2016年4月29日更新

パグの病気〜獣医師が解説するパグのかかりやすい病気〜

どことなくコミカルな、愛嬌のある表情のパグ。がっしりとしながらもコンパクトな体で軽やかに歩き回る姿が魅力的な愛玩犬として、国内外で人気の犬種です。そんなパグと生活していると、いびきが気になったり、皮膚の臭いが気になったりと、いくつか気になる症状が見られることがあります。パグで気をつけておきたい病気について紹介します。

パグの目の病気

角膜潰瘍

角膜潰瘍は、黒目の表面を覆っている角膜に傷ができる病気です。パグは、目が前へ飛び出しているため、枝や小石などで傷を負ったり、異物などの刺激があって自分でひっかいたりすることで、角膜潰瘍を起こしやすい犬種です。角膜潰瘍を起こしたら、できるだけ早い処置が必要です。放っておいて悪化すると、角膜穿孔といって角膜に穴があいてしまうことがあり、失明につながります。

角膜潰瘍を起こすと、痛みで目をしょぼしょぼさせて完全に開く事ができなかったり、足や壁でこすろうとする様子が見られたりします。また、目やにや涙が増え、結膜炎を同時に起こすこともあります。

角膜潰瘍を起こした場合、傷が浅く小さければ目薬を使って治療します。状態にもよりますが、数週間で治癒することが多いでしょう。一方、傷が重度の場合や角膜穿孔を起こしている場合には、できるだけ早く手術を行なわなくてはなりません。いずれの場合も、目を気にして自分でこすってしまうことで傷を悪化させないために、エリザベスカラーなどを確実に装着する必要があります。

パグの脳の病気

壊死性髄膜脳炎

壊死性髄膜脳炎は、パグ脳炎とも呼ばれる原因不明の病気です。この病気にかかったパグの多くは、最終的には死亡してしまいます。壊死性髄膜脳炎では、脳の炎症が徐々に進み、脳が萎縮していきます。パグをはじめとしたいくつかの小型犬に限って発症することから、遺伝が関与しているといわれています。

壊死性髄膜脳炎を発症したパグの初期症状は、発作や視力障害などです。病気が進むにしたがって、同じ場所をぐるぐる回る旋回運動や常に首をかしげたようになる斜頸が起こります。また、立つことができずに宙を泳ぐように四肢を動かし続ける遊泳運動が見られることもあります。やがて、痙攣発作がとまらなくなるなどして死亡してしまいます。

壊死性髄膜脳炎の治療方法は確立されていません。内服薬での治療に反応した場合には数年間の生存が期待できることもあります。一方で、治療に反応せずに数日から数週間のうちに一気に病気が進行して死亡してしまうこともあります。

パグの呼吸器の病気

鼻腔狭窄

鼻の穴(外鼻孔)やその奥の気道が先天的に狭くなっている病気です。パグやブルドッグなどの短頭種で多く、遺伝が関係しています。また、軟口蓋過長症など、鼻腔狭窄以外の上部気道の先天的な問題が複合して起こることがよくあります。

鼻腔狭窄を起こしているパグは、鼻をならしていたり、呼吸が荒かったりします。興奮時や暑い時に症状が悪化しやすく、酷い時には呼吸困難を起こすこともあります。

軽症であれば 特に治療を行なわず、鼻腔狭窄とつきあっていくことになります。ただし、暑過ぎる環境や激しい運動など、呼吸器に負担がかかる状況は避けるように気をつけましょう。一方、重症の場合には、空気が通過しやすくなるように、手術で外鼻孔を広げます。また、鼻腔狭窄をはじめとした上部気道に問題のあるパグは、パンティングによる体温調節が苦手で、熱中症を起こしやすい傾向があるので注意しましょう。

軟口蓋過長症

のどの手前にある上あごの粘膜(軟口蓋)が生まれつき長く、のどの入り口で垂れ下がってしまうことで、呼吸時に気道がふさがってしまう病気です。パグでは、鼻腔狭窄や軟口蓋過長症といった上部気道の先天的な問題が複合して起こることがあります。

たれさがった軟口蓋に邪魔されて気道が狭くなるため、呼吸に影響が出ます。寝ている時のいびきも軟口蓋過長症の特徴です。重症の場合には、垂れ下がった軟口蓋でのどが塞がれて、ひどい呼吸困難を起こすことがあります。また、鼻腔狭窄を併発していると、呼吸困難は重症化します。

重度の呼吸困難を起こしている時には、速やかに酸素吸入などの緊急処置をしなくてはなりません。軟口蓋過長症は自然に正常な状態になることはありません。重症の場合には、気道を確保するために、手術で長すぎる軟口蓋を切除します。

パグの骨と関節の病気

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼は、アーモンド型をした、いわゆる「膝のお皿の骨」が正常な位置からずれてしまう病気です。パグでは、先天的に膝関節を構成する骨や靭帯、腱などに問題があることがあり、膝蓋骨脱臼を起こしやすいことが知られています。膝蓋骨脱臼の発症には、遺伝が関与しています。

膝蓋骨脱臼を起こしたパグの症状は様々です。時々スキップをしたり、一時的な脱臼を、後ろ足を蹴り出す仕草で治してしまったりするような軽症例もあります。一方、重症例では、膝蓋骨脱臼を起こした後ろ足を伸ばすことができず、着地もできなくなってしまいます。また、後ろ足は徐々に変形していきます。

膝蓋骨脱臼の治療は年齢や重症度を考慮して決定します。軽症であれば、膝を正常に曲げ伸ばしさせるリハビリテーションのみという場合もあります。一方で、重症の場合には手術が必要です。後ろ足の変形は成長に伴い進んでいきますので、手術は早めに 行なう方がよいでしょう。

パグの皮膚の病気

皮膚炎

パグは、皺の中や皮膚のたるんだ部分で細菌などが繁殖することによる皮膚炎を起こすことがあります。また、アレルギー性皮膚炎や皮脂の過剰分泌により起こる脂漏性皮膚炎を起こすこともあります。アレルギー性皮膚炎は、ほこりやちり、花粉、食物などの本来は毒
性のない物質に対し、過剰に免疫反応が働くことで起こる皮膚炎です。 一方、脂漏性皮膚炎は、皮脂が過剰に分泌されることでマラセチアという酵母や細菌が異常繁殖して起こる皮膚炎です。これらの皮膚炎は複合して起こることもよくあります。

パグの特徴でもある皮膚の皺の中や皮膚のたるんだ部分、また、おなかや顔、手足、脇の下、指の間、あごなどで皮膚炎の症状は多く見られます。かゆみがあり、脱毛して皮膚が赤くなったり、赤いプツプツができたりします。慢性化すると皮膚は黒っぽく、分厚くなっていきます。皮脂が過剰に分泌されていると、べたべたしたりかさかさしたりして、独特のにおいがします。

マラセチア感染や細菌感染には、内服薬やシャンプーが有効です。皮膚炎のコントロールが難しいケースでは、アレルギーや脂漏症が根底にあることがあります。アレルギー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎は根治が難しい病気です。食事療法や内服薬、定期的なシャンプーで症状を抑えながらつきあっていかなくてはなりません。特にパグでは、皺の中や皮膚のたるんだ部分をこまめに清拭するなどして、清潔を保ちましょう。

パグについて詳しく知りたい方はこちら
パグの基礎知識まとめ

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