2016年11月7日更新

ポメラニアンの病気〜獣医師が解説するポメラニアンのかかりやすい病気〜

ドイツ原産のスピッツの中で最小サイズ、まん丸の目とモコモコの毛で覆われた姿がかわいいポメラニアン。小さいながらもバランスの良い体格ですが、骨が細く、とても骨折しやすいので、丁寧に接してあげましょう。ポメラニアンには、他にも気をつけておきたい病気がいくつかあります。今回は、ポメラニアンの飼い主さんに知っておいていただきたい病気についてご紹介します。

ポメラニアンの目の病気

流涙症

流涙症は、涙が常にあふれている状態をいいます。いつも涙で濡れてしまっている目の周囲の毛は、茶色く変色してしまい、いわゆる涙やけの状態になります。

通常、涙は鼻涙管という管を通って鼻の中に排出されます。鼻涙管がつまってしまったり、狭くなってしまったりすると、涙が十分に排出されずに目からあふれます。また、先天的に鼻涙管が狭い場合もあります。そのほか、結膜炎や角膜炎、まつげの異常など、涙の分泌量が増えるような目の病気が原因になることもあります。

治療としては、鼻涙管洗浄という処置でつまりを取り除きます。他の目の病気がある場合には、その治療を行ないます。流涙症は、完治が難しいことがよくあります。目の周囲の皮膚炎の原因にもなりますので、こまめにふきとり清潔を保ちましょう。

睫毛乱生

睫毛(しょうもう)乱生とは、いわゆる逆まつげで、まつげが角膜にむかって生えている状態です。逆まつげは常に眼球表面の角膜を刺激してしまいます。これは、流涙症の原因になるほか、角膜を傷つけてしまい、角膜炎や角膜潰瘍の原因になります。

治療として、まずは逆まつげを抜いてしまいます。しかし同じ毛根から何度も角膜を傷つけるような逆まつげが生えてしまう場合には、毛根をレーザーで焼くなどすることもあります。

ポメラニアンの脊髄の病気

環軸不安定症(環軸亜脱臼)

首の1番目の骨(環椎)と2番目の骨(軸椎)の間の関節が不安定になることで、首の脊髄神経が圧迫され、さまざまな神経症状が起こります。ポメラニアンでは、軸椎の歯突起と呼ばれる構造に先天的な異常があることで、環軸不安定症(環軸亜脱臼)を起こすことがあります。

首の激しい痛みや、ふらつき、歩行困難、さらには起立不能に至ることもあります。また、脊髄神経への障害がさらに重度になると、呼吸停止により死亡してしまうケースもあります。

治療として、まずはコルセットで首を固定して安静にします。これにより神経の回復が促され、一時的に症状が改善することがあります。しかし、首の痛みや麻痺などの症状が再発することもよくあります。そのため、環軸不安定症と診断されたら、外科手術で環椎と軸椎を固定することを検討します。実施可能な施設が限られているので、手術についてはかかりつけの動物病院の先生とよく相談しましょう。

ポメラニアンの呼吸器の病気

気管虚脱

気管は本来、ホースのような形をしていますが、これを維持できなくなり、途中でつぶれてしまう病気が気管虚脱です。気管虚脱の原因は、はっきりわかっていませんが、遺伝が関係するようです。気管虚脱を起こすと、呼吸時にスムーズに空気が通れなくなってしまいます。そのため、咳や呼吸困難を起こします。特に、ガーガーという音を伴う「ガチョウ様咳」は気管虚脱に特徴的です。興奮時に悪化する傾向があり、病気が進行して重症化してしまうと、呼吸困難で死亡してしまうこともあります。

気管虚脱は命に関わる病気です。急性の呼吸困難を起こしている時には、すぐに緊急処置が必要です。酸素吸入や内科処置で状態を安定させます。安定すれば、投薬や体重管理を徹底するなど、自宅でケアを行ないます。胴輪を使って首に負担をかけないようにすることも大切です。気管虚脱は根治の難しい病気です。根本的な解決を目指した手術を実施している施設もありますが、合併症の問題などもあり、今のところ広く行なわれているとは言えないのが現状でしょう。

ポメラニアンの心臓の病気

動脈管開存症

大動脈と肺動脈をつなぐ「動脈管」という胎生期の血管が残ったままで生まれてしまう、先天性の病気です。初期であれば、特に症状もなく、健康診断の心雑音で見つかることもあります。病気が進行して重症化すると、疲れやすい、咳をする、倒れるなどの症状を起こします。また、発育不全が見られることもあります。

内科治療で状態が安定したら、動脈管を閉塞させる手術を行ないます。手術を行なわなかった場合には、急速に進行してしまうことがあります。一方、早期に手術を行なえば、通常の寿命を送れる可能性は十分あります。病気が進行してしまうと、手術そのものが不可能になりますので、早期発見と早期治療が大切です。

ポメラニアンの生殖器の病気

停留精巣

胎生期にお腹の中でできた精巣が、本来の位置へ移動する途中で止まってしまう先天性の病気です。精巣がお腹の中や、後ろ足の付け根の部分にとどまってしまうことがあります。

本来の位置である陰嚢内に納まらなかった精巣は、悪性腫瘍になりやすいことが知られています。停留精巣と診断されたら、早めの切除手術が勧められます。

ポメラニアンの骨と関節の病気

膝蓋骨脱臼

膝関節にある、いわゆる「膝のお皿の骨」が外れてしまう病気です。ポメラニアンでは、生まれつき膝関節を作る組織に異常があることで脱臼しやすくなるケースがみられます。

軽症であればリハビリテーションを行ないますが、経過によっては最終的に手術が必要になることも多くあります。脱臼が重度の場合や後ろ足の変形が始まっている場合は、成長するにつれて後ろ足の変形が強くなっていくことを防ぐため、できるだけ早い時期に手術をする
ことが勧められます。

ポメラニアンの皮膚の病気

アロペシアX

四肢と頭部を除いた全身が脱毛してしまう病気です。ふけや色素沈着がみられることもあります。サマーカットをしたあと毛が生えてこない、というようなこともあります。この病気は、雄雌どちらでも起こりますが、やや雄に多い傾向があります。原因についてははっきりしたことはわかっていませんが、ホルモンバランスの問題ではないかといわれています。

去勢手術をしていない場合には、治療のために去勢手術を行なうことがあります。また、去勢後に発症した場合は、内服薬を投与します。最近では、効果のある薬が何種類か見つかっています。治療に反応すれば、再び毛は生えてきますが、生え変わりの周期によっては再び脱毛してしまうこともあります。

ポメラニアンについてもっと詳しく知りたい方はこちら

ポメラニアンとの暮らしで注意すること【ペットシッターが解説】

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