2016年6月9日更新

【獣医師監修】犬の胃潰瘍〜原因・症状と対策

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胃潰瘍と聞くと、ストレスにより引き起こされるというイメージが強いですが、犬でもよく見られる病気です。

犬の胃潰瘍はストレスによる発症もありますが、それ以外の要因でも発症することのある病気で、胃の粘膜が傷ついてボコボコになってしまい、激しい痛みを伴うこともあります。犬の胃潰瘍について詳しく知ることで愛犬が胃潰瘍を発症する危険から守ることもできます。今回はそんな犬の胃潰瘍について詳しく見てみましょう。

 

犬の胃潰瘍の原因とは?

犬の胃潰瘍はさまざまなことが要因となって発症してしまう病気です。胃では食物を分解する胃酸が分泌されますが、通常は胃の粘膜がしっかりと機能することで胃酸が分泌されても胃が傷つくことはありません。

しかし、このバランスが乱れてしまうことで胃酸などが胃を傷つけてしまうようになり、胃潰瘍を発症してしまいます。

病気によるもの

犬の胃潰瘍の原因として大きな割合を占めるのが、肥満細胞腫や、腎不全などの基礎疾患です。何らかの病気が引き金となり胃潰瘍を発症するケースが犬では最も多く、ほかにもアジソン病や肝臓疾患、膵臓疾患、敗血症、低血圧などの胃以外の疾患から胃潰瘍を発症してしまうことがあります。

薬物によるもの

アスピリンやステロイド剤、抗炎症薬、グルココルチコイドなどの薬剤の作用が強すぎて、胃の粘膜を傷つけてしまい胃潰瘍を起こすことがあります。

寄生虫によるもの

回虫やフィサロプテラなどの寄生虫が胃炎を引き起こし、胃潰瘍を発症してしまうことがあります。

ストレスによるもの

人間ではストレス性の胃潰瘍が非常に多いですが、人間ほどではないものの犬でもごくまれにストレスによる胃潰瘍を発症することがあります。特に犬の場合は病気や熱中症、火傷などの身体的なストレスが精神的ストレスの引き金となってしまいます

胃潰瘍の症状について

胃潰瘍は初期の段階から重度の段階で見られる症状の度合いがかなり変わってくる病気です。

初期段階の胃潰瘍では胃の粘膜が何らかの理由で機能を果たさなくなってしまうことで、胃壁の表面が傷つき発症してしまいますが、重度の胃潰瘍ではさらに胃壁奥深くの粘膜下層や筋層まで傷ついてしまっているようになります。

初期の症状

病院などでは胃潰瘍になりかけと言われることもあるのが胃潰瘍の初期の段階ですが、元気がなくなり、食欲低下や嘔吐などの症状が見られるようになります。胃に痛みを感じるため背中を丸めるような姿勢をとることもあります。

重度の症状

症状がどんどん進行してくると、嘔吐物に胃からの出血が混ざり黒っぽい嘔吐をすることがあります。また鮮血の吐血や黒い血便、さらに腹痛、発熱といった症状も見られるようになります。

胃潰瘍がさらに進行し、胃に穴が開くようになると腹膜炎を引き起こし、最悪の場合にはひどい痛みでショック死してしまうこともあります。

 

胃潰瘍から愛犬を守るための対策

犬の胃潰瘍ではまずは原因を突き止めることから始まり、原因に合わせて治療を施していくようになります。胃潰瘍の主な原因である基礎疾患が要因となっている場合には優先して基礎疾患の治療が行われます。

腫瘍などは切除し、腎不全などが原因の場合は内科的療法を用います。対処療法としては症状の軽減を目的とした胃酸の分泌を抑える薬の内服や制酸薬、抗ヒスタミン薬などを用いて治療を行っていきます。症状が重く、体力が奪われてしまっている場合には入院措置を取り、輸血や点滴などを行いながら経過観察を行います。

犬の胃潰瘍は特にさまざまな病気を発症しやすい高齢期での発病が多く、日ごろから食事量や内容を一定にし、規則正しい生活を行うことで発症を防ぐことができます。また消化のいいフードや老犬専用のフードを使用することで胃への負担を軽減することもできます。

十分な環境整備や睡眠、運動を与えて愛犬が健やかに過ごせるようになると胃潰瘍の発症を防げるだけでなく、治療にも効果を発揮できるようになります。

まとめ

犬の胃潰瘍は人間の胃潰瘍とは違い、発病要因も大きく変わってくるものです。それでも愛犬が過ごしやすい環境を整えてあげたり、健康的でいい生活を送らせてあげたりすることで胃潰瘍から愛犬を守ることができます。体の内部で起こっている病気の多くは飼い主には気付きにくく、どんどん症状が進行してしまうことがありますが、少しでも様子に異変を感じた場合は一刻も早く病院で診てもらうようにしましょう。

 
 

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