2015年11月12日更新

【獣医師監修】犬の気管支炎~原因・症状と対策

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

犬の気管支炎という病気を聞いたことがありますでしょうか。気管支炎とは、空気の通り道である気管が、何らかの原因によって炎症を起こしている状態を指します。放置すると、完治しなくなったり、重篤な症状に陥ったりすることもあり、油断できません。

犬の気管支炎とはどのような病気なのでしょうか。詳しくご紹介します。

 

原因

犬の気管支炎は原因や発症し始めてからの期間によって、急性気管支炎、慢性気管支炎、ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)の3つに分けられます。

それぞれの種類ごとに原因を掘り下げて見ていきましょう。

急性気管支炎の原因

急性気管支炎では、次のいずれかが原因となって気道粘膜に炎症が起こります。

  • 感染性…ウイルス、細菌への感染
  • 非感染性…アレルギー性、異物、ホコリ、タバコの煙、気温変化など
  • 寄生虫…線虫類の幼虫などが気管に入り込む

他にも、喉に悪影響や刺激を与えるものはすべて原因となり得ます。

炎症が起きると、気管は侵入してきた原因物質を外に追い出そうと、大量の粘液を分泌します。原因物質が入った粘液は、気道(空気の通り道)の周りに生えている線毛の働きで上へ上へと移動し、咳や痰として外に出されます。

慢性気管支炎の原因

慢性気管支炎は、急性気管支炎を繰り返すことで発症します。1年間のうち、2ヶ月以上咳が連続しており、かつ、他に咳が出続ける疾患などがない場合に、慢性気管支炎と診断されます。

気管支上皮に長期間にわたって刺激が加わることで、気道の周りが腫れ、呼吸を妨げます。悪化すると気管支拡張症へと進行することがあります。

なお、慢性気管支炎は中高年齢の小型犬が発症しやすい傾向にあります。

ケンネルコフの原因

ケンネルコフは犬パラインフルエンザウイルス、犬アデノウイルス2型、気管支敗血症菌、マイコプラズマなどのうち、一つ、もしくは複数に感染することで発症します。

これらの原因病原体には接触感染か飛沫感染で感染します。そしてこれらのウイルスや細菌は、感染力が非常に強いのが特徴。多頭飼育をしていると、あっという間に感染が広がります。体力や免疫力の乏しい子犬や老犬がかかりやすい病気です。

症状

急性・慢性気管支炎、ケンネルコフに共通する症状は咳です。下を向いて吐くように咳をします。気管支炎の種類ごとに詳しい症状を見ていきましょう。

急性気管支炎の症状

最初は乾いた咳をし、症状が進むと痰が絡んだときのような湿った咳をするようになります。咳は運動後や食事のとき、リードを引っ張ったとき、急に冷たい空気に触れたときなど、喉に刺激が加わったタイミングで出ます。

咳以外では、喉の痛み、食欲不振、発熱、元気消失、運動を嫌がるといった症状が見られます。

慢性気管支炎の症状

下を向き、喉が詰まっているような動作とともに湿った咳をします。急性と同じく、喉に刺激が加わったタイミングでよく咳が出ます。

症状が進むと、元気がなくなり、動くのを嫌がります。呼吸は浅く早くなり、呼吸困難やチアノーゼが見られることもあります。

ケンネルコフの症状

乾いた咳をし続けるのが特徴です。感染したウイルスが一つだけの場合、咳に加え、微熱程度の発熱が現れます。運動時、興奮時、急に寒い場所に出たときに咳が出やすくなります。

感染したウイルスが複数の場合や、子犬や老犬が発症した場合は、咳とともに高熱、食欲不振、元気消失といった症状が見られ、膿性のどろっとした鼻汁が出ます。肺炎を起こすこともあります。

 

対策

気管支炎の主な症状は咳のため、病気がある程度進行するまで「たかが咳」と軽視してしまいがち。咳以外の症状が出始めたころには、状態は悪化している可能性が濃厚です。そうなる前に、動物病院で早めに診察を受けるようにしましょう。

気管支炎の種類ごとの対策方法は以下の通りです。

急性気管支炎の対策

急性気管支炎に対しては、原因に応じた対症療法を行います。感染性の場合は抗生物質を、場合によっては抗炎症剤や気管支拡張剤、鎮咳剤などを使用します。

治るまで散歩もなるべく控えて犬を安静にさせ、喉に刺激を与えないように配慮することが大切です。例えば、温度や湿度に気を配り、犬がホコリを吸いこまないように掃除をこまめにします。タバコは犬のそばで吸わないようにし、刺激臭のあるものを犬に近づけないこと。気管支炎の完治後も続ければ、予防にもつながります。

なお、通常、安静にしていれば急性気管支炎は数日で治ります。

慢性気管支炎の対策

慢性気管支炎は、一度発症すると完治することはありません。うまく病気と付き合っていく道を模索します。

まず、原因物質を犬から遠ざけること。そして、抗炎症剤、気管支拡張剤、去痰剤、場合によっては鎮咳剤を使用します。感染性の場合は抗生物質の投与も行います。そのようにして咳や感染をコントロールし、悪化させないことが重要です。

急性気管支炎と同様に、喉にとって刺激となるものを意識的に犬から遠ざけるようにしましょう。

ケンネルコフの対策

合併症がなく、一つのウイルスに感染しただけなら、1~2週間で自然治癒することもあります。ケンネルコフを根治する特効薬はないため、咳がひどかったり、合併症があったりすれば、状態に合わせて抗生物質や鎮咳剤、気管支拡張剤などで対症療法を実施します。

ケンネルコフの原因となるウイルスのうち、数種類に対しては混合ワクチンがあります。予防のために子犬のころに接種するのが望ましいでしょう。予防接種が済んでいない子犬や免疫力の落ちている老犬は、犬がたくさん集まる場所に連れて行かないようにしてください。

冬は特に気管支炎になりやすいので注意

冬場は空気の乾燥によって、異物を体外に排出する気道粘膜の機能が弱まります。あらゆる異物の影響を受けやすい時期といえます。他の季節よりも特に犬の喉の状態に注意し、気管支炎を発症しないように気をつけましょう。

急性気管支炎を繰り返すと慢性気管支炎へと進行してしまいます。慢性化すると完治しないため、犬が気になる咳をし始めたら動物病院で一度診てもらいましょう。

 
 

関連カテゴリ