2015年11月17日更新

【獣医師監修】イヌ伝染性肝炎~原因・症状と対策

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犬がかかる伝染病の中でももっとも危険な病気の一つと言われているのがイヌ伝染性肝炎です。イヌ科の動物であれば感染するといわれているイヌ伝染性肝炎は1歳以下の犬では致死率が非常に高いとされていて、子犬のころから狂犬病の予防接種とともにワクチン接種を行うことを日本では推奨しています。発症する年齢で症状も異なるイヌ伝染性肝炎、その危険を知ることは愛犬を守ることにつながります。

 

イヌ伝染性肝炎は犬アデノウィルスが原因

イヌ伝染性肝炎は犬アデノウィルス1型が原因でかかる肝炎の病気です。アデノウィルスという言葉自体あまり聞きなれないですが、アデノウィルスはさまざまな風邪や風邪症候群を引き起こすウィルスだといわれています。アデノウィルスには多くの型があり、人間で感染する型は人に肺炎や咽頭結膜熱、結膜炎、膀胱炎、胃腸炎などを引き起こします。

犬アデノウィルスは感染動物の糞尿や唾液、涙や鼻水などとの接触によって感染してしまいます。このウィルスは世界じゅうに分布していて、さらに生命力、感染力が非常に強く、発病した犬が回復した後もその体内で半年から10か月近くも生存することができてしまいます。

イヌ伝染性肝炎の症状は年齢や発症状況によってさまざま

イヌ伝染性肝炎の症状は一定ではなく、発病する年齢や感染能力の具合、抵抗力などによってバラつきがあります。急性タイプのイヌ伝染性肝炎にかかってしまった場合は発症してから1日もしない間に死亡してしまうケースもあり、早期発見・早期治療が求められる病気です。特に子犬が感染してしまった場合では死亡するケースが高く、他の病気を併発してしまうこともあります。

軽度の症状

高齢の犬や免疫系の正常な成犬では症状がほとんど出ない「不顕性型」と言われる状態のこともあります。軽度の症状で最も多いのは風邪特有の症状です。食欲不振や鼻水、発熱など普通の風邪と変わらない症状が見られ、自然に回復してしまうこともあります。

中度の症状

感染後1週間程度で発熱が始まり、元気がなくなり、嘔吐・下痢などの症状が続くようになります。徐々に肺や肝臓などに異変が生じるようになり、ほかの病気を併発してしまう可能性もあります。

重度の症状

重度の症状では通常の風邪の症状に加え、40℃上の高熱が1週間弱続くようになり腹痛などの症状も現れるようになります。体のあちこちで出血するようになり血便や皮下出血などがみられることもあります。
他の病気を併発する可能性が非常に高くなり、場合によっては死に至ることもあります。重症から回復した場合でも後に脳炎などを起こすことがあり、更にブルーアイと言われる目が青白く濁ってしまうケースがあり、これは悪化すると緑内障や角膜潰瘍に進行することがあります。

 

特効薬はなし?事前にできる対策で愛犬を守る

犬アデノウィルスは非常に強いウィルスで、感染してしまうと有効な特効薬はないといわれています。そのために病院では混合ワクチンの予防接種を薦めており、ワクチン接種が一番効果的な予防策だといわれています。

万が一、愛犬が感染してしまった場合で肝臓などがダメージを負ってしまうと、細胞が再生されるまでの間に他の病気を併発させないように支持療法を行っていきます。点滴や輸血、食事療法などを行い、肺炎や腎炎などを引き起こさないように抗生剤の投与を行うこともあります。

まとめ

風邪のような症状として見落としがちなイヌ感染性肝炎ですが、子犬では致死率が100%に近いほど危険な病気です。そしてウィルスへの感染率も高く、有効な治療法がない犬感染性肝炎では、子犬のうちから動物病院で健康診断を受け、適切なワクチンの接種を行うことが何よりも大事です。愛犬の健康と安全を守ってあげるためにも定期的に獣医師の定期検診を受け、老犬になってもしっかり対策を取るように心がけましょう。

 
 

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