2016年6月8日更新

【獣医師監修】犬の歯根膿瘍〜原因・症状と対策

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犬の歯根膿瘍という病気をご存知でしょうか。知らないで愛犬が発症するとびっくりしてしまうこともある歯根膿瘍は読んで字のごとく、歯根、いわゆる歯茎に発生する病気です。

犬ではしばしば見られる病気ですが、飼い主の目には急にほっぺが腫れたようにみえ虫歯なのか腫瘍なのか何なのか分からずヤキモキしてしまうこともあります。2次感染を引き起こすこともある歯根膿瘍について今回は詳しく見てみましょう。

 

犬の歯根膿瘍の原因とは?

愛犬のほっぺたが急に膨らみだすように見える歯根膿瘍は、歯根部と言われる歯が埋まっている歯茎の部分に炎症が生じ、膿がたまってしまった状態のことを言います。

急にほっぺが腫れたように見えるので飼い主が気付かないこともよくあります。歯根膿瘍の原因は基本的に歯や歯茎が傷ついてしまい、そこから菌が侵入することによって歯茎が腫れていくことです。

固いものが強く歯の表面に当たったり、固いものを噛んだりすることで歯にヒビが入り、そこから細菌が侵入してしまいます。また激しく布やロープを引っ張りっこしていても歯に極度な刺激を加えることになるので、菌の侵入が起こってしまう原因にもなります。

そのほかにも、虫歯や歯周病、電気コードをかじることで起こる火傷や歯牙骨折などが原因で歯や歯茎から細菌が侵入してしまうことがあります。長時間のお留守番などで愛犬がストレスを感じ、ケージを噛んでしまうことも歯根膿瘍の原因となります。また、歯石の過剰な沈着から歯周病を発症し、これが歯根膿瘍に伸展するケースが多く報告されています。

歯根膿瘍の症状について

歯の根元周辺に炎症が発生してしまうことで引き起る歯根膿瘍は、口の中で症状が進んでいるためなかなか飼い主が気付きにくい病気です。しかし、歯根膿瘍の痛みは非常に激しいもので愛犬にとっては切実な問題です。

初期の症状

初期の段階では、見た目では一切判断がつきません。食欲が落ちる場合もありますがそこまで食欲不振になることもなく日常生活は難なく過ごせます。口を開けた時に歯が傷ついていたり、歯石が歯についていたりすることがあります。

中期の症状

症状が進行してくると、ほっぺが少し腫れてくるようになり、食欲不振になる子もいます。ほほに膿がたまることで口の中から腐ったような臭いがするようになり、元気がなくなる子もいます。

重度の症状

状態が悪化してくると隣接する歯茎にまで炎症や膿が広がり、歯槽膿漏や骨髄炎にまで広がります。

また歯槽骨に穴が開き、骨を覆っている皮膚にまで膿がたまり皮下膿瘍に発展することもあります。場合によっては外側のほっぺに膿を排出するための穴が開き、膿が出てくることもあります。

 

歯根膿瘍を発症したときの対策

歯根膿瘍を発症したときの治療法は、症状や患部の状態に合わせた対症療法になります。一度発症してしまうと原因となる根本的な問題を取り除かない限り再発することもあり、基本的には外科的手術などを行いながら再発防止を行います。

外科的手術

歯根部にたまっている膿を除去し、抜歯を行います。虫歯が原因となっている場合や歯にヒビなどが入っている場合は抜歯を行わない限り再発する危険があります。

一時的に歯茎などが傷ついて歯根膿瘍を発症している場合は抜歯を行わないこともあります。歯石が多量に沈着し、歯周炎になっている場合は、歯石を超音波で破砕して取り除きます。

投薬治療

菌の感染を防ぐため、抗生剤の投薬が行われます。炎症が収まりますが、抗生剤では一時的な対症療法にしかなりません。併用して膿の除去などを行います。

改善療法

虫歯や歯にヒビなどが入っておらず、膿が除去できた場合は、抜歯を行わず毎日の歯磨きで治療を行うことができます。口の中を清潔に保ち、菌の繁殖を抑えることで再発を防止できます。

まとめ

なかなか飼い主が気付きにくい病気である歯根膿瘍ですが、食事の変化や環境の変化によって年々発生率も高くなっている病気です。知らないでいると急にどうしたんだとビックリしてしまいますが、歯根膿瘍について知っているだけで愛犬が発症した際に早い段階で気づくことも可能です。

抜歯をしてしまうと完治はできても愛犬に不自由な生活を強いることもあります。歯を傷つけないためにも日ごろからオーラルケアを行い、愛犬の様子をしっかり観察するようにしましょう。

 
 

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