2016年4月30日更新

ミニチュア・シュナウザーの病気〜獣医師が解説するミニチュア・シュナウザーのかかりやすい病気〜

1800年代後半にドイツの農場でネズミなどの害獣駆除を目的に育てられたといわれるミニチュア・シュナウザー。明るい性格と賢さで、ペットとして大人気の犬種となりました。活力があり、頑丈な体をしていますが、目の病気をはじめとして、いくつか気をつけておきたい病気があります。今回はミニチュア・シュナウザーで知っておきたい病気についてご紹介します。

ミニチュア・シュナウザーの目の病気

若年性白内障

目のレンズにあたる水晶体のタンパクが変性して白く濁ってくる病気です。犬は加齢とともに白内障にかかりやすくなりますが、ミニチュア・シュナウザーでは5歳以下という若いうちから白内障を起こすことがあります。これには遺伝が関与しています。

白内障を起こした目は白く濁って見えます。遺伝性の若年性白内障は急速に進行し、短期間で失明してしまうこともあります。失明してしまうと、物にぶつかったり、歩くのを嫌がったりします。

視力が残っている場合には点眼薬を用いた治療を行ないますが、白内障を治すことはできません。点眼薬は白内障の進行を遅らせることが目的です。白内障が進行して視力を失ってしまった場合でも、手術で視力の回復が望めるケースがあります。ただし、実施できる施設が限られており、術後のこまめな点眼などのケアの問題もありますので、かかりつけの獣医さんとよく相談をしてください。

進行性網膜萎縮

網膜の光を感じる細胞が変性していく病気です。これは、遺伝子の異常によるものだといわれています。

まず、夜間や暗いところで見えづらくなる夜盲症からはじまり、病気は徐々に進行します。残念ながら、最終的には完全な失明にいたります。

この病気には有効な治療法はありません。進行性網膜萎縮と診断されたら、落下しやすい場所や段差などの危険な場所はないか、ご自宅の環境を一度見直してみましょう。よく慣れた環境であれば、失明してしまっても大きな不自由なく暮らせるでしょう。

ミニチュア・シュナウザーの消化器の病気

胆嚢粘液嚢腫

細菌感染や炎症によって産生された粘液が胆嚢内にたまっていき、胆嚢が拡張していく病気です。進行すると、胆道閉塞や胆嚢破裂、肝機能不全を起こすことがあります。

よく見られる症状は、食欲低下や嘔吐ですが、無症状のこともあります。病気が進行して胆道が閉塞すると、黄疸を起こします。また、胆嚢が破裂すると、消化液である胆汁がお腹の中に漏れてしまって腹膜炎を起こし、重篤な状態となります。

無症状の場合には、低脂肪食や薬による内科治療を行ないながら経過観察をします。症状が見られる場合には、手術で胆嚢を摘出します。特に、胆道閉塞や胆嚢破裂が疑われる時は速やかな手術が必要です。術後も食事療法をはじめとした内科治療は継続した方がよいでしょう。

ミニチュア・シュナウザーの泌尿器の病気

尿路結石症

尿中の無機物や有機物が集まってできた結晶が、細菌や脱落した細胞を核にして固まったものが尿路結石です。多くは膀胱結石ですが、尿道、腎臓や尿管にもできます。ミニチュア・シュナウザーは遺伝的に尿路結石ができやすいと言われています。

膀胱結石であれば、血尿や頻尿といった膀胱炎と同様の症状がみられます。結石が尿道に詰まってしまうと、尿が出づらくなったり出なくなったりしてしまい、そのままにしておくと命に関わります。一方、腎臓結石や尿管結石は症状がはっきりしないことがほとんどです。

結石の種類やサイズ、結石のある場所によって治療方法は異なります。結石が尿道に詰まっている場合には、つまりを解除するための緊急処置が必要です。尿が出ていなかったり、出づらい様子があったりする時は、すぐに動物病院を受診しましょう。膀胱内の結石は、ストラバイト結石であれば食事療法で溶解させますが、ほとんどのケースで長期にわたる治療が必要です。それ以外の結石の場合は、必要に応じて手術で摘出します。また、結石症は尿路感染を合併しやすいため、これに対する治療も同時に行ないます。

ミニチュア・シュナウザーの内分泌の病気

糖尿病

膵臓から分泌されるインスリンが不足することで高血糖状態が続き、尿に糖が排泄される病気です。インスリンは、糖だけでなく、脂質やタンパク質の代謝にも関わっており、インスリンが不足すると様々な症状が現れます。

まず、尿の量や回数が多くなり、飲水量も増えます。また、食欲が増進する一方で体重が減少することもあります。病気が悪化すると、嘔吐や下痢が見られるようになります。さらに重篤な例では、昏睡状態に陥ってしまい、命の危険があります。また、合併症として白内障や様々な感染症を起こしやすくなります。

治療にはほとんどの場合で、インスリンの注射が必要です。糖尿病は根治が困難な病気で、治療は生涯にわたって行ないます。また、食事療法や適度な運動も大切です。感染症などを合併している場合は、これに対する治療も同時に行なわなくてはなりません。

ミニチュア・シュナウザーの皮膚の病気

アトピー性皮膚炎

ハウスダストなどの、本来病原性をもたないはずの物質に対する過剰な免疫反応によって、皮膚炎を起こす病気です。この異常な免疫反応の詳細なメカニズムはわかっていません。

目や口のまわり、耳、脇の下、胸やお腹、四肢などの皮膚に、痒みを伴う湿疹ができます。炎症を起こした皮膚は赤く腫れてしまいます。症状には季節性があることもありますが、良化と悪化を繰り返しながら慢性化します。炎症が慢性化した皮膚は色素沈着で黒っぽくなります。

アトピー性皮膚炎は根治が難しい病気です。薬やシャンプーによって痒みをコントロールしながらうまく付き合っていきましょう。

ミニチュアシュナウザーについて詳しく知りたい方はこちら
ミニチュアシュナウザーの基礎知識まとめ

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