2016年6月3日更新

【獣医師監修】犬の鼻腔狭窄〜原因・症状と対策

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犬が呼吸をしづらくなる鼻腔狭窄という病気をご存知でしょうか。

鼻腔狭窄は読んで字のごとく、鼻の穴が狭く潰れてしまっているような状態で、特に短頭犬種と言われる頭の短いブルドッグやボストンテリア、パグ、シーズー、チン、ボクサーなどがに起こりやすい病気です。

鼻の穴が狭くなってしまうと人間でもそうですが、必然的に呼吸しづらくなったりしますよね。さまざまな症状をもたらす鼻腔狭窄について詳しく見ていきましょう。

 

犬の鼻腔狭窄の原因について

犬の鼻腔狭窄は短頭犬種特有の病気と思われがちです。しかし鼻腔狭窄は短頭犬種以外でも起こりうるものなので、注意が必要です。。

先天性によるもの

犬種や生まれつきの奇形で鼻の穴がつぶれてしまい鼻腔狭窄を起こすことがあります。特にマズルが短い短頭犬種は急激な品種改良によって作られてきたせいもあり、骨が短いのに皮膚の量は変わらないといった構造になっているため鼻の穴が狭く生まれてきやすくなっています。

物理的要因によるもの

基本的には先天性の病気だと言われていますが、ごくまれに物理的要因によって鼻の中の粘膜が炎症を起こし腫れて鼻の穴が狭くなることがあります。

具体的には感染症や刺激臭、事故、ケガ、犬同士のケンカなどで鼻が傷ついてしまうようなことです。

鼻腔狭窄にかかった時の症状とは?

鼻腔狭窄になるとさまざまな症状が見られるようになります。特に短頭犬種に多い症状ということもあり、短頭種気道症候群と呼ばれることもあります。

鼻をグーグーと鳴らして呼吸をしたり、鼻水をよく飛ばしたり、鼻での呼吸が行いにくくなるため口を開けてハァーハァーと呼吸をしたりする症状が最も多く見られる症状です。少しの運動でも酸欠になりやすく、激しい運動をしたときなどは舌などの粘膜が紫になるチアノーゼが見られることもあり、非常に危険な状態に陥ることもあります。

また犬の場合体温調節を鼻や口から空気を出し入れすることによって行っているため、鼻腔狭窄の犬は体温調整が行いにくく熱中症にかかりやすい特徴があります。そのため短頭犬種の多くが夏場の犬の飛行機搭乗を拒否されてしまいます。

普通に生活している分にはそれほど深刻な症状もなく、短頭犬種特有の鼻ならしや鼻水飛ばしだと可愛がられることもありますが、飼育環境や愛犬の健康状態が悪化したときには鼻腔狭窄があだとなって愛犬の命を危険にさらしてしまうこともしばしばあります。

 

鼻腔狭窄の治療法と対策について

鼻腔狭窄の治療方法としては外科手術が最も一般的に行われる方法になります。しかし、多くの飼い主が鼻腔狭窄と知っていて短頭犬種を飼うこともあり、よほど酷い状態以外では少々鼻の穴が狭くなっていても治療を行わない傾向にあります。

外科的治療方法

症状が重篤で、呼吸困難が明らかな場合やチアノーゼ反応がひどい場合にはある程度鼻腔を広げて呼吸をできるようにしてあげる手術が必要になります。

外鼻孔を広げる手術の場合、鼻の軟骨と周辺の皮膚を切除して強引に鼻の穴を広げる手術を行います。鼻の入り口ではなく鼻の内部の器官がつぶれていて鼻腔狭窄を招いている場合は器官を切開する手術を行います。

物理的要因の治療方法

鼻腔狭窄の原因が先天性のものではなく、事故やケガなどの物理的要因によるものの場合は鼻の穴をつぶしてしまっている原因を取り除く治療が施されます。内出血や腫れ、感染症などによって鼻腔が狭くなっている場合は抗生剤の投与や抗炎症剤で治る場合もあります。

保存療法

鼻腔狭窄の症状が軽い場合で、日常生活にそれほど支障をきたさない場合には飼い主がある程度日常生活の中で気を付けてあげることで症状の悪化を防ぐことができます。

鼻腔狭窄を患っている犬は普段から呼吸が得意ではなく、体温調節が上手ではありません。熱中症などに極端にかかりやすいので春から秋にかけては日中の散歩を避けたり、こまめに水分補給をさせてあげたりすることが非常に大事です。また鼻腔狭窄の犬で肥満になると呼吸障害を患う危険もあるので、食事にも気をつけてあげましょう。

まとめ

鼻腔狭窄は短頭犬種では良くみられ、チャームポイントだと思われがちですが、犬たちにとっては命を危険にさらすこともある危険な病気でもあります。

確かに鼻ぺちゃの愛くるしい姿はかわいいものですが、だからと言って飼い主が正しい飼育方法を知らずに愛犬を危険にさらしていいわけではありません。鼻腔狭窄というものに対して正しい知識を身に着け、愛犬のちょっとした変化にすぐに気づき、きちんとした対応をとれるように普段から心がけましょう。

 
 

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