンチ・ブルドッグ、狆、チワワといった、元々目が飛び出し気味の短頭種に起きやすい病気です。

眼球脱出の症状

頭部などへの衝撃によって眼球が外に飛び出します。眼球はごろんと丸ごと外に出るのではなく、眼窩からはずれて少し前に出ている状態のほうが多いです。強い痛みがあるため、攻撃的になることも少なくありません。

眼球が飛び出たままだと目は常に乾燥した状態になります。眼球脱出で一番問題なのは、角膜が乾燥すること。角膜が乾燥すると傷ができやすくなり、そこから細菌をはじめとする微生物が感染して角膜潰瘍を起こす危険性があります。ひどくなると視力が低下したり、失明したりすることもあるため要注意です。また、飛び出た眼球の白目の部分は真っ赤に充血します。

眼球が飛び出たままだと、眼球からつながる視神経も前に引っ張られて伸び、ダメージを受けます。それが原因で失明することもあります。

犬が眼球脱出を起こしていたら、乾燥を防ぐために患部を濡らしたタオルやティッシュペーパーなどで覆い、一刻も早く動物病院で治療を受けましょう。

 

眼球脱出の対策

眼球脱出が軽症なら、麻酔下で眼球を元の位置に戻す外科手術を行います。患部を洗浄後、眼球の脱出によって内側に巻き込まれたまぶたを手前に引っ張りつつ、同時に、飛び出した眼球を中に押して元の位置に戻します。手術後は再度の脱出防止と角膜の保護のため、しばらく上下のまぶたを縫い合わせ、強制的に目を閉じさせます。

眼窩内腫瘍が原因で飛び出た場合、まず腫瘍への対処が必要です。外科手術、抗がん剤を用いての化学療法、放射線療法を、できた腫瘍の種類に合わせて実施します。

なお、視神経がダメージを受け、検査の結果失明していることが明らかであったり、眼球の状態が著しく悪化したりしていれば、眼球の摘出手術を行うことになります。

短頭種は目の構造上、眼球脱出が起きやすいので、普段から頭部や眼球に衝撃を与えないように注意しましょう。事故や他の犬とのケンカなども原因となりますので、犬の動きから目を離さないように心掛けることが大切です。

また、副鼻腔の腫瘍も原因となり得るため、鼻汁やくしゃみが頻繁に出るといった気になる症状が見られたら、念のため、腫瘍の有無を動物病院で調べてもらうと安心です。

飼い主の不注意が原因で眼球脱出が起きることも…

眼球脱出はあらゆる原因で起こります。例えば、自転車のかごに乗せていた犬が誤って地面に落下した、ペットカートから落ちた、抱っこしていた犬をうっかり落としてしまったなど。そんな飼い主のささいな不注意が原因で眼球脱出が起こることもあります。特に好発犬種を飼っている場合は注意しましょう。

 
 

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