2016年3月18日更新

【獣医師監修】犬の尿毒症~原因・症状と対策

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犬の尿毒症は、腎臓に問題が起き、体から老廃物を排出できなくなることで起こります。有毒な老廃物がどんどん体にたまって、食欲不振や嘔吐が見られたり、尿のようなにおいのする独特の口臭がしたりします。重度になると痙攣や昏睡といった神経症状が見られ、治療が遅れると死に至る危険性の高い病気です。

犬の尿毒症の原因、症状と対策を取り上げます。

 

原因

腎臓には、老廃物の排出や、塩分や水分、電解質、pHをコントロールして血圧を調整したり、造血ホルモンを分泌したりといった様々な重要な役割があります。

犬の尿毒症は、腎臓の機能が著しく落ち、体にとって有害な老廃物を尿中に排出することができなくなることで起こります。

では、どのようにして腎臓の機能が落ち、尿毒症になるのでしょうか。腎臓が尿を作る仕組みとともに、尿毒症が起こるメカニズムについてご説明します。

腎臓が尿を作る仕組み

腎臓は血液をろ過し、老廃物を尿中に排出しています。

まず、全身の老廃物を含んだ血液は腎動脈から腎臓に入り、ネフロンと呼ばれる器官に流れ込みます。ネフロンは糸球体、ボーマン嚢、尿細管から構成されており、一つの腎臓につきこのボーマン嚢が数十万個あります。糸球体で赤血球や白血球、タンパク質などをこして、尿の原料である原尿を作り、ボーマン嚢を経て尿細管へと運ばれていきます。

作られた原尿は尿細管に流れますが、その段階で体に必要な水分やアミノ酸、ブドウ糖などが再吸収されます。残りの余分な水分や老廃物が腎盂を経て尿管から膀胱へ送られ、やがて排泄されます。

尿毒症になるメカニズム

血液から老廃物をろ過するためには、ネフロンの働きが欠かせません。

しかし、腎不全などの病気になると、ネフロンが徐々に機能しなくなり、体内のインドキシル硫酸、尿素、クレアチニンといった老廃物が排泄されないまま血中にたまっていきます。そしてそれらの老廃物は全身を循環して多臓器に悪影響を与えます。

この状態を尿毒症と呼び、腎不全の末期症状でもあります。

特にインドキシル硫酸は、腎不全を進行させ、心臓や血管にもダメージを与える厄介な物質です。

症状

犬の尿毒症では、以下の症状が見られます。

  • 吐き気
  • 元気がなくなる
  • 食欲不振
  • 下痢
  • 体重減少
  • 口から尿のようなにおいがする
  • 貧血
  • 痙攣
  • 昏睡

血液中に老廃物がたまることで、全身の臓器が障害されます。吐き気や食欲不振といった消化器症状のほか、老廃物の一つである尿素が口の中で分解されてアンモニアが発生することで、尿のような独特のにおいの口臭がします。

また、腎臓は造血ホルモンを分泌していますが、これも阻害され、赤血球が作られにくくなることで貧血になります。貧血になると、疲れやすい、粘膜が白っぽくなるといった症状が見られます。老廃物は脳神経も侵し、痙攣や昏睡といった神経症状が現れ、放置すれば死亡します。

さらに、尿毒症が現れるころには、腎不全によって塩分や水分、電解質のコントロールもできなくなり、高血圧やむくみ、心不全が起こりやすい状態にもなっています。

 

対策

一度壊れたネフロンは再生することはありません。そのため、尿毒症を改善し、腎不全の進行を食い止める治療を行います。

尿毒症になったら、血中にたまった老廃物の排出を促すために輸液療法を行い、利尿剤を使って尿を出します。血液透析や腹膜透析を行って老廃物を取り除く方法もあります。

症状が比較的軽い状態であれば、経口吸着剤を使い、腸管内で老廃物をくっつけて便とともに出すのも有効です。

合わせて、高血圧なら血圧を下げる薬、貧血なら輸血や造血ホルモン製剤の投与など、症状に合わせた対症療法を実施します。療法食を用いた食事療法も必要に応じて行います。

尿毒症を予防するには

尿毒症は腎不全の末期症状なので、腎不全の予防に努めるようにしましょう。腎不全は心疾患や、結石などによる尿路の閉塞、感染症、腎臓の病気など、様々な原因で起こります。そのため、栄養バランスの取れた適切な食事や、新鮮な水をいつでも飲める環境を整える、犬がストレスをためない生活環境を作るなど、日頃から健康維持に努めることが大切です。

また、腎不全や尿毒症は症状が出たときにはかなり状態が悪化しているため、早期発見・早期治療が重要です。犬が高齢期に入ったら、動物病院で定期健診を受けるようにしましょう。

犬の尿が出ていなかったら要注意

もし犬の尿が出ていなかったり、排泄量が減っていたら、腎臓や尿路に問題が起きている可能性があります。便は一日出なくてもそれほど問題はありませんが、尿は老廃物を処理している関係上、一日出なければ危険です。尿が出にくいまま放置すると、どんどん腎臓の組織が障害されて、最終的に尿毒症になって死亡することもあります。そのため、気づいたらすぐに動物病院に連れて行き、獣医師に相談しましょう。

 
 

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