2017年3月18日更新

ゴールデン・レトリーバーの病気〜獣医師が解説するゴールデン・レトリーバーのかかりやすい病気〜

力強くたくましい体つきに、ふさふさとして美しい被毛のゴールデンレトリバー。好奇心いっぱいで活動的、また、強い服従心も持っているゴールデンレトリバーは家族の一員として暮らすパートナー犬として大人気です。ゴールデンレトリバーには大型犬によく見られる股関節の病気をはじめとして、いくつか気をつけておきたい病気があるので紹介します。

ゴールデンレトリバーの消化器の病気

胃拡張胃捻転症候群

胃拡張胃捻転症状群はゴールデンレトリバーに限らず、胸の深い大型犬で多く見られる命に関わる病気です。食事をガツガツと食べたあとで運動すると発症しやすいと言われています。胃が貯まったガスで拡張し、やがて胃がねじれてしまいます。胃がねじれることで、胃内のガスが排出されず、ガスはさらに貯まります。やがて拡張した胃が周囲の血管を圧迫するなどして、全身の循環不全に陥ります。さらに、ねじれた胃では壊死が進みます。この病気は、すぐに処置をしなければ死亡してしまいます。

胃拡張胃捻転症候群を起こすと、急激に腹部がふくらみます。また、吐こうとするものの、何も吐けず、多量のよだれが出ます。その後、状態は悪化してショック状態となります。

すぐに応急処置を行ないます。口から胃内にカテーテルを挿入してガスを排泄させます。緊急的に、ガスを抜く為の針を体表面から胃に向かって挿入することもあります。胃のねじれのためカテーテルが挿入できなければ、緊急開腹手術を行ないます。手術では、胃内のガスを抜き、ねじれた胃を整復し、胃洗浄、ねじれの再発を防ぐための固定を行ないます。術後も集中的な治療が必要です。

ゴールデンレトリバーの内分泌の病気

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンが十分に分泌されなくなる病気です。ほとんどの場合、免疫異常で甲状腺が変性することで起こると考えられていますが、詳細は不明です。遺伝的な要因もあるようです。

甲状腺ホルモンは、様々な部位で働いているため、甲状腺機能低下症では色々な症状が見られます。なんとなく元気がない、覇気がない、震えている、といった症状のほか、脱毛、皮膚の黒ずみなどが起こります。また、ほとんどの場合で食欲旺盛になります。

治療としては、合成甲状腺ホルモン製剤を投与して甲状腺ホルモンを補います。変性した甲状腺の回復は困難です。そのため、生涯にわたって投薬を継続しなくてはならないでしょう。

ゴールデンレトリバーの骨と関節の病気

股関節形成不全

股関節形成不全は先天的に股関節が不安定で、亜脱臼を起こしている病気です。成長するにつれて病気は進行します。また、不安定な股関節では、関節炎が起きます。股関節形成不全の発症には遺伝が関与しています。

股関節形成不全の症状としては、後ろ足がうまく使えずに跳んで歩いたり、腰を振って歩いたりします。また、おすわりがうまくできない、運動や段差を嫌うといった症状も見られます。これらは、成長期に始まり、多くの場合で成長後に症状が軽快します。しかし、股関節の関節炎は進行するため、後に症状が再発します。

軽症であれば、体重管理やリハビリテーションに加えて、鎮痛剤やサプリメントを用いて股関節形成不全とつきあっていきます。滑りにくい床材を使うなどの生活環境の改善も効果的です。一方で、外科手術が必要な場合もあります。股関節形成不全の手術にはいくつかの方法があり、年齢や体格、股関節の状況などを考慮して手術方法を選択します。

肘関節形成不全

肘関節形成不全は、肘関節を構成する骨や靭帯などの先天的な異常によって、肘関節が安定せず、痛みや歩行異常が生じる病気です。この病気の発症には遺伝が関与しています。また、股関節形成不全と併発して起こることがよくあります。

5〜9ヶ月の成長期に歩き方の異常が見られます。前足を使わなかったり、着地してもあまり体重をかけなかったりします。重症の場合には、頭を上下に動かすような特徴的な歩き方をします。成長すると症状が軽くなることもありますが、加齢に伴い不安定な肘関節での炎症が進み、再び歩行異常が見られるようになります。

肘関節形成不全を発症した場合、できるだけ早期に手術を行なうことが勧められています。成長期であっても、すでに病気が進行していると、手術を行なってもあまり効果がないといわれています。手術が適応できない場合には、鎮痛剤やサプリメントを用いたり、体重管理を行ったりしながら病気とつきあっていきます。

ゴールデンレトリバーの腫瘍性疾患

骨肉腫

骨の 腫瘍のほとんどを占める悪性腫瘍です。多くの場合、骨肉腫は中齢から高齢の大型犬の足に発生します。非常に悪性度が高く、転移する確率の高い腫瘍です。

四肢に骨肉腫を発症したゴールデンレトリバーは、腫瘍のできた足を引きずって歩くほか、痛みや腫れが見られ、病気の進行に伴って急速に症状も悪化します。

骨肉腫のできた場所にもよりますが、四肢にできた場合には、断脚手術が必要です。これは、再発を防ぎ、痛みを和らげるために行います。残念ながら、転移率の非常に高い腫瘍のため、手術を行なっても根治は困難です。さらに抗癌剤を用いることで、延命できる可能性がありますが、最終的には死亡してしまいます。

悪性リンパ腫

犬の造血器腫瘍の中で最も多い腫瘍で、リンパ節、肝臓や脾臓などの臓器を原発とする腫瘍です。悪性リンパ腫のできる場所によっていくつかのタイプがありますが、体表のリンパ節が腫大する多中心型リンパ腫が最も多いタイプです。病気が進行すると、肝臓や脾臓、骨髄へと腫瘍が浸潤します。

悪性リンパ腫を発症しても、初期には体表のリンパ節が腫れるのみで特に症状が見られないこともあります。病気が進行すると、元気消失や食欲低下、体重減少などが起こります。

治療をしなければ、多くの場合、数週間程度で死亡してしまいます。悪性リンパ腫は抗がん剤によく反応することが多いため、複数の抗がん剤を組み合わせて治療することで腫瘍が小さくなることが期待できます。さらに、化学療法に良好に反応している期間は、これまでの生活の質を維持できる可能性があります。しかし、ほとんどの症例で悪性リンパ腫は再発し、最終的には死亡してしまいます。

ゴールデン・レトリーバーについて詳しく知りたい方はこちら
【ペットシッターが解説】ゴールデンレトリバーとの暮らしで注意すること

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