2016年1月5日更新

【獣医師監修】犬の寄生虫のマイナー種~原因・症状と対策

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犬に感染する寄生虫は寄生する場所によって、体内に寄生する内部寄生虫、皮膚など体の外に寄生する外部寄生虫の大きく二つに分けられます。また、寄生虫は生物学的分類上、原虫、条虫、吸虫など多くの種類に分けられます。

今回はそのうち、フィラリアやマダニ、ノミのようにポピュラーではない、比較的マイナーな犬の寄生虫を四種類取り上げます。それぞれの感染源、感染経路も記載していますので、愛犬が寄生虫の脅威にさらされないよう、参考にしてください。

 

原因

単包条虫

単包条虫は平べったい体をしている条虫の一種です。体は片節というパーツが複数つながってできており、成虫の体長は2~10mm前後です。犬は終宿主(寄生虫が成虫となり、虫卵を排泄するために必要な生物)の一種で、単包条虫の幼虫が寄生しているヒツジやブタといった中間宿主(幼虫時などに一時的に寄生する生物)の生肉を食べることで感染します。

単包条虫に寄生されるとエキノコックス症を発症します。ただ、日本でエキノコックス症を起こす原因として問題視されているのは多包条虫のほうで、単包条虫によるエキノコックス症はほとんどありません。しかし、単包条虫は海外諸国に広く分布しているため、油断はできません。

単包条虫は犬の小腸に寄生して成虫となり、卵を産み始めます。虫卵は犬の便と混ざって排泄され、土や水、食べ物を汚染します。そしてヒツジなどが汚染された場所で単包条虫の虫卵を摂取し、感染が繰り返されていきます。

リーシュマニア

リーシュマニアは鞭毛のある原虫の一種で、犬がサシチョウバエのメスに吸血されたときに感染します。リーシュマニアが感染する対象は哺乳類全般に及び、寄生されるとリーシュマニア症を発症します。

リーシュマニアは犬の体内に侵入すると、マクロファージという白血球の一種に取りつきます。その後アマスチゴートと呼ばれる、直径2.5~5㎛ほどで鞭毛がない状態に変態して増殖を開始し、種々の症状を引き起こします。

サシチョウバエがリーシュマニアに寄生された犬を吸血し、さらにそのサシチョウバエが他の動物を吸血することで、感染が広がっていきます。日本にはリーシュマニアを媒介するサシチョウバエがいないため、今のところ流行する危険性はありません。ただし、犬と一緒に海外旅行したときに感染する可能性もあるため、そういった予定のある飼い主は注意が必要です。

クリプトスポリジウム

クリプトスポリジウムは原虫の一種です。直径5㎛前後で、楕円形の体をしています。この原虫のオーシスト(原虫が耐久性の高い袋のようなものに入った状態)で汚染された水や食べ物、便から直接感染します。クリプトスポリジウムは犬をはじめ、哺乳類、爬虫類、鳥類など幅広く感染し、寄生されるとクリプトスポリジウム症を発症します。

体内に侵入したクリプトスポリジウムは、オーシストから出て犬の小腸粘膜の微絨毛の中で増殖を繰り返し、やがて新たにオーシストを作ります。そのオーシストが便に混ざって排泄され、外界を汚染します。

肝吸虫

肝吸虫は吸虫の一種です。成虫は細長い葉のような形をしており、体長は10~20㎜ほどです。肝吸虫の幼虫が寄生している淡水魚を生で食べることで感染します。肝吸虫に寄生されると、肝吸虫症を発症します。

肝吸虫は二種類の中間宿主を経て、終宿主の一種である犬の体内で成虫になります。まず肝吸虫は虫卵を食べたマメタニシに寄生して成長し、幼虫になります。その後、肝吸虫の幼虫はマメタニシから離れ、泳いで淡水魚に寄生し、その魚を食べた犬の胆管に寄生して成虫になります。肝吸虫はやがて卵を産み、それが犬の便に混ざって排泄されるようになります。

症状

単包条虫

無症状のことが多く、症状が出ても軽い下痢程度で済むことがほとんどです。

リーシュマニア

リーシュマニア症を発症すると、次のような症状が見られます。

  • 皮膚の病変(患部の毛が抜けたり、皮膚がただれたりする)
  • 体重減少
  • リンパ節が腫れる
  • 歩き方がおかしくなる
  • 鼻出血
  • ブドウ膜炎など目の病気
  • 貧血
  • 多飲多尿
  • 嘔吐
  • 下痢

また、腎不全を起こすこともあります。症状が進むと死に至ることも珍しくない病気です。

クリプトスポリジウム

無症状のことが多いですが、下痢が続くこともあります。

肝吸虫

寄生する肝吸虫の数が少なければ症状は現れません。寄生数が多くなると、下痢や食欲不振、貧血、黄疸などが見られるようになります。また、寄生している胆管に炎症が起き、慢性胆管炎を起こすこともあります。

 

対策

単包条虫

成虫に対しては駆虫薬が有効です。同時に犬の周りから虫卵を一掃する必要があります。便には虫卵が混ざっているため、注意して処分しましょう。虫卵は熱と乾燥に弱いので、できる範囲で犬の寝具や行動範囲を熱湯消毒してください。掃除や洗濯も有効です。

単包条虫は生肉から感染するため、犬に肉を与える場合は加熱してからにしましょう。また、駆虫薬を予防的に利用することもできます。単包条虫が流行している地域に渡航する場合は、念のため犬に投薬しておくと安心です。

また、単包条虫は感染している犬との接触によって人にも感染します。人は犬とは異なり単包条虫の中間宿主なので、消化管ではなく肝臓などの組織内に寄生し、重篤な症状を引き起こします。そのため、感染している可能性のある動物との度を過ぎた接触(食べ物の口移しなど)は避け、万が一接触した際には手洗いなどを徹底するようにしましょう。

リーシュマニア

人用の抗リーシュマニア薬や尿酸降下薬を投与しますが、あまり効果が出ない場合もあります。

犬用のリーシュマニア対策のワクチンはありません。そのため、忌避剤を活用するなどして、サシチョウバエに刺されないようにすることが最大の予防になります。

また、犬と一緒に海外旅行に出かける際は、渡航先で流行している感染症を調べて、事前に対策を立てておくようにしましょう。

クリプトスポリジウム

対症療法を中心に行います。抗生物質や整腸剤を投与したり、下痢の状態に合わせて輸液療法を行ったりします。感染した犬の便にはオーシストが含まれているため、周囲を汚染しないよう注意して処分しましょう。オーシストは70℃以上の熱を加えると死滅するため、単包条虫と同様、犬の寝具や行動範囲を熱湯消毒します。

クリプトスポリジウムの感染を防ぐために、川の水など、オーシストが潜んでいるかもしれない生水を不用意に飲ませないようにしましょう。また、火の入っていない生野菜も感染源になり得ます。

また、クリプトスポリジウムは犬から人間にも感染します。犬の便から人に感染することもあるため、虫卵やオーシストが含まれた便を処分するときは、ゴム手袋をするなどして手につかないように気をつけてください

肝吸虫

駆虫薬を投与します。便とともに肝吸虫の卵が排泄されていますが、水中にいる二種類の中間宿主を経なければ犬への感染力を持たないため、それほど神経質になる必要はありません。ただ、念のため、便が外界(特に水中)に漏れ出さないよう気をつけて処分してください。

肝吸虫への感染を防ぐためにも、散歩時はもちろん、普段から犬が生の淡水魚を食べないように注意しましょう。また、刺身から感染することもあります。犬への刺身のおすそわけは控えたほうが無難です。

まとめ

いかがでしたか?あまり聞きなれない寄生虫が多かったかもしれませんが、いずれも犬や人に感染すると重篤な症状を引き起こすため、これらの寄生虫が存在するところに愛犬を連れて行く際は注意が必要です。特に単包条虫やクリプトスポリジウムは飼い主さんが判断を誤った場合、犬から人へと感染を広げてしまう危険性があります。もしこれらの寄生虫に犬が感染してしまった場合は、それぞれの寄生虫症の特徴をきちんと理解して、正しい対処を出来るようにするといいでしょう。

 
 

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