2015年12月1日更新

【獣医師監修】犬の白血病~原因・症状と対策

白血病は血液のがんです。異常な血液細胞が骨髄でどんどん増殖し、正常な血液細胞が減少します。そのため、貧血などの症状が起き、最悪の場合、死に至ることも珍しくありません。

白血病は、急性か慢性か、さらに原因となる細胞によって様々な種類に分けられます。症状や治療したあとの余命も異なるため、発症した白血病の種類を見極めることが大切です。

犬の白血病について詳しく見ていきましょう。

白血病の原因

犬の白血病は、血液細胞ががん化することで起こります。ただ、がん化の原因は不明です。

血液は、血液のもとである造血幹細胞が赤血球、白血球、血小板といった血液細胞に分化することで作られます。白血病になると、その分化の途中で細胞ががん化し、骨髄内でどんどん増殖していきます。がん化した細胞が増殖するにつれて、正常な血液細胞が減っていき、種々の症状を引き起こします。

白血病はがん化した血液細胞が、成熟した白血球に分化する前の未熟な細胞(芽球、幼若細胞)の姿に似ているか、分化した後の成熟細胞に姿が近いかによって「急性」と「慢性」に分けられます。芽球に近い場合は急性、成熟細胞に近い場合は慢性になります。

さらにがん化した血液細胞の種類によって、細かく分類されています。急性と慢性に分けて詳しく説明します。

急性白血病について

血液細胞が分化する途中でがん化した芽球が骨髄内で増殖します。そのため、正常な血液細胞が作られる余地がなくなり、減っていきます。

急性白血病は、分化しようとしている細胞の種類や過程によって、以下のように分類されています。

  • 急性骨髄芽球性白血病
  • 急性前骨髄球性白血病
  • 急性骨髄単球性白血病
  • 急性単球性白血病
  • 急性赤白血病
  • 急性巨核芽球性白血病
  • 急性リンパ芽球性白血病、など

単球は白血球の一種です。また、急性赤白血病は赤血球、急性巨核芽球性白血病は血小板、急性リンパ芽球性白血病はリンパ球にそれぞれなろうとしていた細胞ががん化し、異常に増殖してしまっている状態です。

慢性白血病について

慢性白血病は、大きく以下のように分類されます。

  • 慢性骨髄性白血病
  • 慢性リンパ性白血病

慢性骨髄性白血病では、血液細胞に分化する初期段階でがん化するものの、分化する能力自体は失っておらず、正常な血液細胞と同じように分化します。ただ、がん化しているので、正常な血液細胞のように数量が制限されず、無制限に増えていきます。

がん化したあとに分化した異常な細胞も、本来その細胞が持つべき機能を備えているので、慢性白血病を発症した当初はほとんど症状が出ません(慢性期)。年月を経て少しずつ悪化し、芽球が増え始め(移行期)、さらに悪化すると、急性白血病と同じように骨髄は芽球でいっぱいになり、正常な血液細胞が減っていきます(急性転化期)。

一方、慢性リンパ性白血病では、成熟したあとのリンパ球ががん化します。がん化したリンパ球は骨髄や血液で増殖し、さらにリンパ節、肝臓、脾臓にも広がっていきます。臓器は腫れ、正常な血液細胞は減ります。ただし進行は非常に緩やかです。

白血病の症状

症状は急性と慢性の場合とで異なります。それぞれ見ていきましょう。

急性白血病の症状

がん化した細胞の増殖により、正常な血液細胞が減るため、以下の症状が現れます。

  • 白血球減少…発熱、免疫力の低下
  • 赤血球減少…元気消失、食欲低下、舌や歯ぐきなどの粘膜が白っぽくなる(貧血の症状)
  • 血小板減少…出血傾向

血小板減少による出血傾向とは、物に少しぶつかった程度の衝撃でも内出血が起きやすくなったり、体に点状の出血ができたりすること。また、血が止まりにくくなります。

その他、肝臓や脾臓が腫れる、歩き方がおかしくなるといった症状も見られます。

慢性白血病の症状

慢性期では、症状はほとんど現れません。症状が出ても、食欲低下、元気消失、体重減少、嘔吐、下痢、リンパ節の腫れ、微熱など、他の病気と区別がつかないものばかりです。

ただ、病気が進行すると、骨髄で正常な血液細胞が作られなくなることで、急性白血病と同じ症状が見られるようになります。

白血病の対策

白血病の治療には、抗がん剤を用いての化学療法を行います。急性か慢性か、白血病のタイプに応じて、抗がん剤を単体、もしくは組み合わせて使います。ステロイド剤を併用することもあります。

ただ、急性白血病の種類によっては抗がん剤が効きづらい場合もあり、ステロイド剤を用いた緩和治療や、輸血などによる支持療法を行う場合もあります。

白血病は、がん化する原因が明らかでないため、予防することができません。悪化を防ぐためにも、気になる症状が現れたら一刻も早く動物病院に行きましょう。慢性白血病の場合は、症状が出ないうちに治療を開始できれば、病気をコントロールできる可能性もあります。

早期発見・早期治療で、余命を一日でも長く

急性白血病は、治療しても数ヶ月で死亡する可能性が高い病気です。慢性白血病は治療に成功すれば数年生きられますが、急性転化期にまで症状が進むと余命は短くなります。

急性も慢性も、目に見える症状が現れたときにはすでにかなり症状が進行しています。動物病院で定期的に血液検査を行うと、血球数の異常が分かりやすく、早期発見・早期治療につながります。

血液検査が難しい場合は、飼い主の目だけが頼りです。犬の貧血症状や出血傾向といった白血病の症状を見逃さないように気をつけましょう。

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