2015年11月28日更新

【獣医師監修】犬の溶血性貧血〜原因・症状と対策

犬の体に酸素を送る役割をしている赤血球が破壊されてしまうと、酸素が体に行き渡らず、様々な症状が現れます。予防と早期発見が大切な溶血性貧血ですが、そのまま放置しておくと、酸素不足によって死亡率も高くなります。様々な原因で起る溶血性貧血の症状を把握し、愛犬の異変に気づいたら早めに獣医師に相談しましょう。

犬の溶血性貧血の原因

犬の全身に流れる血液の中で、酸素を送る大切な役割をしているのが、赤血球です。しかし、この赤血球がなんらかの原因で破壊されてしまうことを溶血と言います。

この溶血によって酸素の運び手である赤血球が不足してしまう病気を溶血性貧血と呼びます。

犬の自己免疫性溶血性貧血

犬の溶血性貧血の原因はいくつかありますが、自己免疫性溶血性貧血というものがあります。

これは白血球が自分の赤血球を攻撃してしまうことで起ります。もともと、この、自己免疫性溶血性貧血を遺伝的に起こしやすい犬種はすでにわかっており、アイリッシュセッター、コリーなど、いくつかの犬種があげられます。

様々な原因で起る溶血性貧血

その他、タマネギなどに含まれる成分によって起る溶血性貧血や、犬レプトスピラ症などの感染症、なんらかの外傷によって溶血性貧血を起こす場合もあります。

犬の溶血性貧血の症状

犬の溶血性貧血の症状は、比較的軽い時は、元気や食欲が無いというくらいです。いつもは散歩や遊びが大好きだった犬でも、運動すること自体を嫌がるようになってしまうことがあります。

徐々に症状が悪化していくと、黄疸が出るようになったり、口の中を見て、歯茎が白くなるなど様々な症状が現れます。

重度の症状が出る場合

赤血球は、本来は全身に酸素を送りだす役割をしています。しかし、その酸素が体に行き渡らない状態になってしまう為、呼吸が荒くなったり、心拍数が上がったりします。さらには、肝臓、腎臓、脾臓、リンパなど全身の機能が低下し、心不全を起こすこともあります。

タマネギや薬品、ヘビの毒など、なんらかの理由で溶血性貧血が急激に起った場合は、特にその症状の進行も早い為、すぐに動物病院で診てもらう必要があります。

犬の溶血性貧血の対策

貧血になった場合、安静にした状態で内科治療を行います。また、その原因が異物や薬品などわかっている場合はそれを取り除く治療や、場合によっては輸血や外科手術などが行われます。いずれにしても命に関わるため、体の酸素飽和状態を、動物病院でチェックしながらの治療になります。

日常生活での注意

犬の自己免疫性溶血性貧血の場合、放っておくと原因がわからないまま進行していき、気づいた時には数週間で亡くなってしまうというようなケースもあります。普段から犬の健康状態をチェックし、定期的に健康診断を受けるなどして予防に努めることが大切です。

ネギ類による中毒やなんからの薬物によって起る溶血性貧血を防ぐ為には、誤飲誤食をさせないように普段から気をつけましょう。直接、ネギ類を口にしなくても、ネギの入った味噌汁やにんにくやしょうがなどで起きてしまうこともありますので、十分注意が必要です。

まとめ

犬の溶血性貧血は、初期の段階では症状も軽く、気づくことが遅れてしまいがちです。しかしながらそのままにしておくとどんどん進行し、ある日重篤な全身症状が現れます。これは酸素が体の中に足りていないために起こる状態で、非常に危険なものです。

遺伝性のものもあることから、定期的な健康診断を行うこと、その上でなんらかの異変を感じたら早めに獣医師に相談するようにしましょう。また、誤飲誤食の中毒によって溶血性貧血が起らないよう、犬が食べてはいけない物や危険な物の管理には十分注意しましょう。

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