2016年3月10日更新

【獣医師監修】犬の胸膜炎〜原因・症状と対策

犬の胸膜炎という病気をご存知でしょうか。胸膜は肺や心臓などを納めた胸腔を覆っている膜のことをいいます。この胸膜の一部、もしくは全部が炎症を起こしてしまうことで発症するのが胸膜炎で、さまざまな症状を発症し、愛犬を苦しめてしまいます。

そして症状が進行してしまうと死亡してしまうこともある危険な胸膜炎、今回はそんな胸膜炎について詳しく見てみましょう。

犬の胸膜炎の原因とは?

犬が胸膜炎を発症すると胸腔内で潤滑油の役割を果たす胸水と言われる水が増えてしまったり、胸腔に膿がたまる膿胸と呼ばれる症状が見られたりします。

そして胸腔内にたまった胸水や膿が肺を圧迫するようになり呼吸不全に陥ってしまいます。胸膜炎の主な原因はウィルスなどへの感染と悪性腫瘍などによるガンであるといわれています。

感染症によるもの

胸膜炎の主な原因と言われているのがウィルスや細菌、真菌などへの感染です。細菌感染の場合は原因となる細菌の種類も多く特定が困難なこともありますが、ウィルス感染の場合はほとんどが犬アデノウィルス感染を原因とする伝染性肝炎が引き金となります。

また交通事故や犬同士のケンカ、体を張る猟犬などでは強い衝突や噛み傷によって胸に穴が開いてしまうことがあり、この場合直接外部から細菌や病原菌が侵入して発症してしまうこともあります。

悪性ガン腫瘍によるもの

胸膜炎の原因としては多くはありませんが、まれに悪性腫瘍が転移したことによって胸膜炎が起きることがあります。ほかの部位に発症した悪性腫瘍であっても今日腔内への転移によって胸膜炎を引き起こしてしまうこともあるので検査をしてしっかり調べるようにしましょう。

胸膜炎の症状について

愛犬が胸膜炎を発症してもなかなかその症状に気づいてあげることができないほど、その症状は分かりにくいものです。そのため、病院に行った時にはすでに手遅れと言われることも多く、早期発見・早期治療が何よりも大切になります。胸膜炎の症状は普段と比べてあまり変化が見られない軽度の症状と、明らかに衰弱した重度の症状とに分けられます。

軽度の症状

症状が軽い場合では基本的に呼吸が少し早い、程度の変化しか見られないことがほとんどです。子犬の場合であれば呼吸の乱れが激しく、すぐにわかる場合もありますが、熱中症の多い夏の季節などであれば見落とされがちな症状です。

重度の症状

症状が重くなってくると胸の痛みをかばうため前足で踏ん張ったり、運動を嫌がったりするようになります。また呼吸困難の症状も見られ発熱を起こします。発熱まで起こすようになると食欲がなくなり、さらに元気がなくなります。この状態になると非常に危険な状態と言え、最悪の場合には死に至ります。

胸膜炎から愛犬を守るために

愛犬が胸膜炎を発症してしまうと、基本的には完治は望めず、対症療法を行いながら経過を観察していくことになります。非常に厄介な病気である胸膜炎は一見症状がわかりにくいこともあり、突然死するケースも少なくありません。診断にはレントゲンやほかの疾患の有無、胸膜内にたまった胸水検査などで原因を調べていきます。

基礎疾患やほかの病気が原因となって胸膜炎を発症している場合は、まず基礎疾患に対する治療が行われます。犬アデノウイルスが原因の場合は重篤化しやすいので早急な治療が必要となります。

抗菌剤や抗ウィルス剤の投与が行われることもありますが、基本的には胸膜内にたまっている胸水や膿を、針などを胸腔内に差し込んで除去していきます。定期的に病院で胸腔内にたまった液体を除去していくことで症状を緩和していきます。ほかに併発している病気などとの兼ね合いを見ながらしっかりと対応していくことが大切です。

まとめ

胸膜炎は一見症状のわかりにくい病気ですが、進行すると深刻な事態を引き起こす疾患です。また、胸膜炎が他の重篤な疾患を引き金に起きている可能性があります。もし胸膜炎を疑う症状が見られたら、すぐに動物病院に連れて行き、早期に対処することが大切です。

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