2016年6月3日更新

【獣医師監修】犬の肝硬変〜原因・症状と対策

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犬の病気の中でも肝臓に起こる病気は命の危険をはらんだ病気です。そんな肝臓の病気の一つに肝硬変がありますが、肝硬変は肝臓に慢性的な炎症が起こることで、肝臓全体が固く変質してしまう病気です。

一度発症すると完治できないといわれるほど危険な病気である肝硬変は、さまざまな犬が発症してしまう可能性があります。愛犬を苦しめ、時に命までも奪ってしまう肝硬変、今回はそんな肝硬変について詳しく見てみましょう。

 

犬の肝硬変の原因について

体の臓器の中でも特に重要な役割を持っているのが肝臓です。肝臓は解毒、分解、消化酵素の生成、ビタミンやホルモンの生成、炭水化物、脂質、たんぱく質の合成などを行っている器官で、臓器の中でも生命活動の中心的な役割を果たしている非常に重要な器官です。

人間ではよくお酒の飲み過ぎで発症してしまうことがある病気ですが、犬はアルコールを飲まなくても発症してしまうことがある危険な病気です。

病気に起因するもの

犬の肝硬変の主な原因は、慢性肝疾患が関係しているといわれています。

慢性肝疾患を発症すると繰り返し肝臓に炎症が起こり、そのたびに肝臓組織が破壊された組織を修復しようと増殖し、結果的に肝臓が固くなってしまいます。慢性肝炎の原因としては肝不全や肥満、肝腫瘍、胆管結石、胆うっ滞、フィラリア感染などがあります。

肝細胞の大量死

何らかの原因によって肝臓内の細胞が一気に大量に死んでしまうことで、肝臓が固くなってしまうことがあります。その原因は不明なものが多く、特発性の肝硬変として言われることもあります。

肝硬変になった時の症状

肝臓が固く変質してしまう肝硬変は肝機能を極端に低下させます。そして一度硬化してしまった肝臓は二度と元に戻ることはなく、どれくらいの肝臓機能が硬化しているかが愛犬の予後を決める大きなポイントになります

初期の症状

肝硬変の初期の症状は気づきにくいものが多いです。少し症状が進んでくると、元気がなくなるようになり、食欲も落ちてきます。また下痢や嘔吐などの症状も見られるようになり、体重が減少し、腹水がたまることもあります。

重度の症状

症状の悪化が続くと血便が見られるようになり、耳の中や歯茎、白目の部分などに黄疸と言われる皮膚や粘膜が黄色くなる現象が出始めます。そのうち皮膚全体にも黄疸が見られるようになり、肝細胞の合成機能や代謝機能の低下が起こり、低たんぱく症や低血糖症を引き起こします。

黄疸が出てしまうと手遅れとなることも多く、血液の循環も止まってしまい、肝性脳症を発症することもあり、突然死の危険が非常に高くなります。

 

肝硬変から愛犬を守る対策

一度発症してしまった肝硬変を完全に治すことは基本的にはできません。

肝臓のどの程度がまだ動けるか、どの程度が肝硬変を起こしているのか、また愛犬の全身状態から、余命を診断されることもしばしばあります。基本的には経過観察と症状の進行を遅らせるような治療が施されます。

また投薬による治療を行う場合、肝炎の症状に合わせて投薬が行われるようになり、これも完治を目的としたものではありません。一度薬を飲み始めると一生飲まなくてはいけないものとなり、基本的には栄養補給と安静、食事療法で様子を見ながら経過観察を続けていくようになります。

一度発症してしまうと完治することのない肝硬変から愛犬を守るには、日ごろからの注意が何よりも大事になります。肥満や肝臓に負担がかかることで発症してしまう肝炎を防ぐこと自体が肝硬変の予防にもつながります。おやつを与え過ぎたり、栄養過多になり過ぎないよう日頃から食生活に気を付け、しっかりと運動を行うことで愛犬の健康を維持することができます。

何よりも愛犬に無理をさせ過ぎないこと、そして定期的に検診などを受け、早期発見早期治療を心掛けることが愛犬を守る唯一の方法と言っても過言ではありません。

まとめ

犬の肝硬変は基本的に肝臓に何らかの負担がかかることで発症してしまうとても危険な病気です。

そして一度発症してしまうと一生愛犬に苦しみを与え続けてしまうものでもあります。肝硬変になっても肝臓のごくわずかな部分が硬化してる段階で気づくことができれば、投薬を続けながらの回復も見込めるかもしれませんが、肝臓の機能がほとんど硬化してしまってから気づいたのでは手遅れな場合がほとんどです。肝硬変の危険を十分に把握し、愛犬を守るため普段からしっかりと愛犬の健康管理に気を付けるようにしましょう。

 
 

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