2015年11月28日更新

【獣医師監修】犬の回虫症〜原因・症状と対策

犬の回虫症は、イヌ回虫もしくはイヌ小回虫によって引き起こされる犬の病気です。主に犬に感染して問題となるのは、病原性がより強いイヌ回虫に感染した場合です。また、イヌ回虫は人に感染する危険性もあります。ここでは、犬の回虫症の原因と症状、予防方法などについて紹介します。

犬の回虫症の原因

犬の回虫症は線虫の一種であるイヌ回虫によって引き起こされる病気です。イヌ回虫が寄生した犬の体の中で活発に成長しているときに症状が現れます。健康な成犬の体の中ではイヌ回虫は成長しないため、特に症状は見られません。ただし、子犬や免疫力の低下した犬、妊娠した犬のの体内でイヌ回虫は活発に成長します

経口感染と垂直感染

感染の仕方は主に経口感染です。散歩中に犬が食糞をしてしまった際、その糞の中に回虫の卵が入っていると、そのまま体内に入ってしまいます。その他、すでに母犬が感染していて、胎盤から子犬に移ってしまう垂直感染も犬回虫症の感染ルートです。

イヌ回虫の卵は子犬の便から外に出てくることができますが、成犬の中でイヌ回虫が成長することはありません。母犬の体の中にとどまっていたイヌ回虫、胎盤で移るか、母乳を通して移るか、糞便を通して移るか、あくまでも子犬がターゲットになってしまうのです。

犬の回虫症の症状

犬がイヌ回虫に感染していても、症状が出ないことも多いです。症状が出る時には、すでにかなりの数のイヌ回虫の成虫が寄生してしまっています。子犬、特に生後3ヶ月頃まで、イヌ回虫は小腸に寄生しています。

下痢や嘔吐をして、その中に回虫が出てくることもあります。もちろん、腹痛などを伴うので、元気がなくなり、食欲も落ちてきます。

全身に現れる症状

子犬の場合、回虫がお腹にいることで、発育の遅れや、腹部が異常に膨らんでいるといった症状が出ることもあります。また、毛づやが悪くなったり、貧血を起こすといった症状もあらわれます。

また、肺を回虫が通るため咳が出たり、眼に入ってしまうと、視力が低下するなど、様々な症状があらわれます。アレルギー症状が出ることもあります。

犬の回虫症の対策

犬回虫症の疑いがある場合は、まずは動物病院での検査が必要になります。血液検査や抗体検査の他、X線検査や超音波などを使って細かく検査していきます。肺炎などを起こしている場合は、その症状にあわせた対症療法を行うことになります。

駆虫薬の投与

母犬からの感染の可能性もある犬回虫症は、まずは子犬の頃にしっかりと駆虫しておくことが大切になります。駆虫薬を投与してしばらくしてから検査を行い、再度また駆虫薬を投与します。すでに母子感染がわかっている場合は、生まれた子犬に毎月駆虫薬を投与し、徹底的に駆虫しておくことが大切です。

人間も感染対策

回虫は人間にも感染し、病気を引き起こします。特に子どもには注意が必要です。外で遊んだ後、手を洗わずに食べ物を口にして、卵が体内に入ってしまう可能性もあるのです。発熱や咳などの症状の他、ひどい場合は視力障害、神経障害などを引き起こすこともあります。

まとめ

犬の回虫症は、生まれてすぐの子犬を飼い始めた時、特に注意が必要になります。回虫が成長しているのは子犬の時期だけで、成犬になると、成長しなくなるのです。一方でもし、その犬がそのまま母犬になった時、胎盤を通じて母子感染をしてしまう感染症でもあります。万が一、母子感染をしていると、成長が遅いばかりが、さまざまな症状が出てきます。しかし、検査と駆虫によってしっかりと対処することができる感染症でもあります。

また、イヌ回虫は人間にも感染する可能性があります。回虫が産む莫大な数の卵という危険が身近な公園の砂場などにひそんでいることもあります。イヌ回虫症が人間にも移る感染症であることを知っておくことも大切です。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

足先を過剰に舐めていたら注意! 獣医師に聞く、犬が見せるストレスフルのサイン

ひとり暮らしの人に、自宅で留守番中のペットをチェックするスマホアプリが人気と聞きます。「屋内での終日の留守番のストレスが原因で脱毛や体調不良、自傷行為などを起こし病院に来るケースがあります」……

大切なペットと『ちがう時間の流れ』で生きていることを感じられる定規。

大人になって様々なことが理解できるようになると、一緒に生活しているペットたちが自分と『ちがう時間の流れ』で生きていることが分かります。犬はだいたい15歳、猫はだいたい20歳が寿命だと言われて……

【獣医師監修】犬の動脈管開存症~原因・症状と対策

犬の動脈管開存症は、動脈管という血管が原因で起こる先天性の心疾患です。動脈管は犬が胎児のときに心臓の大動脈と肺動脈をつないでいた血管で、通常は生後しばらくすると閉鎖します。しかし動脈管開存症……

【散歩に行く?行かない?】雨の日は愛犬とどう過ごしている?飼い主さんに聞いてみました!

もうすぐ雨の季節。散歩を習慣にしている犬も、天気によって行動が左右されてしまいます。雨の日に散歩に行くのはつらいけど、運動不足になったりストレスがたまってしまうのはどうにかしたいと思う飼い主……

【トラブルと対処方法】外出、外泊でおきた体験談。

だんだん暖かくなってきて、ペットと一緒のおでかけをする方も増えてくる季節です。今回は外出、外泊でおこったトラブルの体験談を集めてみました。獣医師さんのコメント付きなので、外出・外泊を計画中の……