2016年6月14日更新

【獣医師監修】犬の腸重積〜原因・症状と対策

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犬はさまざまな病気が原因で嘔吐をしますが、嘔吐の症状を引き起こす原因の一つに腸重積と言われる病気があります。

腸重積と言われてもほとんどの人がピンと来ないかもしれませんが、腸重積とは読んで字のごとく、腸が重なって積みあがってしまった状態のことを言い、腸閉塞などの原因となってしまうこともある病気です。それほど頻発する病気ではありませんが、急に発症してしまうこともあり、すべての犬がかかる危険があります。

今回はそんな腸重積について詳しく見てみましょう。

 

犬の腸重積の原因とは?

腸重積は本来まっすぐであるべき腸の一部が途中で折り返すように内側に反転し、その前後の部分に入り込んだ状態のことを言います。腸閉塞を引き起こす主な原因として有名で、腸であれば回腸や結腸、盲腸などどの部位でも起こりうる病気です。

腸重積が起こってしまう原因はまだはっきりと解明されていませんが、腸のぜん動運動の不調や何らかの刺激が原因となって腸内に異常をきたしてしまい発症すると考えられています。

病気や感染症が起因となるもの

腸内の腫瘍や大腸炎、感染症や寄生虫症などによって腸内の動きが活発になってしまうことで腸の運動バランスが乱れて腸が重なってしまうことがあります。

異物誤飲が起因となるもの

糸やストッキングの飲み込み、綿棒や毛糸の誤食などが原因で腸の動きが乱れ、腸重積を発症してしまうことがあります。

暴飲暴食が起因となるもの

暴飲暴食によって腸のぜん動運動に異常が生じたり、強力な腸管の運動が起こったりすることで腸重積を招いてしまうことがあります。

腸重積の症状について

腸重積は腸が折り重なってしまうことで発症する病気ですが、腸の折り重なった部分は腸管の幅が細くなり、腸を通過する内容物が十分に通ることができなくなってしまいます。その結果、嘔吐を繰り返したり、腸閉塞が起こったりしさまざまな腹部の症状を発症するようになります。

体の成長が未発達な子犬での発症率が高く、栄養が取れなくなってしまうため、栄養失調や脱水症状を引き起こし、最悪の場合には死に至ることもあります。

初期の症状

初期の段階では嘔吐を繰り返すようになり、腸管を食べたものが通らないため急激な体重減少などが見られることもあります。かろうじて食事が腸を通過しても、腸のぜん動運動が不十分なため、粘血便やタール便のような黒っぽい便を催すことがあります。

重度の症状

症状が進行していくと、腹部に激しい痛みを伴うようになりお腹が腫れてくるようになります。食欲がなくなり、腸閉塞を発症してしまうと腸内にガスや体液がたまり、腸の膜が薄くなります。腸が完全にふさがってしまうと体の中の毒素や血液がせき止められ、組織が壊死するようになり、命を落とす危険が高まります。

 

腸重積から愛犬を守るための対策

愛犬にこれらの症状が出て病院に連れていく時には、一刻の時間を争っているような緊急の場合がほとんどです。レントゲンなどで腸重積とすぐに判断がつく場合や、腸重積が疑われる場合には即その場で開腹手術を行うこともあります。

基本的には重積している部分の手術を行わない限り回復がほとんど見込めない病気です。腸の状態や症状の進行具合に合わせて切除箇所を決めたり腸をつなげたりしていきます。術後に抗生物質を投与した処置や食事療法を行うこともあります。体力消耗や脱水症状がひどい場合には輸血や点滴を行っていきます。

緊急手術を必要とするぐらい症状の進行が早く、愛犬の命が危険にさらされてしまうのがこの腸重積という病気の特徴です。手術をして重積部分を取り除いたり、原因となる腫瘍治療や基礎疾患を治療することで回復が見込める病気ですが、腸重積を発症した場合、基本的には時間との勝負です。

どの犬にも起こる可能性がある病気と言えばそうですが、日ごろから腸に負担のかかるような食生活や誤食を防ぐことでグッとその危険を回避することができます。

まとめ

あまり聞きなれない病気の腸重積ですが、その症状の進行具合のスピードと危険性は相当なもので、飼い主の迅速な対応が何よりも重要なポイントとなるものです。非常に命の危険も高く一刻の猶予も許さない腸重積は、犬種問わず発症してしまう危険がある病気です。

特に犬を飼い始めた直後などは愛犬の観察をしっかり行いながら異変が少しでも感じられた場合は早急に獣医師に相談するようにしましょう。

 
 

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