2016年1月15日更新

【獣医師監修】犬のタンパク喪失性腸症〜原因・症状と対策

犬のタンパク喪失性腸症についてご存知でしょうか。あまり馴染みのない病名なので聞いたことがないかと思われます。

タンパク喪失性腸症は小腸のリンパ管からリンパ液が漏れだした状態になり、その結果として低タンパク血症を引き起こすことで発症する病気です。その原因には心不全や悪性リンパ腫といった重い病気が関係している可能性があるので早急な対処が求められます。

犬のタンパク喪失性腸症の原因や症状、対策についてご紹介します。

犬のタンパク喪失性腸症の原因

犬のタンパク喪失性腸症の主な原因は心不全、悪性リンパ腫、腸重積、鉤虫症などです。

特に心不全や悪性リンパ腫は命に関わる深刻な病気なので少しでも早く治療を開始しなければなりません。またヨークシャーテリアなどは遺伝的にリンパ液の流れが悪くなってリンパ管拡張症を引き起こしやすい犬種なので特に注意する必要があります。

犬がタンパク喪失性腸症を発症してしまうメカニズムについては以下でお伝えします。

タンパク喪失性腸症を引き起こすメカニズム

何らかの原因によって小腸においてリンパ液の流れが悪くなると、リンパ管が詰まりリンパ管内の圧が上がってしまい、リンパ管がパンパンに膨れてしまうことがあります。その状態をリンパ管拡張症といいます。

そのような状態になってしまうと本来であれば体に吸収されるはずのアミノ酸や脂質などの成分が吸収されなくなります。そうなると血中のタンパク質の一種であるアルブミンの濃度が低下し、低タンパク血症を発症します。

血中のタンパク質は血管の外の水分を血管の中に導くはたらきをしており、低タンパク血症になるとそのはたらきが薄れて血管内の水分が血管外に出てしまうという現象が起こります。そのようにしてタンパク喪失性腸症が発症します。

犬のタンパク喪失性腸症の症状

犬のタンパク喪失性血症の主な症状は腹水や胸水をはじめ、下痢、皮下浮腫などです。

タンパク喪失性腸症を引き起こしていると水分が血管外に出てしまうので、腹水や胸水、下痢などを引き起こします。犬の胸部や腹部が不自然に膨れていたり、下痢が見られたときにはタンパク喪失性腸症を発症している可能性があります。

そのような場合には獣医さんの診察を受けさせ、適切な治療を施してもらう必要があるので早急に動物病院に連れて行ってあげてください。

犬のタンパク喪失性腸症の対策

犬のタンパク喪失性腸症は未然に防ぐことが難しい病気のひとつです。そのためタンパク喪失性腸症に関する対策は予防よりも症状が表れ始めた後の対処が重要になります。

犬のタンパク喪失性腸症では腹水や胸水の症状が見られやすいので、それらをヒントにして犬の体に起こっている異常を察知してあげてください。そのためには日頃から犬の体をチェックし、異常がないかを観察する習慣を身に着けておくことが大事になります。

犬は言葉を話すことができないので体の不調を言葉で伝えることができません。犬から発せられている不調のサインを察知できるように心がけましょう。

犬のタンパク喪失性腸症の治療

犬のタンパク喪失性腸症を引き起こしている原因がわかっている場合はそれに対する治療を施します。基礎疾患がタンパク喪失性腸症を引き起こしているならばそれを完治させることでタンパク喪失性腸症の症状が緩和できる可能性があります。

タンパク喪失性腸症の原因がわからない場合には対症療法による治療を施します。腹水や胸水の症状があれば溜まった水を注射器で抜き取ったり、食事療法によって不足しているアミノ酸や脂質、脂溶性ビタミンを摂取させるなどの治療方法が主になります。

まとめ

犬のタンパク喪失性血症の原因や症状、対策についてご紹介しました。

犬のタンパク喪失性血症は基礎疾患や遺伝的な原因によって引き起こされる可能性があります。タンパク喪失性腸症を発症すると腹水や胸水などの症状がでることが多いので、そのような症状が表れているときにはタンパク喪失性腸症を発症している可能性を考えてください。タンパク喪失性腸症は原因となっている基礎疾患がわかっている場合にはそれに対する治療を施し、わかっていない場合には対症療法や食事療法が用いられます。もしタンパク喪失性腸症を発症してしまったときには適切な治療を受けさせてあげましょう。

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