2016年3月10日更新

【獣医師監修】猫のバベシア症~原因・症状と対策

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バベシア症とは、バベシアという原虫が動物の赤血球に寄生し、破壊するなどして溶血性貧血を引き起こす病気です。重篤な症状が現れると死亡することもあります。バベシアはマダニによって媒介されたり、胎盤感染したりする可能性があるため、猫が家と外とを行き来している場合は注意が必要です。

ただし日本では、犬のバベシア症はメジャーな病気ですが、猫での発症は極めて稀です。

 

原因

バベシアという住血原虫による寄生虫症です。バベシアには、バベシアが寄生しているマダニに吸血されたときや、母猫からの胎盤感染、輸血などによって感染します。猫の体内に侵入したバベシアは赤血球に寄生し、赤血球内で分裂して増殖します。そして寄生していた赤血球から脱出して他の赤血球に移り、増殖を繰り返していきます。

バベシア症を発症すると、赤血球や血小板が減少し、ビリルビン濃度が高くなることで、種々の症状が引き起こされます。どのようなメカニズムなのか、詳しく見ていきましょう。

バベシア症のメカニズム(1)―赤血球の減少

バベシア症を発症すると、赤血球が大量に壊れます。バベシアが脱出するときに赤血球が壊れたり、免疫細胞の一種であるマクロファージが、バベシアに寄生された赤血球はもちろん、正常な赤血球までも外敵とみなして攻撃したりすることが原因です。赤血球は全身に酸素を運ぶ役割があるため、大量に破壊されると貧血になって食欲や元気がなくなります。

バベシア症のメカニズム(2)―血小板の減少

また、バベシア症には脾臓が深くかかわっています。脾臓は、古い赤血球や異常のある赤血球を壊して再利用のため処理したり、赤血球や止血作用のある血小板を貯蔵したりする役割があります。バベシア症になると、バベシアに寄生された赤血球が集中するため、脾臓が肥大化します(脾腫)。脾臓が大きくなり容量が増えた分、正常な血小板が通常より多く取り込まれ、結果として血液中の血小板が減少します。

バベシア症のメカニズム(3)―ビリルビン濃度の増加

バベシアの影響は肝臓にも及びます。赤血球が破壊されると、赤血球を構成する要素の一つであるヘモグロビンが代謝されてビリルビンができます。ビリルビンは胆汁の色素成分であり、肝臓へ流れ込みます。

バベシア症では大量の赤血球が壊されるため、ビリルビンの量も増えます。すると肝臓での処理が間に合わず、血液中のビリルビン濃度が高くなって黄疸がでます。また、尿にもビリルビンが排出され、血尿のように濃い色の尿が出ます。

このように、バベシアが赤血球を破壊することによって連鎖的に異常が生じます。免疫力の弱い子猫や老猫の場合、症状がひどいと死亡することもあります。

なお、バベシアの感染の有無は、顕微鏡で血液を調べるほか、遺伝子検査(PCR法)によって診断できます。

症状

バベシア症は、症状の現れ方によって、甚急性、急性、慢性、無症状キャリアに分けられます。それぞれ見ていきましょう。

甚急性

貧血がひどく、低体温、衰弱、ショック状態、昏睡状態に陥るなど、重篤な症状が現れます。さらに血液が凝固して多臓器が障害されるDIC(播種性血管内凝固症候群)や、急性腎不全、代謝性アシドーシスを併発することもあります。

急性

急性では、以下のような症状が現れます。

  • 発熱
  • 貧血
  • 食欲不振
  • 元気がなくなる
  • 嘔吐
  • 頻脈
  • 血尿のように濃い色の尿をする
  • 黄疸
  • 出血傾向

貧血になると、粘膜が白っぽくなったり、元気がなくなったりします。

また、動物病院で検査をすると、脾腫や肝腫、血小板の減少も判明します。血小板が減少すると、皮膚に青タンのような内出血や点状出血が現れ、血が止まりにくくなるといった出血傾向が見られます。

慢性

症状はほとんど現れませんが、慢性的にバベシアに感染している状態なので、免疫力の低下とともに、貧血、食欲不振、体重減少、脾腫などが見られることがあります。ただ、いずれも軽症です。

無症状キャリア

バベシア症の症状が一旦なくなった状態です。ただし、治療してもバベシアは根治できず、猫の体内に潜伏し続けるため、免疫力の低下や病気などをきっかけに再発することもあります。

 

対策

バベシア症の治療には、抗バベシア薬や抗生物質の投与を行います。また、症状に合わせて輸血や輸液といった支持療法も行います。

猫に感染するバベシアは海外に分布しており、日本にはいません。そのため、感染・発症する可能性は低いといえますが、予防意識を持っておくことは大切です。バベシアを媒介するマダニは他の感染症も媒介します。マダニは草むらなどに潜伏していることが多いため、家と外とを行き来する猫の場合、首筋に垂らすスポットオンタイプの駆除薬を定期的に投与するなど、予防策を講じておくと安心です。

ただ、感染経路の一つである胎盤感染に対しては、有効な予防策はありません。母猫がバベシアに感染していると判明している場合は、妊娠は避けたほうがいいでしょう。

猫を吸血しているマダニを見つけたら

猫の体に取りついて吸血しているマダニを見つけても、無理に引きはがしてはいけません。刺し込まれた頭部が体内に残り、化膿することがあります。無理をせず動物病院で取り除いてもらいましょう。

バベシア症は治療後も油断禁物

バベシア症になると、発熱、食欲不振、粘膜が白っぽくなったり元気がなくなったりといった症状が見られます。特に子猫や老猫など、免疫力が弱い猫にそのような症状が急に見られたら、ためらわずに動物病院に行きましょう。また、バベシアは生涯猫の体に潜伏し続けるため、治った後も再発する可能性があります。治ったからと油断せず、猫の体に異変が生じたら、すぐに獣医師に相談してください。

 
 

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