2016年6月2日更新

【獣医師監修】犬の内耳炎〜原因・症状と対策

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犬の耳の病気で飼い主が気づきにくいものの一つに内耳炎があります。愛犬が内耳炎にかかってもその症状を見ただけで耳の病気だと気づくことは難しく、飼い主が異変を感じたときにはすでに状態が悪い場合がほとんどです。

さまざまな感染症が原因となって発症することもある内耳炎について正しい知識を持つことで愛犬を守ってあげましょう。

 

内耳炎になってしまう原因

耳の中でも一番奥にある構造を内耳と言います。

内耳は音を聞き分ける「蝸牛」という器官と、バランスをつかさどる「三半規管」という器官から構成されています。このどちらかの器官、もしくは両方の器官に炎症が起きている状態を内耳炎と呼びます。

外耳炎・中耳炎からの波及によるもの

内耳炎にいきなりなるのではなく、内耳よりも外側の構造である外耳や中耳が炎症を起こしてしまい、素の炎症が内耳にまで炎症が波及することがあります。

外耳炎から徐々に広がって炎症を起こしていく場合、早い段階で気づくことができるので内耳炎になる前に治療を行うことが可能です。

感染症によるもの

何らかの感染症を発症しているとき、感染しているウィルスや細菌、真菌が血液に乗って内耳にたどり着き炎症を起こしてしまうことがあります。この場合内耳が直接炎症を起こしているので飼い主が気付きにくく、状態を悪化させてしまうことがよくあります。

腫瘍によるもの

内耳そのものに腫瘍やポリープなどができることで、内耳が炎症を起こすことがあります。

歯の病気によるもの

中高齢の犬や慢性的に内耳炎を起こす犬の場合、歯の疾患が内耳炎の原因となっていることがあります。

気づきにくい内耳炎の症状とは?

内耳炎の症状は一見するとそれが耳の病気だとわからないような症状が多く、飼い主の多くが誤った判断を下してしまい、状態が悪化してしまうことがほとんどです。

内耳炎では音をつかさどる「蝸牛」やバランス感覚をつかさどる「三半規管」が炎症を起こしているので、耳が遠くなったりバランス感覚が悪くなったりといった、それぞれの器官にまつわる症状が起こりやすくなります。

蝸牛に炎症が生じている場合、耳が遠くなり、呼びかけに対する反応が悪くなることがあります。特にバランス感覚をつかさどる三半規管が炎症を起こしている場合、まっすぐ歩けなくなったり、立つことができなくなったりし、耳の悪い方向へ頭を傾けたり、同じところでクルクル回転したりすることもあります。

常に目が回っているような状態が続き、吐き気や嘔吐、食欲不振などの症状を訴える犬もいます。さらに状態が悪化してくると顔面麻痺やホルモン異常をきたすこともあり、聴神経に異常が出て難聴になってしまうこともあります。

 

愛犬が内耳炎になってしまったら?

愛犬が内耳炎になってしまった場合、まずは何が原因かを突き止めることが優先されます。内耳炎の原因に合わせて治療を行っていき、同時に炎症を抑える抗炎症剤などの投与を行っていきます。

また感染症やウィルスが原因の場合では抗菌薬や抗生物質の投与なども行います。腫瘍やポリープが確認された場合には外科手術を行うこともあります。内耳炎の原因や状態によっては治療が長期化してしまうものもあり、愛犬の体力を奪ってしまうこともよくあります。

耳の事故やけがに気を付け、外耳炎から波及的に内耳炎を引き起こさせないように心掛けたり、衛生環境を整えたりすることが内耳炎の予防に何より大事になります。愛犬の健康チェック時に耳の中もチェックするようにし、耳を傷つけないお手入れを普段から行うことも内耳炎の予防につながります。耳のお手入れ方法については獣医師が詳しく教えてくれるので、レクチャーを受けるのもいいかもしれません。

まとめ

なかなか飼い主が気付きにくい内耳炎ですが、普段から愛犬の耳チェックを行っていればその異変にも気づきやすくなります。また名前を呼んでも反応が鈍くなったり、ふらつきがみられたりした場合は、高齢だからと考えるのではなく、定期的に獣医師に相談するのも病気の早期発見につながります。きちんとケアをすれば治る病気なので、悪化させないように普段から愛犬の様子をよく観察するようにしましょう。

 
 

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